1,馬車の中で
桐原 春斗それが俺の前前世の名前だ。今からずっと前、俺は仕事の帰り道に信号無視のトラックにひかれて死んだ。
気が付いら、神さまが目の前にいて、二度目の人生として勇者になることになった。
その後勇者として魔王を殺した。その時した魔王の子供との約束を果たせずに死んでんだ。
俺はあの時の約束を果たすためにもう一度転生させることを神と契約した。本来三回も転生したら魂が持たないからやってはダメだけど、無理を押し切って転生した。
その結果俺は約2000年後の世界で身分を隠しSランク冒険者として三度目の人生を謳歌している。身分を隠しているのは、俺が忌み子の王子、アルベルト王国第二王子リアン・フォン・アルベルトだからだ。リアンの容姿は白銀の髪にグレーっぽい蒼い瞳そして、めっちゃ綺麗で中性的な顔立ち。
でも、一つ問題がこの体にはある。それは…、俺の中に一つの厄介な魂が封印されているからだ。
クソ生意気で、自我を奪いに来るバーサーカー、この世界の奴が作った人間兵器の転移者大村 怜人それが俺の中に“いる”。なぜわかるかって?それは、心の中で話しかけると返事が返ってくるからだよ。
前置きはここまでにして、今俺はそろそろ王都に帰ろうとしようとしてるところだ。母国から逃げるようにして旅に出て3年。そろそろ戻らないといけない。
一緒に旅している子もいるし。一緒にたびしているのは、今から約3年前、雨の中助けた、フィアという名の狼の獣人だ。彼女は、助けられたことに恩を感じているのか俺と一緒に居たいらしい。
っと、ようやくフィアが帰ってきた。泊まっていた部屋の片づけをしていたらしい。
「ご主人様、そろそろいきましょう」
そうフィアが言った。
「そうだね。準備もできたし」
俺たちはそう言って、王都行きの馬車に乗った。しばらくすると白銀の髪のせいかすごい見られていた。いつもはフードを被っているけど、こないだの依頼で破れたんだよなぁ...。しかも、珍し種族の獣人のフィアといるし。まぁ、本人は横で寝ているけど。そういう俺も気づいたら寝てしまった。
外がやけに騒がしかったから目が覚めた。周りの人に話を聞くと、どうやらAランクの魔物が出たようだ。迂回しようにもこの道を通らないと王都に行けないらしい。倒せるような実力者もいないから、あたふたしていたところらしい。このまま王都に行けなくなるのは大分困るから俺が倒すことにした。
「じゃあ、僕が倒しますよ」
「無謀だからやめろ!」
「そうだ!死にたくないならやめとけ!」
そう言われた。確かに、俺が一般人だったらったそうだ。
「ご心配ありがとうございます。でも、これでも冒険者なので」
そう返すと、俺は窓から飛び降りた。
出たという魔物は、デーモンラビットというランクの5m程の強そうな黒い兎だった。こいつの肉や毛皮は高級で、内臓なども黒魔導や、錬金術に使いうらしい。
デーモンラビットはこちらに気づいて襲ってきたけど、それより先に俺は首を切っていた。
「終わりましたよ。僕が倒したので、素材は全部いただきますね」
俺は死体を解体しながら大声で言った。それを聞いた続々と人々が出てきた。
「本当に倒したぞ」
「あぁ、あっという間だったな」
「何者なんだ」
皆それぞれの感想を呟いている。
解体した素材をマジックバックにしまっていると、後ろから声をかけられた。
「魔物を討伐して頂いてありがとうございます」
声をかけたのは馬車に乗っていた商人だった。商人の方に振り向くと、商人は倒してくれたお礼ということで貴重な鉱石や、宝石をくれた。
「これ、いいですか?」
「えぇ、命の恩人に渡すのならどうということないですよ」
そう言われたので遠慮せず受け取った。
「それより、あなたギルドランクはいくつですか?」
あぁ、その質問か。流石に「Sランクです」とは言えないからなぁ…。よく考えた結果俺は、
「えっと、Cランクです」
大噓をついてしまった。
「えぇ、Cランクですか?」
「はい、Cランクです」
「でもAランクの...」
「Cランクです」
「えっと...」
「Cランクです」
そう言うと商人は黙り込んでしまった。流石にCランクは無理があったけど、まぁ、大丈夫か。
そうこうしているうちに馬車が出発する準備がされていた。そろそろ乗り込もうとしていたら、後ろから商人がこちらの顔を見つめていることに気づいた。
「...?どうかしました?」
「あの...これ、貰ってください。王子」
そう言うと商人は何かを握らせた。
「それはシエルド商会のコインです。王子がここにいるということは、きっとなにか事情があるのでしょう。何か厄介ごとに巻き込まれたらこれを見せてみてください。そうすれば、我々シエルド商会が力になります。私達はどんなことがあっても王子の味方です。決して忘れないでください」
「え?王都は...」
「行きません。私はこれから小国新しい商会をつくります。いつかまた会うことができたときは商人と、王子として会いましょう」
と言うと商人はどこか遠くにいってしまった。そして馬車は出発した。
ギルド
主にソロや、パーティの冒険者が一般人の依頼などを受けたり、魔物の素材の売買をする時の仲介役となる施設。冒険者にはランクがあり、ランクごとに受けられる依頼が違う。冒険者のランクはSS,S,A,B,C,D,E,Fとあり、Sランクの冒険者は世界で数人しかいいない。
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