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ティムッピと傭兵たち

作者: はははてな

 ティムッピは、貴族の息子である。たが、この家の日々に退屈していた。ある日、ティムッピは旅に出た。剣と小切手と、お小遣いと布団と、いくらかの食べ物を持って。

 旅の途中、村についた。貧しそうで、村人の顔は暗く見えた。村長は言う。

「この村には、しばしば盗賊が訪ねにくるのです。そして、この村の農作物や財産を奪って去って行くのです。」

かわいそうな村もあるものだ。ティムッピは疲れていたので、今日はこの村で泊まった。

 翌朝、村人達のざわめきに目を覚ますと、村の門に盗賊たちが来ていて、村長と話をしていた。力で脅し、無理な要求を出して困らせているのだろう。ティムッピの父もよくやっていたから分かる。

盗賊たちに近づき、剣を抜いた。

「お前達は自惚れているようなので、私が身の程を知らせてやろう。一人ずつ、かかってきなさい。順番に倒してやる。」

盗賊達は、そんな話を無視し、大勢でティムッピに襲いかかる。決闘という概念のない者もいるのかと、ティムッピは思い知った。

 彼らがいくら襲っても、ティムッピに傷をつけることはできなかった。彼らが疲れ、息切れし始めた頃、ティムッピは自身の小遣いを彼らにばら撒いた。

「私がこれから、お前達に給金を払う。だからお前達、私の部下になれ。」

彼らには、大金だった。ティムッピに従うか従わないかの、損得の差を理解した。この村は、傭兵を持つようになった。

 それからというもの、ティムッピは村の農業を指導し、商売を教え、みるみる豊かにしていった。痩せこけていた村人の中に、幾人か豚ほど太った者が出てくるぐらいになった。だが豊かになれば、この村はまた盗賊に目をつけられるようになり、度々襲って来るようになった。その度に、傭兵と共に盗賊を返り討ちにし、金を投げて村に迎え入れた。

 そうやってどんどん傭兵が増えていき、いつしか一国の軍隊のようになった。かといって商売も大きくなってるので、それらを食わせるのにも困らない。

ここまで大きくなると、さすがに王様達の目につくようになった。まず最初に、この村を領地に抱える王様が、ご自慢の軍隊で囲い込んだ。大した口実もないのに、なんちゃら討伐だと言って村を攻める。だがティムッピの指揮は完璧だった。王国軍の幹部を抱き込み、情報をたくみに操り、地の利を活かし、罠をしかけ、兵の練度と食い物の差を見せて、士気を奪った。ティムッピと傭兵たちは圧勝した。王様は賠償金を支払い、村を独立させる羽目になった。

 村が独立すると、今度は周りの国の王様達が、俺から先に、お前の次はじゃあ俺がと、次々に村に挑戦した。だがその度にティムッピと傭兵たちが返り討ちにする。しかも、軍隊に飯を送るのも、武器を与えるのも、すでにティムッピの子会社だった。しまいには、軍が野営するはずの場所に贅沢な宿を作ってしまい、寝泊まりさせて金をとる始末。ティムッピを討ちに行くつもりが、どんどん金を吸われていった。中でも貧乏な国は兵士を雇う金が足りなくなって、ついに不当な解雇をし始めた。解雇された兵士がティムッピに泣きついて、また世界各地の盗賊どもも加わり続け、傭兵たちの増員は止まらない。そして、戦に勝つ度、挑んで来た国から賠償金や土地の譲渡などで償わせた。そうすることで領地まで吸い付くした。

 こうして、いつしかティムッピは、世界中の国に言うことを聞かせる人となり、村人と傭兵たちを、いつまでも太らせましたとさ。


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