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2 プロポーズされた?

 デミスはポーリィナが感極まって返答しないのだと思った。


「昨日は思ってもいないことを口にせねばならなかったので、多少不安はありましたが、私たちの愛があれば理解してもらえると思っておりました」


 デミスが嬉しそうに微笑んだ。


「えっと? それはどのお言葉のことでしょうか?」


「ポーリィナ嬢が『傲慢で高飛車な女』などではないと知っておりますよ。公爵令嬢として毅然と忠告し、冷静で正しい方なのはわかっておりますから」


――


『ポーリィナ嬢! 貴女は、王子殿下の婚約者であることを笠に着て、マーデルに対して、罵詈雑言を浴びせ怖がらせ脅し、貶めるような傲慢で高飛車な女だっ!』


 昨日のデミスはポーリィナをそのように非難したのだ。


 ポーリィナはマーデルに対して、個人的に忠告したことはない。罵詈雑言などとんでもない。

 だが、ポーリィナを慮って忠告をしたご令嬢たちはいる。


『王子殿下にはご婚約者様がいらっしゃいますのよ。ポーリィナ様のお気持ちをお考えなさい!』


 ご令嬢たちは親切心とポーリィナへの忠誠心で発した言葉であろう。しかし、それが一人歩きして、ポーリィナが言ったことになっていった。ポーリィナにとっては、ご令嬢方が間違えた忠告をしたわけではないので、特に訂正も注意もしなかった。

 『婚約者のいる王子殿下に擦り寄る女』が悪いというのは常識であるからだ。


――



「あの? つまり、ノキウス公爵令息様は、もし、わたくしが本当にマーデル様に言っていたとしても、それが理不尽な言いがかりではないとご理解なさっていると? そのうえで、昨日、わたくしにあのようなことをなさったの?」


「ええ。そうでもしなければ、貴女とライル殿下との婚約を解消させることはできませんし、あの場で私たちの愛を発表するわけにはいきませんでしたからね」


「ノキウス公爵令息様はマーデル様とご懇意になさっているのでしょう?」


 デミスは目を見開いて前のめりになった。


「それは誤解ですよっ! 私はあのような常識もなく無知でアバズレな女に興味などありませんっ! あのような女に騙されるのは、ライル殿下とユシャフとビーレルだけですっ!」


 『ユシャフ』とは外交大臣であるオプーレ侯爵の子息で、『ビーレル』とは騎士団長であるメッテル侯爵の子息であり、二人も昨日の糾弾に加わっていた。


「アバズレ……ですか……」


「ええ。私の知る限り他にも数人の男子生徒が骨抜きにされていますが、今は『ライル殿下には敵わぬ』と退きましたね」


 ポーリィナも女子生徒たちから相談を受けていたので、マーデルがいろいろな男子生徒に粉をかけていたのは知っていた。それについては、担任を通して忠告してもらっていた。

 いつしか、マーデルが、ライルとデミスとユシャフとビーレルという四人の高位貴族令息に囲まれることになり、やっとマーデルから男子生徒たちは離れたが、なんとか元の鞘に収まることになったカップルも別れることになったカップルもいたことは知っていた。


「あのアバズレを褒め称えてライル殿下をその気にさせるのは簡単でした。ライル殿下は私のこともライバルだと思っていたようでしたので。

貴女に少しばかり誤解されていたのは心苦しいですが、私たちの未来のためには仕方がなかったのです。

ふふふ。しかし、ポーリィナ嬢に嫉妬されていたと思うと嬉しくはありますね」


 デミスは口に拳を当ててニヤニヤとした。ポーリィナは理解できなすぎて頭はフル回転しているが、言葉を発するまでには至らない。


「それで、私たちの婚約についてですが、一月後というとこでどうでしょうか?」


「は? はい?」


「ライル殿下との婚約解消は昨日で受理されております。醜聞を払拭するためにも婚約式も大々的にやりたいですね。それに、公爵家同士の婚約式ですから派手にやるべきでしょう。

ポーリィナ嬢のドレスはすでに発注しておりますので、心配はいりませんよ。

私の色を纏ってくれる貴女はさぞ美しいでしょうね」


 デミスがウットリとポーリィナを見つめた。


「ドっ! ドレス、ですか?」


「ポーリィナ嬢が懇意にしている仕立て屋なのでサイズの心配はありません」


「ノキウス公爵令息様。それは……?」


 デミスはポーリィナが金銭的な心配をしていると誤解した。ポーリィナは公爵令嬢なのだ。普通に考えれば金銭的な心配などするわけはない。だが、デミスは今まで下位貴族令嬢とだけ遊んできたので、豪華なプレゼントに対して恐縮する女性もいたのだ。


「婚約者となるのですから、もちろん私からのプレゼントですよ。

それと、婚約者となるのですから、デミスと呼んでください」


 デミスはニコニコ顔でウンウンと頷きながら話した。

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