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02 : いつもと違う周回

 森林地帯 - クエストエリア


 周りには街や村の影1つ見えないほどの濃い森林が広がる一帯。

 普通は何かしらが周囲に見えてもいいはずなのだが、

 ゲームのフィールドには2通り存在しており、

 クエストを特に受けずに直接フィールドに降り立って冒険するパターンと

 特定のクエストを受けてフィールドに降りるパターンだ。



「相変わらず、周りに何も無ぇってのはちょっとばかし心細いよなぁ」



 今回の場合は後者で、受けたクエストに応じた専用のフィールドが新たに作り出され、

 出てくる敵やマップの形状などもあらかじめ決まっている。

 それゆえ、日課のように慣れたクエストを周回するのが日常となっている。


「まー、クエストで出現した最強モンスターが街に向かっても危ないし、そんなもんじゃない?」


「一昔前のネットゲームだと、そういうこともあったみたいだしねー」


 プラネット・ワールドより遥か以前のゲームでは、

 街の近くにとんでもない強敵が召喚されて、街から出れずに大惨事。

 なんてことがあったとも聞いている。

 なので、そういった事にならないためのフィールド分けなのだろう。


「よし! 2人共、ちゃちゃっと終わらせるぞ!」


 アレンの掛け声に2人が答えると、パーティは森林地帯の奥へと進みだした。

 そこからはもういつも通りの連携プレイが炸裂し、



「デルタスラッシュ!」


「アイアンストライク!!」


「フレイムアロー!!!」



 リュウナが突貫してモンスター集団を蹴散らして、

 アレンが追撃し、リリスがトドメを刺す。

 もの言わずともここまで息が合っているのはさすがといえるだろう。



「グギャァー!!!」



 大小様々な形をしたモンスターの群れが瞬く間に消え、お金と戦利品に変わってゆく。

 消えないうちにそれらを拾い集めると、クエスト最後のエリアへと向かう。

 そこはいかにも最後の部屋ですと言わんばかりに丸く作られた広場で、

 真ん中には先ほどと同じモンスターが最後の砦として鎮座していた。

 そんな中、リュウナは一歩前に出ると、


「最後は私が決めるよ! よーく見ててね」


 自身満々に宣言し、2人が頷くと同時にモンスターへと突進していく。

 剣士クラスの中でも素早さが極めて高い彼女なら、

 このぐらいを一瞬で詰めることなど容易い。



「―――――――――もらった!!!」



 その間わずか1秒未満。

 モンスターが気付いた頃には既に遅く、彼女の剣技が炸裂する。

 必殺のクリティカルヒットが決まり、

 声を上げる余裕すらなくモンスターが打ち倒された。


「やったねリュウナ!」


「さすがだな!」


 モンスターがお金と戦利品に変わる間に、遠巻きに見ていた2人が寄ってくる。

 リュウナは満更でも無さそうな顔で笑顔を見せた。

 先ほどと同様に戦利品などを拾い集め始める。



「これでデイリークエストは終了だね。

 じゃあ、シティに戻って本命に――――――――――」



 いつもの日課は終了。

 終了報告のためこの場を後にしようとするが、彼女の言葉が終わる前に。




 ・・・・・・ガサガサッ!




 リュウナのちょうど背後。

 何もいなかったはずの草むらから突如として聞こえた音。

 風で草木が揺れているような音ではない。

 これは―――――――――――。




「―――――――――グオォォォッ!!!!」




 明らかに何かが動いたことで生じた音だ。

 そんなことを考える前に音の正体が姿を現し、

 先ほどと同じモンスターが草むらから飛び掛ってきたのだ。



「・・・・・・えっ!?」


「リュウナ、危ないっ!!!」



 突然のことに驚くリュウナの一瞬後に反応したアレンが、すぐさま盾を構えて立ち塞がる。

 不意を突いたモンスターの攻撃はそれによって防がれ、

 ぶつかった反動で後ろへと吹っ飛んでいく。

 だがそれだけではさすがに倒すまではいかなかったのか、



「――――――――――メテオストライクッ!!!」



 立ち上がろうとしていたモンスターに対して、リリスの魔法が炸裂。

 炎を纏った隕石が頭上から降り注ぎ、それらを一撃で灰燼(かいじん)へと変えた。

 消滅を確認したリリスが、慌てた様子でリュウナへと走り寄る。


「大丈夫!? リュウナ、怪我はない!?」


「う、うん。ありがとう2人共」


「まだ残ってやがったのか・・・・・・いや、でもしかし・・・・・・」


 リリスの手を取って立ち上がると、アレンが何かを考え込む仕草を取った。

 それも当然だろう。

 本来クエストに出現するモンスターは種類も数も決まっていて

 しかも毎日同じクエストをこなしている3人にしてみれば、知らないほうがおかしい。

 さっきリュウナが倒したモンスターで最後の一匹だったはずだ。




 ―――――――――なのに、新たな敵が襲い掛かってきた。




 数え間違いということはまずありえない。となると、


「仕様変更でもあったのかなぁ・・・・・・追加出現とか?」


「だが、それじゃ何かしらの告知がないとおかしいだろう」


「そうだよねー。無告知で追加なんてされないはずだもん」


 ゲームのアップデートによるものかと思ったが、恐らくその線はないだろう。

 このデイリークエストに追加があったという話は聞かないし、告知もない。

 だとすれば、バグか不具合の類だろうか?

 ネットゲームにはよくあることだろうし。


「バグか何かかもしれんし、後で報告しておいたほうがよさそうだな」


「そうだね。同じ状況で背後から襲われたら1発アウトの人だっているんだし」


 ギルド側と運営サイドへ報告する旨を確認した3人は、

 今度こそクエストエリアを後にするため帰還の転送術を発動した。

 光に包まれた3人の姿は瞬く間に見えなくなり、森林から掻き消える。

 そして、誰もいなくなったクエストエリアには静けさだけが残された。


 だが―――――――――――――――。




「・・・・・・」




 そこで不審に動く影があったことに気付いた者は。


 誰1人として、いなかった・・・・・・

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