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22.応接間にて 4


「失礼します。すみません押しかけてしまって。あれジーク兄上?」


 どうしてここに?といった顔で部屋に入ってきたのはレオンハルト様だ。どうしたのだろう。思わず立ち上がってしまった。


「どうかされましたか?レオ様」

 何気なくかけたその言葉にノアとブラウ以外の全員が驚いている。あ、しまったと思い慌てて口に手をあてる。こんな皆がいるところで愛称呼びは流石にまだ早かったかと思っていると、王妃様があらあらと笑い出した。


「良かったわねレオンハルト。もうレオ呼びなの?それは嬉しいわね、大事なのもわかるわ」

「本当に。仲良くしてくれて兄としても嬉しいかぎりだ。ありがとうリューディア殿。弟のこと、よろしく頼むね。レオンハルト、大事にするんだよ」


 いやいやいや、その(仮)であって!


 慌てて謝ろうとするが、レオンハルト様が嬉しそうに前まで来て肩を抱いて引き寄せられた。


「言われなくとも。でも何で兄上がここに?女性だけのお茶会ではなかったのですか?」

「私が呼んだのよ。いいわあなたにも話しておくから。ランティア、あとであの子にも話しておいてくれる?他言無用で」

 わかりましたとランティア様が頷く。あの子とは第二王子殿下のことか。


 王妃様がかいつまんでレオンハルト様に説明してくれた。


「なるほど。それはまずはおめでとうございます、兄上、義姉上。お大事になさってくださいね。すみませんがリューを返してもらってもよろしいですか?」

「いいけど、また今度呼ぶわよ」

「出席はリュー次第ですからね」

「あ、あの大丈夫ですから。私なんかでよければ」


 王妃様とレオンハルト様の間に入るのは中々勇気がいったけれども、私のことで喧嘩されても困るので。


「私なんか、ではなくてリューディアがよいのよ。今度はリンリアとレーリアも一緒にね。仲良くしてもらえると嬉しいわ」

「こ、こちらこそよろしくお願いいたします」

 慌てて頭を下げる。


 じゃあ行こうか、とレオンハルト様に手を取られて扉に向かおうとすると王妃様から声がかかる。


「レオンハルト、次の夜会には出られるかしら?」

「いつでしたっけ?」

「一週間後よ」

「……私はよろしいですが、リューもですか?」

「当たり前じゃない」


 え?今何て?夜会?一週間後?何?何のこと?


 ?マークが頭の上に沢山出ているのがわかったのか、レオンハルト様はこちらを見て苦笑しながら


「……出てもいい?」

「あ、え?」

 もういっぱいいっぱいだ。それも捕虜の仕事?いや捕虜が夜会っておかしいですよね?っていうか、王妃様の言葉に拒否権あるの?

「もちろんエスコートは私がするし、ただいるだけでいいから。ですよね、母上?」

「そうね、いわゆる顔見せね」

「え、でもドレスとか……」

 一週間後だなんて、時間がなさすぎでは?

「リューディア、隣の男を何だと思っているの?準備できるわよねレオンハルト」

「もちろんです」

「なら楽しみにしてるわ、よろしくねリューディア」

 ニッコリ微笑まれた王妃様に、なんとか「はい」とだけ返事したのは覚えている。


 気がつくと部屋に向かう廊下をレオンハルト様とノアとブラウと共に歩いていた。


「ごめんね、大変だったでしょう?」

「あ、いえ、大丈夫です」

 今日よりも一週間後の方が大変そうです、とは声に出せず。ははっと笑うしかない。


「今日はもうゆっくりしていていいから。私は執務室にいるから何かあったら言ってね」

「もしかしてわざわざ迎えにきてくださったのですか?」

 そうだこの時間はお仕事のはず。私がお茶会を切り上げれるようにしてくれたのだろうか。どうやら当たりのようで微笑みながら

「母上のお茶会は長いからね。でもどうやら気にいられたみたいだね。これからも声がかかるかもしれないけど、無理な時は断わってくれてもいいからね。何なら私に言ってくれれば」

「あ、いえ、そこまででは」


 そうこう話していると自室までやってきた。


「じゃあ今日はゆっくりと。夜は一緒に食べようね。それと明日は一緒に街に行こうか」

「街ですか?」

「うん、連れて行きたい場所があるんだ」

「わかりました」


 じゃあね、と額に軽く口づけしてからバイバイと手を振って歩いていった。


 やっぱりまだ慣れない。顔が赤くなるのがわかる。


 部屋の中に入り、ソファに座る。これもまた素晴らしい座り心地だ。

「普通の部屋でいいんだけどな……」

「仕方ないですね、愛されてますから」

「そうですね」

 ノアとブラウが着替えますかと簡単な服を準備してくれながら、ボソッとつぶやく。


「いやいや、私捕虜よ?婚約者って言っても仮よ、仮。それこそこの前初めて会ったのに、好きも嫌いもなくない?」


 ノアとブラウは二人で顔を合わせて

「やっぱり気づいてないんですね」

「仕方ないと思うわ、違いすぎだもの」


「何?なんのこと?」

「いえ、こちらのことです。そう言えばリューディア様、魔力使われてましたが、髪大丈夫ですか?」


 あぁそうだ、少しだけ使ったんだ。ブラウが後ろにまわって確認してくれた。


「大丈夫そうです。少し灰色っぽく見えますがこのくらいなら気づかれない程度です」

「ありがとう。ならこのままで」

「レオンハルト殿下は癒やしたいでしょうけど」

 笑顔で言ってくるブラウの言葉にまた顔が赤くなった。






本日も読みに来てくださりありがとうございます!


明日もお待ちしております!


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