なんか転生した話を書きたかったんです。
「どこだ…………ここはぁぁぁぁぁ!」
男は世界の中心で叫ぶ。
…………右も左もわからないこの世界で。
「今日も何もない日だなぁ」
「なんか起きないかなぁ…………退屈だ」
この男は先ほどまで自分の部屋にいた。どこにでもいる何気ない学生で、何不自由なく学習している。少し得意な科目があって、少し苦手な科目もある、やはりどこにでもいる一般的な人である。
「いわゆる量産型って感じだなぁ」
「こんな俺は何も起きなくて、何もないまま一生を終えるんだろうな…………」
そんなことを考えながら帰路についていた彼であったが、道にふと目をやると一匹の黒猫が彼の横を横切った。
「珍しい事もあるもんだな」
「でも黒猫か…………」
なんてふと考えたが、すぐに振り返り同じ動作を再開しようと前を振り向いた瞬間、驚くべき光景が彼の目に映った。
「今さっきいたはずの黒猫」が「トラック」に轢かれようとしている。
その光景を彼はなぜか見過ごすことができなかった。いや、無意識に、反射的に体が動いたのだろう。彼の体は黒猫を抱きかかえうずくまるような体制になっていた。
そして、トラックが来る。
彼はふと、「こんな俺でも輝ける場所はあったのかな」と悪態をついた。
そして、今に至る。