わたしに妖精の羽が手に入ればな……
――――妖精の羽という名前の花があるらしい。それを手に入れた者は妖精の寵愛を受けることができるらしい……
⚘࿐⚘࿐⚘࿐⚘࿐
「アニサ」
「ん?なに?」
アルビノの少女が振り向く。と、同時に水が飛んできた。アニサと呼ばれた少女は突然のことで反応が遅れる。しかし、アニサに水がかかることはなかった。彼女の周りにバリアのような薄い膜がアニサを守った。
「ちっ」
水をかけてきた少年は舌打ちすると逃げていった。
「……なんなのよっ」
アニサが右手を振り上げると少年の足元が窪む。その窪みに足を取られ、少年は躓いた。転んだ少年を今度は草が捕まえて離さない。
「ねぇ、何?私になんか用?」
「…………いつも澄まし顔してて困った顔が見てみたかったから……」
「は?」
アニサの予想の斜め上を行く答えに気がゆるんでしまい、捕縛が解けてしまった。
少年は捕縛が解けると今度こそ逃げていった。
⚘࿐⚘࿐⚘࿐⚘࿐
あ~あ、私も魔法がちゃんと使えればいいのに。魔力量が普通の人の3分の1しかないから、大した魔法が使えるわけじゃない。しかも、属性は土と草なんてとくに使い道がないじゃない。まあ、特殊スキルは持ってるけどさ……!アルビノって特殊な色なんだから魔力とかもちゃんとあって欲しいよ……
「アニサー!風邪薬ちょーだいー!」
「ひゃっ!ユニおどかさないでよ……」
金髪寄りの茶髪の少女(少年にも見える)が扉を開けて入ってきた。
「そんな元気なのに風邪薬いるの?」
「ボクが必要なんじゃなくてリウが必要なんだよ」
リウとはユニの弟でユニの元気と引き換えに病弱に生まれてきた。度々リウが来てたけど最近は専らユニが薬を貰いに来てる。
「リウ、診に行こうか?」
「んーいつもの風邪だと思うんだけど……まあ、アニサがそう言ってくれるのなかなかないからお言葉に甘えますか」
薬草の入ったハコを背負い、戸締りをして家を出た。