アフターストーリー
After Story〜五年後〜
‘パン、パン’
俺は墓の前に立って手を合わせる。
お盆は忙しかったので、墓に来るのが遅くなり、前にこの街に来た夏の終わりからちょうど五年が経った。
墓の上には髪飾りがある。
本来祈るだけで終わりだった俺に希望を出してくれた髪飾りだ。
「我が愛の親友よ、そろそろ時間だぞ。」
俺はかつて『F』と呼ばれた親父の墓を後にする。
鏡介の所に向かう途中、小春が俺の目の前に現れる。
ちなみに今の名字は高橋である。
小春の母さんは四年前に亡くなった。
話し合いの場を設けて、話したのだが相手にならず、その一ヵ月後に泣くなった。
晴彦が言うには小春の母さんの体はぼろぼろだったらしい。
その後九州の親戚が現れたが、小春が俺になついてしまったり夜桜さんとおじさんがものすごいかわいがってしまたりしていて、それに気づいた親戚の優しそうでちょっと膨れたおじさんは「小春の好きにしていい」と言った。
小春は答えを出すのに一週間ほど悩んだ。
自分と兄である狼の名字が変わることが一番の悩みだったみたいだ。
遺産面に関しては元々金持ちではあったが地主とかではなかったため、家やSPなどを売り、全て貯金したらしい。
俺はその時とてつもなく忙しかったので細かい話は全部後で聞いたのだ。
「狼の墓綺麗にしてきたか?」
「お盆にもやったんだけどね、それよりも幸一兄さん今日は大事な日なんだから、行きましょう。」
こんな小春もいまや大学生で日本を代表するランナーである。
来年開催のオリンピック代表候補で現在日本の不動のエースが一人残りの二席を小春も含めた四人が争っている。
新参者の小春は少し不利かもしれないが来月の大会で全てが決まる。
まだチャンスはあるのだから頑張ってほしい。
鏡介のヘリコプターに乗る。
中には俺と鏡介、小春の他に団、こいつと結婚した香、それに・・・
「だれだっけ?」
「うわっこの人分かってるのに、僕だよ僕、詐欺じゃなくて大河、菊地大河!!」
だ、団は現在中学生社長で有名になったゲーム会社の右腕として活躍している。
香はそんな団を支えている。
きっと急に東京に出たからなれないことも多くて大変だと思うけど、電話で時々話す限り元気そうだ。
大河は二狼して大学に進学、かつて神童としてなごりで人の心を読むことが出来る彼は、心理学の勉強をしていて、そっちのセラピー関係に進むらしい。
なじられるのが好きなあいつにとっては、何でも言われる職業、ある意味天職だろう。
「失礼なこと言わないでくれません」
そんなことを言う大河を無視して
「あれから五年でしょ、さらに会うのは三年ぶりなのに皆変わらないね〜」
「フフフ、これも愛の力」
「・・・前見ろよ」
団が後ろを見ながら運転する鏡介に呆れ顔で注意する。
「だけどまさか、いや鏡介だから仕方ないか」
香があきれながら言う。
あれを狙ってやることが出来る人間は・・・鏡介恐ろしいな相変わらず。
鏡介とはずっと会っているというか仕事の関係上合わざるをえないのだ。
俺はあれからハース氏のコネもあり二年間向こうで勉強して医師免許を取得。
ハース氏の弟子という噂が流れてしまい、一時は大変だった。
あの日の事は内密になっている。
ばれたらただではすまないだろう。
言葉でいうより大変な事実が起きるだろう。
現在では『H』の病院の日本支部の地位で言えば助教授扱いのものをもらっている。
鏡介は現在医療の薬品の方の研究をしている。
陰ではものすごい薬を開発したとかしてないとか・・
「フフフ、それは事実かもしれ〜ないぞ」
「お前は、運転に集中しろ」
鏡介は俺の心だけ読んでくる。
本人は愛の力と言っているが、実際はかなり怖い。
「でも、せっかく本当の兄弟になったのに、三年前の結婚式からあってなかったんですから、さびしかったです。」
「そりゃ、コウは今や若手医師のホープですから」
「一年間ハース氏には悪いことしたからね」
「フフフ、着いたぞ」
俺達は病院に着いた。
入るとそこにはせんべいを食べている白衣姿の光がいた。
光は医者になった。
俺と一緒にコネを使い、現在では小児科と産婦人科両方を受け持っている。
「ヘリで来るとか相変わらずだね・・・う〜ん至福だね。」
光はせんべいを食べて、お茶を飲む。
「世間話はおいといて、先行くよ俺」
そういって、俺は走る。
医者が病院内走るのもどうかと思うが、俺は走った。
今日は最後の検診なのである。
夕と・・・
「祐一!!!」
「静かにしなさいよねあんた」
そういって、注意してくるのは朝鈴、そして当然の事ながら鏡介はもう着いている。
そして
「コウ君、やっと着いた。待ってたんだよ」
ベットの上にいる夕が‘話しかけてくる’
夕があの誕生日の日に渡せなかった指輪をはめている。
結婚式にも指輪を渡したはずだが、ずっとこちらをつけている。
そして、男の赤ん坊を抱いている。
名前は祐一、俺と夕の子供である。
検査とは、母子共に大丈夫だったら今日家につれて帰れるのだ。
「あ〜〜〜」
赤ん坊が大声で泣き出す。
祐一ではなく、今鏡介が抱いている女の子、名前は京である。
先ほどの会話のあれとはこのことである。
まったく同じ日に夕も朝鈴も出産したのだ。
光は両方の担当だったため、一日寝れなかったらしい。
そして、実際の小春の実際の義兄となった。
鏡介とも兄弟と言うことになったのだ。
「まったく、また泣き出した。誰に似たのよ本当に」
皆が朝鈴をみる。
朝鈴は「何?」とものすごい形相で睨み付けてくる。
そこで大河を先頭にみんな入ってきたのが間違いだった。
大河は蛇ににらまれた蛙のごとく固まってしまう。
あの日、夕の手術が終わった後驚きの連続だった。
今までしゃべれなかった夕が透き通った声で最初にしゃべった言葉が
「あれ、だれ?」
である。
なんに驚いていいか分からなかった。
いきなり夕がしゃべったこと、そして俺達が誰か分からなかったこと。
その後、話を聞いた後、夕の記憶が俺がいなくなった時からつまり親父が死んだ時から、手術までの記憶がない。
それを埋めるために一年間を夕のために皆が費やした。
そして、手術後の夕の最初の誕生日に俺は告白して、一年度しに指輪を渡す。
「長かったな」
「フフフ、これからはもっと忙しくて長くなるぞ、俺達の孫を見ないといけ〜ないからな」
「「結婚させる気!?」」
こういう場合どうなんだろ?
俺がそんな風に思ってると夕が俺のほうを向いてくる。
「さあ、うちに帰ろうか」
「うん」
CuRe(完)
この作品は3年前か2年前に受験勉強の合間に書いた物で、理系の自分が書いたので文法めちゃくちゃ誰が話してるかわからないキャラの暴走などとてもひどいです。
しかし、今さらながらよくこんな量書いたな〜と感じました。