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81.寝室にて 3


「大丈夫、ちゃんと許可はもらってきたから。サナハトにも言ってあるから今日の仕事は終了。リューのそばにいることが仕事です」


 えっと、それって……。驚いたというか、大丈夫なのかしら?といった顔をしているとレオンハルト様はニッコリと笑って告げてきた。


「元々リューが目覚めたら、その時点でその日の仕事は終了するって言ってあったんだ。私がそばにいない時に目覚めたらノアかブラウにすぐさま報告に来てって。先程ブラウは猫の姿で走ってきてくれたよ。ありがとうね」

 ブラウの方を見てお礼を言っている。ブラウも頭を下げている。いやいや猫の姿って?獣化していったってこと?


 考えていることがだだ漏れだったのか、ブラウがはい、と手を挙げた。レオンハルト様がどうぞと促す。


「リューディア様が目覚められたので一刻も早くレオンハルト殿下にお伝えしなければと思いまして。会議室にいらっしゃるとわかっておりましたので最短距離で行くために獣化しました。会議室前に立っていた護衛の騎士の方々もレオンハルト殿下から伝えられていたようで、猫の姿で扉前に着くとすぐさま中に伝達してくださいました」

「扉が開いて猫が見えた時点で私は立ち上がり、陛下や兄達もわかってくれて、行ってこいと送り出されたわけ。そして廊下に出た時に黒獅子になってブラウと共にこちらに戻ってきたんだ」


 いやいやいや二人ともちょっと待って。


「………何で獣化……?」


 声がまだよく出ないので質問は簡潔になる。それでもレオンハルト様やブラウはわかってくれたようだ。


「ここから会議室って近いようなんですけどもかなりの距離があるじゃないですか?」

 ブラウが説明する。確かにこの寝室は二階で会議室は一階だ。軽くうなずくと、ブラウは侍女服のスカート部分をつまんで

「流石にこの服ですと中々走れなくて。走れないわけではないのですが、侍女が王宮廊下を走るわけにもと思いまして、獣化して猫の姿ですとどこでも走れますし、速いですし、何より飛び降りたりして最短距離で会議室まで行けますし」


 行けますし、って。そりゃあ猫の姿なら二階の窓から一階に飛び降りても平気だろうが。


「……え、じゃあ帰りも……?」

「はい」

「そうだね」

 レオンハルト様もブラウも当たり前です、といった顔だ。


 王宮の廊下で黒獅子と猫にすれ違った方々は驚いただろうな、きっと……。


「とりあえずリューはまだまだ休んで。目が覚めただけで身体は回復してないと思うから。一ヶ月寝たきりだから、身体が強張ってまだついてきてないんだと思う。一応あとで医療師かガイ大司教にも診てもらうおうか」

「大丈夫ですよ、もうしばらくすれば慣れてくるでしょうし」


 皆様の手を煩わせるのも申し訳ない。


「だめ。とりあえずその髪色が完全に戻るまでは横になっていること。魔力を使うのも禁止ね」


 そう言いながらレオンハルト様は毛布を直してくる。


「……お言葉に甘えて休ませてもらいますからレオ様はお仕事に」

 戻ってくださいと言おうとしたところで、頭を撫でられた。

「これが今日のお仕事だと言ったでしょう?」

「でも……」

 会議中ということは大切なことを決めていたのではないだろうか。心配するとさらに髪を撫でられる。

「元々リューが目覚めるまで仕事しない、そばにいるって話だったんだけど、流石にそうもいかなくなって。で、妥協案じゃないけど、昼間仕事するかわりに目覚めたらその日はお休みに変えるって皆と約束して了承もらってたから大丈夫。だからここにいさせて?」

 最高の微笑みでそう言われると何も言えなくなる。顔、赤いだろうなぁと思っているとノック音が響く。ノアが扉に向かって行く。何か話し声が聞こえたと思ったらこちらに来る。


「目覚めたのなら一目会いたいと王妃様がいらしてます」


 思わずレオンハルト様と目を合わせる。まぁ会議を抜け出し、獣化姿で王宮の廊下を全力疾走していればいやでもバレる。


「来てるのなら仕方ない。リュー、ほんの少しで帰ってもらうからいい?」

「もちろん大丈夫です」

 その返事を聞いてノアがまた扉に戻る。大きく開くと一緒に入ってくる王妃様が見えた。起き上がろうとするが身体が思うように動かないのと、レオンハルト様も王妃様もそのままで、とおっしゃってくださったので甘えさせてもらう。


「良かったわ、目覚めて。本当にありがとうリューディア。レオンハルトを助けてくれて。代表してお礼をいいます」

「そ、そんな!元はと言えば私のせいでもありますので」

「本当は陛下も来たがったんだけど、流石に寝室にはね」

「そうですね。リューのこの姿は他の男には見せません」

 この姿?あぁそうか、私、寝間着姿だ。

「レオンハルトもほどほどにね。しつこいと嫌われるわよ」

 

 じゃあ顔を見れたから、また今度ゆっくりね、と去っていった。


 また静かな部屋に戻る。レオンハルト様はゆっくりと私の頭を撫でる。とても心地よい。


「もうちょっと眠ろうか。まだまだ回復してないからね」


 そう言われるとあっという間にまた眠りについた。




 


本日もありがとうございます。


明日の更新分82話にて完結となります。

よろしければいいね、ブクマ、評価★★★★★押していただけると嬉しいです。


では今作では最後になります、明日も更新予定です、お待ちしております。

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