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元勇者は三度目の人生を歩む  作者: あんもないと
5/5

剣精

 無事に入学式が終わり、フィアと一緒に校内を回っていたら、勇者に逢った。別に勇者に逢うのはわかってたけど二人の剣精に泣き付かれるとは知らない。


「…やっとみつけたぁ」

「もぉ…はなさないぃ」


 剣精は俺を抱きしめて離す気配がしない。どうしようかと考えていたらフィアが耳元で呟いた。


「…勇者の顔が…」


 フィアに言われて勇者を見たら凄い顔をしていた。


「っ…!剣精を放してくださいっ!」


 どうやら凄い怒っているみたいで、殺気をめっちゃ飛ばしてくる。『放せ』って言われても俺が掴んでる訳じゃないし、かといって、無理に放せる訳もないからどうしようかと考えていたら突然勇者が斬りかかってきた。


「放せって言っているんですよっ!」


 どうしようかと思っていたら、フィアが受け流してくれた。


「勇者は一般人、それも学生に平然と斬りかかるのですね」


 フィアは勇者にそう伝え、勇者を拘束した。


「ご主人様!捕まえました!」


 自信満々にこっちに伝えて来る姿が可愛い。


「ありがとう。その勇者、こっちに連れてきて」


 フィアは勇者をこっちに担いで連れてきた。

フィアも強くなったな。まぁ、Aランク冒険者だからな。


「…っ…!その子と剣精を解放しろ!」

「剣精は泣き付いてるだけですし、フィアは僕の婚約者ですが何をどうやって解放しろと?」

「そうだよ!にせものはだまってて!」

「そうだそうだ!やっと逢えたんだからしずかに!」


 泣き止んだ剣精が勇者に対して辛辣な言葉を言っている。うわぁ、勇者にめっちゃ睨まれる。

 …俺、悪くなくない?拘束したのは謝るけど、一般人に斬りかかってきたから一応、正当防衛なのに。


「あの、ご主人様。偽物って?」

「あぁ…、勇者がいるから詳しくは言えないけど、多分、今の勇者の事を本物の勇者だと思っていないんじゃない?」


 フィアは納得したように頷いた。

 フィアには全部話しているけど、中庭にいるからあんまり詳しく話したら、他の生徒にバレるんだよね。


「ってか、そろそろ放してくれない?ルナ、ソルア」


 剣精は月を意味するルナ、太陽を意味するソルア。ルナは薄桃色の髪をサイドテールしていている方で、ソルアは薄水色の髪をボブぐらいだ。

 両方服は茶色のラインが入ったセーラー服だけど、ルナはスカート、ソルアは半ズボン、と別れている。


「もういなくならない?」

「いっしょにいてくれる?」

「いなくはならないけど、一緒にはいられないかも。ねぇ、そこの勇者、君の仲間全員呼んできてくれない?」

「なぜだ!人質は俺一人でいいだろう!」

「…え?ひ、人質…?そんな事言ってないけど。なんか勘違いしてるみたいだけど、フィアが君を拘束したのは君が暴れるからだよ?…あ、フィアそいつの拘束解いて」


 なんか勇者は誤解していたらしい。

 フィアが拘束を解いた瞬間仲間をここに呼びに行った。


 しばらくして勇者が仲間呼んできたから、そいつらを引き連れて王城に向かった。


 勇者の仲間は全員で3人で、一人は僧侶、一人は魔法使い、一人は大剣使い。全員この学院の生徒だ。ただ、Aクラスは勇者だけらしい。



「あの、僕たちはどこに向かっているのですか?」


 僧侶が聞いてきた。


「王城の応接室です。話したい事があるので」


 勇者の仲間の質問に答えながらしばらくして、王城に着いた。

 王城に入ると応接室に案内せれた


 勇者一行を座らせて改めて挨拶した。


「じゃあ、はじめまして。僕の名前はリアン、こっちが婚約者のフィア。よろしく」

「はじめまして、フェンリル族のフィアです」


 俺たちが挨拶をすると勇者一行も挨拶をした。


「俺は勇者の結城勇矢、いや、ユウヤ・ユウキだ。」

「僕は僧侶のレイ・オルドアです」

「私は大魔法使い、ミーシェ・ルオルバよ」

「俺ぁ大剣使いのオルドウだ」


 大剣使い以外は公爵家の産まれだ。てか、大魔法使いって言ってたよね?挫折を知らないで育ったんだろうなぁ。


「まず、僕は元勇者だ。僕は異世界からきた、勇者の素性も知っていた」

「「「「…っ?!」」」」

「まぁ、信じがたいよね。一応、証拠はあるから見せるね。そこの剣精、剣の姿になって」


 そう言って僕は固まっている勇者一行の前で剣精を剣にした。聖剣が美しい輝きを放っている姿を見た勇者一行はまた驚いている。


「どう?信じた?これでも信じないなら…、神級魔法を撃つか、剣精を合体させるか…」

「っ?!もう証拠は十分です!さぁ!早く本題にいきましょう!」


 僧侶がそう言うと勇者たちもそれに全力で頷いてる。


「あ、この話しは絶対に死にたくなければ他言無用ね?それじゃあ、魔族のことについて話すね。魔族って魔界に住んでるだけで、獣人や、エルフと一緒なんだよね。だから、魔族には知能も感情もある。さらに魔族の中にも種族…、まぁ、階級だね。それは、雑魔、その上に魔人、そして魔王と大まかに別れてる。魔人の中には吸血鬼(ヴァンパイア)淫魔(サキュバス)が含まれる。けど、鬼族は魔族じゃないから気をつけてね」

「魔族がエルフなどと同じなら、なぜ戦っているのでしょうか」

「それは…、中央図書にある魔族の絵本を読むといいよ、あれはおとぎ話じゃないから…。…じゃあ、続けるよ?魔族の事はわかったよね、次は勇者の話をするね。勇者は代々異世界から召喚や、転生されてこの世界に連れてこられる。勇者として連れてこられた人はいたけど、なぜか勇者になっていない。だからまだ勇者は僕と君しかいない、しかも魔王討伐後の人々の戦争で燃えたり紛失したりした。だから勇者の伝承は無いと言っても過言じゃない」


 流石に一気に喋り過ぎたから、勇者たちの頭の処理が追い付いてない。まぁ、そりゃあそうだろうな。絶対に悪だと言われているものが、自分達と同じって知っちゃったから。

 しばらくして勇者が口を開いた。


「…魔族を殺すってことは人を殺すことと一緒なのか?」

「そうだよ。ちなみに魔族は魔物を本来は従わせれないよ、従わせる事ができるのは人も魔族もモンスターテイマーだけだよ」

「…魔界ってどんなところなんだ?」

「魔界はこっちとあまり変わりはなかったよ。魔族の国は一つだけしかなくって、でもそこには幸せそうに暮らす魔族がこの国と同じぐらいいる。国の中心の魔王城には魔王の一人息子がいて、まだ小さくて弱いその子と約束した…。『絶対に魔族を人間界に暮らせるようにする』って、『人と共存できるようにする』って、さ。…あ、ごめん関係無いことまで話しちゃった。今の忘れて?」

「…リアンさんって、魔王討伐になんで参加しないの?力があるのよね?なら、人との為に使わないともったいないわ?」

人間兵器(おれ)はもう疲れたからさ、普通に暮らしたいんだよね」


 勇者たちは何かを考え込んでるみたいで、凄く、人の葬式みたいな空気になってる。


 しばらくたって、勇者は決心したように口を開いた。


「俺たちを強くしてくれっ!」


 その申し出に対して俺は食いぎみに断った。


「絶対に嫌です」


 勇者たちはとても驚いた顔をした。


「何でか理由を聞きたい」

「言ったでしょ?疲れたって。それに君達全員は自力でAクラスの3位まで上がれないといけないよ。自力で心も体も強くならないと本当の強さじゃないと“僕”は思う」

「何でよ!大魔法使いの私に魔法を教えなさい!金はいくらでも出すわよ!」

「ちょっと?!止めてくださいっ!ダメと言われたでしょうっ!」

「僧侶くん、いいよ。金で物をいわせる用じゃ、一生Bクラスだよ?“自称”大魔法使いさん」


 俺がそう言ったら顔を赤くして出ていった。それを追って勇者たちと剣精は出ていった。一瞬だけ勇者に睨まれた気がしたけど…。


「あれは、弱いままだな…」

「ご主人様、大丈夫ですか?」

「ん?大丈夫だよ。それより、制服姿可愛いね」


 フィアは顔を赤らめてしまった。可愛い。

 ちなみに制服は男女共通の紺色のブレザーに黒に赤のラインが入ったシャツ。女子は黒に赤のラインが入った膝丈のコルセットスカートに赤のリボン。男子は黒のズボンに赤のネクタイ。夏服は男女共通の白に赤のラインが入った半袖シャツ。シャツの胸元の右ポケットにはバッチがあり、クラスごとに色やデザインが違う。

 

 そのあと俺らは俺の広すぎる邸宅に帰り明日の準備をして、夕飯を一緒に食べて寝た。





 翌日、フィアと学院に行くと何やら騒がしかった。


「そこの白い人!私と決闘しなさい!」


 なんか面倒ごとに巻き込まれる気がするから、スルーして校門に向かった。


「フィア、行こっか」

「あ、はい」

「無視しない!髪が白い人と茶色い獣人!」


 なんか騒がしいけどフィアをお姫様抱っこして自分の教室に入り自分の席に着いた。

 席は順位順になっていて、上から下まである、大学のような席だ。だから俺は一番上の右端でフィアの隣だ。

 担任の先生が入って来るまでフィアと雑談をしていたら、後ろから声をかけられた。


「そこの人、邪魔よ」


 失礼な事を言われた気がするから無視。


「この(わたくし)が邪魔と言っているの、わかったらさっさと退きなさい?」

「あの、席は順位順で、3位の席はあっちですよ」


 大人な俺は丁寧に席の場所に指を指して教えた。


「そのくらいわかっていますわ」

「そうですか。じゃあ、そちらに座って頂いて」

「違いますわ。(わたくし)の席はここですわ」

「え…?話し聞いていなかったんですか?それとも自分の順位がわからない馬鹿ですか?」

「…ご主人様言い過ぎです…」


 フィアが何か小声で呟いていたけどそれを無視して俺はそのまま続けた。


「あぁ、数字が読めない馬鹿でしたか。よくそんなんで学院に入れましたね。尊敬します」

「あなた、馬鹿にしていますの?」

「え?今気づいたんです?」


 俺がそういうと金髪セミロングの令嬢は額に青筋を浮かべていた。


「あなた、(わたくし)に相当痛めつけられたいようですのね」

「今の会話でどうしてそう思ったんですか…?」


 そんな会話をしていると「ガラガラッ」と音がして担任の教師が入ってきた。


「全員席につけー」


 教師がそう言うと騒がしかった教室が静かになって、さっきの令嬢も含めて全員席に着いた。


「よーし、俺がAクラスの担任になったレイス・アルマだ。これから3年間Aクラスから移動しないやつはよろしくな」


 顔に大きな傷跡のある、茶髪の男…、レイスは軽く自己紹介をした。

 すると、静かだった教室がざわつき始めた。


「あの血濡れの剣士で有名な元Sランク冒険者の?」

「一日でゴブリンを殲滅したあの?」

「一番有力な勇者候補だったあの?」


 どうやら担任のレイス・アルマは凄い人らしい。

人物紹介

ユウヤ・ユウキ 種族…ヒト

年齢…15 身長…170cm

好きなもの…漫画、ゲーム、食べること

嫌いなもの…魔王、悪者

取得スキル…68個 女神のほほえみ、限界突破、覚醒…(中略)勇者の輝き、聖剣

魔力容量…1500

小話…異世界から召喚された二代目の勇者で志望校に入学してすぐに召喚された15歳の少年。ゲームに出てくる勇者にあこがれていて、自称最強勇者。

「俺、最強」

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