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CuRe  作者: うり南
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2/5

修学旅行変

修学旅行初日


「幸一、私あなたのこと好きです・・・」



俺は目を覚ました。

今日から修学旅行があるせいか東京にいる頃の夢を見た。


「ま、会うこともないだろ」


そういって俺は一人納得する。


「おはよ〜」


「遅い」


いやまだ朝六時だし、なんで行事の時は昔からこうはやいのか


「コウ兄さんおはようございます」


『コウ君おはよ〜、ねえねえ昨日とっても面白かった

の』


「なにかあったの?」


『あのね〜昨日小春ちゃんの歓迎会したんだけどね、トイレに案内したら戻ってこれなかったの〜』


「わ、わ、わ〜夕先輩ひどいですよ〜」


よかった、どうやらうまくやっていけそうだった。

問題は山積みだけどなんとかしてやんないといけないからな



そして荷物を持ち集合場所の駅に着く。

残念ながら小春と一緒にいられるのはここまでだが、小春の周りには人がいた。

自分で得た友達だ、少しでも明るくなって欲しいと思う。


「おはよ〜我が親友」


鏡介達がきた。


「今日はなんか普通だな」


「フフフ、それは荷物が重いから〜だ!!!」


そういって鏡介は大きな風呂敷をおろす。


「団の荷物は軽そうだな」


「・・・現地で買うから」


そういう団の持ち物は小さな手提げ鞄一つだった。


「じゃ、全員きたから行きますか」


班長香がそういうと


「ひぃ〜、おまえらひどいな〜」


大河か走って来た。


「あ〜ワスレテター。ゴメンゴメン」


「かたことですか」


そして電車に乗り込む。

東京までは電車一本では行けず、途中で新幹線に乗換

える約二時間の旅である。


「ね〜コウ、東京ってどんなとこ?」


俺は困った。

実際東京で遊んだことはあまりなかったからだ。

とりあえず俺は


「人が多い」


といった。

俺たちは電車の中でどこに行くかの話し合いをしていた。

どうやら団が有名な電気街に行きたいとのことでそこに向かうことにした。



東京についた。

結局決まったのはそれだけで後は適当という非常にアバウトな旅行になりそうだった。

初めての東京にみんな


「わ〜なにあれ、たか〜い」


『見てみて、コウ君あれなに?綺麗』


「なにここ、人多い」


「フフフ、俺の愛の大きさ並みか」


皆田舎者まるだしだった。


「どうした大河立ち止まって」


俺が聞くと


「いや〜あまりに大きくて足が震えて」


「フフフ、チキンめ」



そして、団の希望の電気街に着く。


「・・・ここは天国?」


そう言って団は一人奥に入る。

とてつもなく張り切っていた。


「おいおい、団の目とてつもなくクレイジーだったぞ」


「あんな張り切ってる団久々よね」


鏡介と香もそれに気付いたらしい。

しばらくすると、両手に三袋ずつ荷物をもった団が現れる。


「それ全部買ったの?」


香が聞くと


「・・・大きいのは配達してもらった。」


団の目はとても達成感に満ちていた。

そして、今度は主に朝鈴の希望で服屋をまわることになった。

どうやら制服ではまわりたくないらしいいが、俺にはそういうのはわからなかった。

まわっている間、団はずっと新しく買ったデジカメの説明書を読んでいた。


「へ〜いろんな店があるのね」


「わ〜なにあれ、しかも安い」


『姉さん姉さん、これどうかな』


女子達はすごい盛り上がりようだった。

そんな時、突然朝鈴の腹の音が鳴った。

みんなが注目する中、朝鈴は顔を赤くして


「コ〜ウ、おなか空いた」


ものすごい目で俺を見てきた。


『わ、わたしもおなか空いたな〜』


「そうね、コウお昼にしよ」


夕と香がカバーする


「フフフ、俺がおまえを食べてやろう」


「しかし、俺どこに何があるか知らないし」


「せんべいあるけど、どう?」


「おっありがたい」


と大河は誰かからせんべいをもらう


「・・・この醤油味なかなか」


「フフフ、こののりともベ〜ストマッチ!!!」


「たしかにいけるわね」


『おいしいね』


「で、あんた誰よ」


みんなが流してきたものを止めたのは朝鈴だった。


「幸一、ひさしぶりね〜」


この声はまさか


「ひっ光か?」


目の前に現れたのは市川 光である。


「おい、気安く我が親友にはなしかけるんじゃ・・」


鏡介がそういおうとしたとき


「あ〜あなた夕ね、なにこれ幸一、人形?かみさらさら、きれ〜」


鏡介を無視して、光は夕にむかってく


『えっえっえ〜』


夕は光の行動にとまどっていた。


「わ〜顔真っ赤、ちょ〜かわいい」


「コウなにあれ?」


朝鈴が聞いてくる。


「あっそのなんだ、俺の中学時代のクラスメイトでせんべい好きだよ」


「ひどいな〜高校でも同じクラスだったじゃん」

そういって光は近づいてくる。


「そういえばひどくない?あんなにメールをおくったのに」


そういわれて鞄の奥の携帯を見る。


「・・・メール60件」


団が見てくる。

そういえば携帯を東京を離れてから一度も開いていなかった。


「まっいいや、こんどからちゃんとみなよ」


「ああ悪かったな」


こんな騒いでるやつだが、頭のよさはよく、もしでは毎回全国十位に名を連ねていた。

親も医者と弁護士というエリート一家である。

しかしこいつがここにいるということは・・・


「「「「「あっ」」」」」


ある五人の男の声が聞こえた。

俺は少しでも身を隠すようにしたが無意味だった。


「よ〜、松葉じゃねーか」


こいつらは一応前同じ学校にいたやつらで、光と一緒にいたとき、当時ほぼ他人との会話を拒絶していた俺に絡んできてうさ晴らしに殴ったりしていった奴らなのだ


「相変わらず光と一緒にいたんだな」


五人の一人が話しかけてくる。


「・・・・・」


「あいかわずだまってんのなおまえ」


「・・・・・」


「お、おいコウ」


大河が話しかけてくるが俺は黙りこくる


「いい気になってんじゃないぞこぉらー!!」


鏡介が動こうとするが俺は目で止める。


「おいなんだ松葉、かわいい子つれてんじゃねーか」


そういって夕の手を取る。


「ん!・・・」


俺は思わず反応してしまった。


「どうした松葉、おまえには光がいるんだろ」


そういった瞬間真っ先に反応したのは夕だった。

急に目を赤くさせ手を放し走りかけていく。


「夕」


朝鈴が叫び追っていく。


「ひかり!!!」


俺は叫び


「香、団ついてってくれ」


「僕は?」


大河は聞いてくる。


「おまえは残れ」


「えっ!?え!?」


迷子になってもらったら困る。


「ほら団、行くよ」


「・・まってくれ香」


今一瞬団に違和感を感じたがそれよりも今は


「おいなににらみつけてんだよ!!!」


一人がそういっていままで耐えてきた俺はついに・・


「まあちょっとまてよ」


そういって鏡介は俺の前に出て


「おまえらに聞きたいことがある、このコウの肩にあ

るナイフの傷はおまえらか?」


そんなもんいつ見たんだよ。

たしかにこの傷はあいつらにやられたものだ、当時の俺はやらなきゃいけないことがあった。

どんな犠牲を払っても、たとえそれが自分の命でも



結局一瞬だった。

切れた鏡介が体の丈夫な大河を巧みに使いあいつらは逃げていった。


「僕のことは気にせず夕を」


ボロボロになった大河が力を振り絞る。


「鏡介任せる」


本当なら大河をおいて鏡介に探させた方がはやいが、さすがに東京で迷子はまずいと思った。

俺は走った。



三十分ほど走っただろうか、夕と光が一緒にいるのを見つけた。

ちょっと入りにくかったのでちょっと離れたところで



俺は空を見上げた・・・




Before Story〜四年前〜


俺は心が乱れていた。

思春期という時期、父親の死、ある人への責任・・・

理由をあげればいくらでも思いつく。

母親に連れられた東京。

俺はただ母の後に付いて歩く。

アパートに着く、古くもなく新しくもない二階のアパートだ。

部屋は三部屋、風呂もトイレも台所もあった。

母は俺を座らせ荷物を置き、印鑑、通帳、保険証を渡し明応大付属中学というところに入るように告げて家を出て行った。

次の日には荷物も来た。

通帳の中にはお金が入っていた。

両親とも医者なので金は問題ないだろうと思った。

今唯一感じられること、田舎にいる友達だった。

次の日から学校に通う。

責任を果たすためにはそれ相応の成績を取らなければいけなかった。

毎週のようにくる手紙には励まされた。

返事を書く。

このときだけが安らぎだった。

学校では成績のために勉強、家では責任を果たすための知識を入れる。

家はどんどん汚れたし、髪はぼさぼさになり、髭まで生えてしまっていた。



そんな生活が続き一ヶ月ほどがたった。

最初の校内テスト結果は162位、学年の人数200人。

かなり下だった。

また勉強をする。

睡眠は毎日三時間、手元には常にコーヒーがある。


「おいガリベン君、残念だったね〜」


同じクラスのやつが話しかけてくる。

名前は知らない。


「おい!!聞いてんのお前?勉強してもむだなんだよ。皆知ってるんだぞお前が家に帰っても勉強してる事くらい、才能ないんだよ諦めな」


俺は無視を続ける。

その時だった。

一人の女の子がいきなり俺の解答用紙を見る。


「いっ市川さん」


さっきまで俺に話しかけてたやつの一人がそう言った。

どうやら市川という名前らしい、よく見ると結構美人だった。

そしてその市川という女の子は俺の解答用紙をパラパラみて


「すごいね君、基本はできてるし、応用力も高い、全部細かいミス、確かにこれは私も危ないかも、それに・・・」


そういってその女の子は俺に近づき、俺のぼさぼさ髪の毛を手であげて


「やっぱり、結構かっこいい」


そう言って俺に微笑む、俺も一瞬照れる。

しかし、すぐに


「市川さんが危ないなんてわけないじゃん、ずっと1位なのに」


俺はその言葉に驚く。


「先生に言われたのよ。あなたの1位を超える人材が現れたって、名前聞いたら同じクラスの幸一君」


俺は思いっきり反応してしまった。


「「「こういち〜!?」」」


俺の周りにいた奴らはそういって俺をにらみつける。

これが、俺と光の出会いだった。



それから何かと光が近くにいるようになる。

俺もなぜか光とはよく話せた。

身だしなみも整えていた。

何日かするとお互いを名前で呼ぶようにもなる。そんなある日俺は放課後勉強を教わっていた。


「ね、いまから幸一の家いっていい?」


「ゴミ屋敷だぞ」


これは決して嘘じゃない、しかし光は


「いいの、幸一が家で何をしてるか知りたいの」


「えっ?」


俺はクラスではみんな俺が家で勉強していると思っていると思っていた。


「だって一緒に勉強してたらわかるよ、幸一のこの効率の良さなら、家でもやっていたら私なんてすぐに抜かされるよ」


そういってせんべいを食べる。


「う〜ん至福だね!」


「なんで俺たちは家にいるんだ?」


気がついたときには自分の家に着いていた。

しかも部屋もかたづけられていた。


「幸一って実は友達思いなんだね」


「えっ?」


そう言って目の前の段ボールを突き出される。

中には、九割方夕と鏡介がしめる手紙の山が入っている。


「じゃ私もう帰るね」


「えっ、もうちょっといればいいのに」


「いいの〜?ホントに?でも私困っちゃうな」


俺は時計を見るともう十時を過ぎていた。


「気をつけて帰れよ」


「酷くない、まっいいや」


そういって俺たちは玄関まで行く。


「あっ、そうそう、今度家来なよ。私の父親医者だから少しは役たつと思うよ。それに学校の勉強なら私手伝うからさ、一人でにつまんないように」


その時俺はほっとした。

人に協力してもらえるから?

自分の努力を知ってもらったから?

俺にはこの気持ちの理由はわからなかった。




修学旅行初日夜


なんとか光が夕を説得し、俺たちはホテルに着く。

部屋は班に二つあり、男女で分けることにした。


「ね、コウなんでこの人いるの?」


大河がたずねる。


「逆らえないからしかたないだろ、それに夕達はすっかり仲良しだし」


「じゃ明日ここいってみたい」


『うわ〜面白そう』


「東京ってこんなものもあるのね〜」


そういって女子達は観光用の雑誌を見て話しあっていた。

その時、鏡介が急に立ち上がる。

実は鏡介はまだ光を信頼していなかった。


「市川だったか?」


「ん?光でいいよ」


鏡介は光に話しかける。


「ちょっと外きてくれ・・・そして我が愛の親友が信頼しているものを見せ〜てもらう」


そういって二人は外にでていく。



十分後

光が部屋に戻ってくる。


「幸一、あいつ結構出来る。」

そういって、腰を下ろし煎餅を食べる。


「う〜ん至福だね!」


俺は扉を開ける。

するとそこには倒れて痙攣しているかのように震えている鏡介のすがた。


「フフフ、デストロ〜イだぜ」


そういって鏡介は倒れる。


「・・・あの人何者」


「俺もわからない、鏡介と同レベル位だと思ってたけど、それ以上とは」


その後暫く、光の話しになる。


「へ〜親が医者と弁護士、金持ちそ〜」


香がそういう


「実際俺も光の家行ったけど、広さは夕ちゃんの家と大差無いと思うよ。」


「東京って土地高いのにすごいな〜」


『ふ〜んコウ君、光さんの家行ったんだ』


夕がなんかにらんでくる。


「あっそうそう、そういえば団」


俺は無理矢理会話をそらそうとして、思い出したネタは


「おまえ、香の事」


ズバッ

俺は夕、団そして復活した鏡介が俺を押さえ倒す。

すると香は


「なにやってんの?」


「コウを取るのは誰かあらそ〜てんのさ」


『そうそう』


「ふ〜ん団もはいってんだ」


「・・・」


団は顔を赤くして首を横に振る。


「バーカ」


朝鈴は俺たちをみてそう言う。



香とちょっと離れたところに俺は連れて行かれた。


『コウ君だめだって、香この事知らないんだから』


「ってか気付くの早すぎだよ、僕知ったのこの夏休み

なのに」


と大河


「フフフ、さすが我が親友」


「だって団の行動が香相手の時だけ違ったし」


「あんた、他の人に対しては敏感なのね」


「・・・まっいつか話すつもりだったし」


「告白しないの?」


俺はそう聞くと、団がまた顔を赤くしてしまった。


「フフフ、これじゃ無理だと言うことさ、理解したかな我が親友」


「ああ理解したよ鏡介」


「「フフフ、これはやるしかないだろう」」


『姉さん、コウ君がコウ君が・・』


「えっ?私も参加するわよ〜」


「・・・変な事するなよ」


団はそう言ったが今の俺たちを止めるものは何もなかった。


「いいからいいから」


「フフフ、俺たちにま〜かせるがいい」



その後就寝時間になったが、寝るはずもなく・・・


「香は夕にまかせといたよ」


と朝鈴


「香はなんか疑問を持ってたけどね」


と光


「多分それよりも、夕がここにこない方がすごいと思ったけどな」


俺がそうたずねると


「ああ、それなら僕がコウを一日使いたい放題って夕にいっといたからな」


「せめて俺に聞いてからにしろよ」


「どうせ断らないんでしょう」


朝鈴が不機嫌に言い出し。

となりで光は笑っていた。


「フフフ、大河、おまえなんて・・・人間以下じゃこ

のボキャー」


そういって鏡介は大河をボコボコにしはじめた。


「・・・それよりもどうしたらいい?」


「なにげ楽しんでんだろ」


「・・・うん」


と暗い中でも団が照れているのがわかった。


「うん、若いね」


「同じ年でしょ」


光と朝鈴がいう


「まっ最後はお前の決意だし、いい傾向じゃないか」


「とりあえず、明日行くとこは決めてあるから、途中

で別れればいいのかな?」


「・・・明日?」


「早いほうがいいからな」


「そうそう、その別れた後、幸一のお母さんの働いてる病院に行こうと思ってるんだけど」


「えっ!?」


俺は光の発言に驚く。

俺は中学になってから一度も母親には会っていない。

手紙は何度か出していたが、この年になるまで会う機会、いや、会うつもりがなかったからだ。


「私も行くつもりだし」


「フフフ、みんなで会いにいくのもいいかもな」


「じゃ明日みんながんばりましょう」


「フフフ、がんばるのは、この二人だがな」



そういって鏡介は俺と団の肩を掴む

俺は、不安だらけだった。

でも、会いに行くことにした。


修学旅行二日目


「母さん、なんで東京いかなきゃいけないだよ」


「・・・」


「父さんが原因なのはわかるけど、なんで俺が東京行かなきゃいけないんだよ」


「・・・」


俺は母親の無言の眼差しが痛かったが続ける。

父親が死ぬまで、母親とここまで言い争った事はなかった。


「それに、夕ちゃんはどうなるんだよ」


「・・・」


「まさか、見捨てるきなのか?おい、答えてくれよ」


「ねえ、コウ落ち着いて聞くの」


母親が口を開く。


「今、日本でこの病気を治せる人はいないの、あなたの父親がこの専門のトップだったの、ここまで言えばわかるでしょう」


そう言って母親は俺から離れていく。



俺は目を覚ました。

田舎を離れる直前の夢だった。


「おい、大丈夫かコウ!おいコウ!」


目の前には鏡介の顔があった。

どうやらうなされていたらしい、額には多くの汗がたれていた。


「大丈夫だって、それよりも、お前にコウって呼ばれるのも懐かしいな」


「フフフ、そうかそうか、心配して損したぞ」


「ああ、悪かったな」


「フフフ、我が親友がそんな事をきにするでない、じゃ飯だから早く下降りてこいよ。そうしないと俺がお前をくっちまうぞ」


そういって鏡介は部屋を出ていく。

団や大河はもう下に行っているらしい。


「あいつさ、あんたがいなくなった時、多分夕よりくやしがってたんじゃないかな」


いきなり朝鈴が部屋に入る。


「暫く本当に落ち込んでたんだと思う、なにも出来なかった自分に」


それは、まるで自分にもいい聞かせるよかのように朝鈴は話していた。


「早く降りてきなさいよ。夕が待ってるんだから」


「待てよ、たまには一緒に行こうぜ」


「そうね〜、やめとくわ、隣で涙目になってる子がいるから」


そういって横から出てきたのは、すでにボロ泣きの夕であった。


「え〜っと、夕ちゃん下で待ってたはずじゃ」


『だって、コウ君遅いんだもん』


夕は目を赤くして今にも泣きそうな顔で話す。


「あ、ごめんごめん、一緒に行こう」


そういって俺は、夕の頭をなでて食堂に向かう。

そして、夕に聞こえないように朝鈴に


「悪いな」


「なに気にしてるのよ、あんたらしくもない」


そして食事を取る。

俺はみんなに自分の気持ちを悟られないようにたくさん食べた。



電車に乗ってついた場所は昨日雑誌で見ていた所である。

その場所とは浅草の有名な雷門通りである。


「うわ〜ここか〜」


香が目を輝かせている。


「こういう所は似てるよな」


『香こういうのに目がないから』


「じゃうまくやれよ我が親友」


「・・・ああ」


そして、俺たちも行こうとした時


「コウ」


団の声が聞こえる。

俺が振り向くと、何かを決意したかのように


「・・・互いにいい結果を」


「おう」


俺と団は互いに片腕を挙げる。

実際言ったふりをして近めの物陰に隠れる。

しばらくすると、団のとこにくる香。


「あれみんなは?」


「・・コウの母さんに会いに行った」


団は馬鹿正直に答えた。


「おいあいつは馬鹿か?」


「あいつの頭なら嘘の口実でもつくれるのに」


大河と朝鈴はそういうが俺は、団が本当の事を言ってるのに違和感はなく、逆にあいつの本気も感じられる気がした。


「フフフ、まっあいつらしいではないか」


『団くん香の前じゃ嘘付かないからね』


そうなの?と俺が首をかしげると、みんなが頷いた。

団の話をきいた香は少し黙って


「うん、行こうか団」


「・・えっ?」


「あそこに駄菓子が売ってるんだよ」


そう言って香は団の手を取り奥に向かっていった。


「いい感じじゃん」


「じゃ私達も行くよ」


「せんべいも買ったしね」


いつの間にとみんな驚いていた。

俺たちが立ち上がり歩こうとしたが、夕は一人物陰から団と香が向かった方向を見ていた。


「夕ちゃんいこ、あの二人に問題なんかないよ」


『う、うん』


何か夕に元気はなかった。

そうしていると大河は


「大丈夫、全てうまくいくって」


そんなことのんきに言っていたが、夕は少し元気を取り戻したみたいだった。



一時間後、着いたのはものすごくでかい病院だった。

俺の母親はここで外科医をやっている。

四年に母親としての責任を止め、手紙とお金を送るだけの存在となった母親。

確かに、今の世の中様々な理由で母親としての責任を行えない母親はいる。

それでも、俺は母親を本気で憎んだ時期もあった。

多分俺を見捨てたからではなく、俺の隣にいる大切な存在を見捨てたことに腹を立てたのだろう。

そして、何も出来ない俺の苛立ちを母親にぶつけていたのだろう。

今、俺はあの母親に会って何が言えるのか、何を言えばいいのか分からない。

その時、俺の周りには

腕を肩にまわして言葉をかけてくれるやつ

心配そうにしたから見つめてくるやつ

馬鹿なことをわざと行うやつ

言葉に刺はあるけど根は優しいやつ

俺の全てを知り、同情ではなく協力してくれるやつ

そしてここにはいないけど、

物静かだけど、勇気があるやつ

いつでもなにがあっても、変わることなく接してくれるやつ


俺達は病院に入った。


「あそこのエレベータで三階に上がって右の奥の部屋ね」


俺たちは光の言うとおりにして、一個の扉を前にする。

そして、その扉を開ける。

そのなかには、棚に入らずに散らばっているファイル

、様々なノートがおいてある三つの机、そして少し、痩せ老いている女性が一人いた。

俺は口を動かせずにいた。

いや、動かしたかった。

でも言うことが思い浮かばなかった。

そんな中、その女性は涙を流し、俺に抱き付き


「こういち、こういち〜」


俺は一言


「母さん」


これしか言えなかった。



どれくらいの時間がたったのか分からない、長い間かもしれないし、一分しかたってないかもしれない。

その無言を打ち破ったのは朝鈴だった。


「お久しぶりですおばさん」


「そうね、久しぶりね、鏡介君に大河君、朝鈴ちゃんに、光ちゃん話しはあなたの父から聞いてるわそれに・・・」


母親は夕の方を向いて手をゆっくりと伸ばし夕の頭に手を置き、ゆっくり頭を撫でて


「夕ちゃん」


『お久しぶりです、おばさん』


それからしばらく、ぎこちないながらも会話をする。

いままであった事、その内容のほとんどは手紙で書いたことであった。

あえて、夕の事に関してはいっさい話さなかった。

そして、帰る時間となる。

たった時間は実際一時間もいれなかった。

その別れ際母親は妙な事をこっそり口にする。


「夕ちゃんの髪飾りにあの人の言葉が」


「えっ!?」


「こういち、母さんね今度町に戻れそうなの、今度は逃げないつもり」


「わかった、待ってるよ」


昔の頃の家族ではないにしても、大事な一歩を踏み出せた日だと思った。

しかし、髪飾りについては謎のままだった。



その後、団と香と再び合流する。

成功したようには見えないが失敗したようにも見えない。

前から決めていたとおり、俺一人が団にこっそり結果を聞くことになっている。


「どうだった?」


「・・・明日まで考えさせてくれと言われた。」


その時、この二人を取り巻いてた微妙な空気が理解できた。


そして、俺からさりげな〜くみんなにまわすと、みんな色々な表情をみせた。

とりあえず、はやく明日になることを望んだ。

そして、団が成功することも望んだ。

その後、食事や買い物をしたが、俺は母親の言っていたことが気になり、ほとんど覚えていなかった。

今日の夜は光もいったん自宅に帰り、みんなも肉体的にも精神的にも疲れていたので、消灯時間になるとみんな寝てしまった。


修学旅行三日目


→夕

私は目を覚ました。

時刻は五時をまわったあたりだった。

私は寝るということが嫌いである。

耳の聞えない私にとって、光も消える事は、この世界に私しかいないという寂しさを感じるからである。

私の部屋にある人形もそれが原因かもしれない。

まだ皆寝ているかな?と思い周りを見渡すと香の姿がなかった。

私は香と団君が上手くいって欲しいと思う反面・・・


『うらやましい』


そう思っていた。

とりあえず私は姉さんといったん帰ったはずなのに同じ部屋にいる光さんを起こした。

そして、ふとコウ君ののことを思い出すのだった・・・


→幸一

鏡介に起こされて目を覚ます。

何時も何かしらの夢をみるはずなのだが今日は見なかった。

鏡介の話しによると団は香に呼び出されて、宿の庭にいるらしい、俺は眠たい目を擦り、髪はボサボサのまま外に向かう。

庭には俺と鏡介以外全員が物陰にかくれていた。


「遅い」


朝鈴が小声で話しかけてくる。

夕はそれでも声が大きいと感じたのか指を口の前に立ててこちらを向く。


「そういえば鏡介何で団がいないことに気付いた?」


鏡介は当たり前のように


「睡眠なんて一時間あれば十分だろ、あとは寝たふ〜りだったさ」

「ちなみにあの二人の声って聞こえる?」


「フフフ、俺様を誰だと思っている。この距離ならなんのもんだいもない」


しかし、ここで夕はきき耳をたてようとしていた鏡介をとめる。


『聞いちゃだめだよ。』


「確かに、俺としたことが勘違いをしていたようだ」


「ほんとだよな、団だって頑張ってるんだからな」


「覗いてる時点でだめなんだけどね」


朝鈴のそんな言葉に俺は、たしかにねと返しつつ、二人を見る。

残念ながら薄暗くて二人の状況はわからない姿がギリギリ見える程度である。



二、三分たった頃だろうか、団が急に腕で顔を覆う。

泣いているのだろうか、そう思った時大河が何を思ったか物陰から走り出した。

その瞬間、団が香を抱きしめた。


「鏡介!」


「フフフ、では我が親友を盛り上げに行くとしよう」


そして、俺達は団と香に向かって走り出した。

先に出たはずの大河を抜き去り、大河は


「僕の方が先に出たはずなのに〜」


と叫んでいた。

それに気づいた団と香は互いの体を離し、顔を真っ赤にする。

そして俺と鏡介は


「「だ〜ん!!!」」


と言いながら、ラグビーのタックルのごとく突っ込む。

俺たち三人は倒れ込み、さらに僕も混ぜろと言わんばかりに大河も倒れる。


「団」


俺がそう呼びかけると、かなり照れくさそうに、指をピースさせ


「・・・ブイ」


それを見た俺達は、感情のままに団をぐちゃぐちゃにしてやった。

女子の方は、夕が何も言わずただ大泣きして、逆にそれを香が慰めていた。

朝鈴は肘で香の背中を叩き、光はやったねと自分の事のように喜んでいた。


そして、日差しが出てきた。

まだ半袖だと微かに冷える時間、一人の男の恋が実った瞬間だった。


「本当に、しあわせそうな顔しやがって」


と俺は団の頭をグリグリ押してやった。


「・・・次は誰だろうな」


団はそういいながら俺の顔を見る。

俺は困った顔をしていたのだろう、団はうつむきだした。


「次は、もちろんぼ・・」


「無論俺様だ〜!!」


そういいながら鏡介は俺に抱き付いてきた。

それを見た団はほっとしたのか


「・・・そうかもな」


と言い出した。



朝食を取る時間になる。

団と香はなにも変わらず、普段通りの会話をしている。

俺は香に向かって


「ね、なんで普段通りなの?」


「だって、こういう関係になった時、みょ〜によそよそしかったり、会話の途中で気まずくなったり、そんなイメージない?」


夕や朝鈴も俺と同意見らしく頷く。


「だってね〜」


「・・ああ」


このとき、二人が本当につきあいはじめたんだと実感した。


「それよりも今日どこ行く?」


香が話を変えてくる。

やっぱり恥ずかしいのだろうか、見ていて面白かった。


『じゃ、今日は課題終わらせちゃお』


「課題?」


俺がそんなのあったっけって顔でたずねると


『あったよ〜』


と夕は顔を膨らませこちらを見る。

俺は一生懸命思い出したが


「思い出せない」


「大丈夫大丈夫、私も忘れてたから」


『姉さん!?』


「それで課題って?」


その課題というのは、班ごとに調べた事を発表するという、なんか小学生じみた事をするというものだ、しかも全校生徒の前でやるというのが驚きだ。


「・・・そういえば題材ってどうする?」


「フフフ、どうすれば社会のトップにのぼりつめることができるの〜か、様々な会社の社長に話を聞き、実行しようではないか」


「いや、社長には会えないでしょ」


それ以前に題材としては問題があると思うのだが、こういう時俺たちは毎回の様に結論が出る。

最初、適当に終わらせて遊びたい俺、朝鈴、大河。

真面目にやりたがる夕、香、団。

好きなことなら努力を惜しまないが大抵俺がいる方につく鏡介。

次に夕が涙目で俺に訴えてきて、俺移動、俺に続く鏡介、これで勝負あり、結局真面目にやってしまうのである。

今回ただでさえ凝り性の光がいるため大変なのはまのがれない。

結局、東京の歴史とかいうありふれていて、資料探しの比較的簡単そうな課題になり大きな図書館に移動する。



電車で揺られること三十分、俺は少し前まで頻繁にお世話になっていた大きな図書館につく。


「変わってないな」


「最後に来たのつい最近だしね」


相変わらず煎餅を食べる光とそんな会話をすると、後ろからの夕の視線が寒気となってくる。

この図書館は建物の大きさだけでなく、本の蔵書もすごい、様々な専門家達も足を運ばせるほどである。


「とりあえず、何人かに別れて探して集合する?」


「そうだね、じゃどうしようか?」


そういって振り向くと、すでに鏡介の姿はなく、みんな呆然とする。


「あいつ〜」


香がそういって怒る。

当然だ、あいつがこんなところで課題を真面目にやるやつならこんな呆れない。


「・・香一緒に行かない?」


「う〜ん、じゃ行こうか」


そういってちょっと照れくさそうに団と香が図書館に入る。


「じゃ、私も・・・」


『「ちょっと待った!!!」』


俺と夕が逃げそうになっていた朝鈴の手を掴み、逃がさないように連れて行く。

それを見ながら光は笑いながら図書館に一人向かう。

俺は声をかけようとしたがいつの間にか消えていた。


『煎餅食べたまんまなのにいいのかな?』


「まっ大丈夫でしょ」


俺達も図書館に入る。


「僕を置いていかないで〜」


大河は走って俺達を追いかけてくる・・・が残念ながらその思いは叶わず、後に図書館の迷子のお知らせで放送されたのは、言うまでもない


→夕

図書館の中でとりあえず課題に近そうな本を、私、コウ君そして姉さんと一緒に探す。

実際多くの本が短時間で見つかった。

私は先に奥の方に向かう。

角を曲がろうとすると、そこには手をつなぎながら本を探す香と団君の姿があった。

私はとっさに本棚に隠れる。

そして、その二人を見ながら


『羨ましい』


と一人で考え込む。


しばらくたつと姉さんは


「ごめん、トイレ行ってくる。これだから本が多いと困る。」


「さすが朝鈴、予想通りだね」


「うっさい」


そういって姉さんはトイレに走って向かう。

途中係員に見つかり怒られるのを見て、私達は笑ってしまった。


「さすが朝鈴、予想通りだね」


『それさっきも言ったよ〜』


そして、二人して笑う。

そして私はふとさっきの二人を思い出し、勇気を振り絞ってコウ君の手を握る。

コウ君は機敏に反応して、手を放しこちらを向いて、その放した手を私の頭の上に置いて、膝を曲げ視線を私に合わせて


「夕ちゃん、どうしたの?」


私が望んでるのはそんな事ではない、ただ手をつないでくれるままでもいい、とにかく妹みたいに扱われるのが嫌になっていた。

昔はあんなにうれしかったのに


→幸一

「夕ちゃん、どうしたの?」

俺がそんな言葉をかける。

それはそうだ、急に手を掴もうとするのは今までの夕では考えられなかったからだ。

夕は目を少し赤くさせたのでハンカチを出そうとしたが、夕は泣かなかった。

俺はその事にものすごい驚いた。

なぜなら、昔から目を赤くさせたら必ず涙が流れていたからだ。

夕も変わっている。

いや、成長しているんだなと知り、うれしくなったが、結局、夕のさっきの行動は分からなかった。


その後、パラパラ本をめくり、もし必要な資料だと思ったらかごに入れる。

そして、さらにその中から厳選したものをコピーする。

その作業をただ繰り返す。

かなりの量を探したので、ふと休憩を入れようとした時、何かが首に絡みつき、体重がかかる。


「どうした、鏡介」


「フフフ、さすが我が合いの親友、まさに奇跡」


「おまえ、俺が他人だったらどうするんだよ」


「そんな100パーセントありえないことは口にすることも皆無!!」


こんなくだらない会話をしていると、周りからすごい視線、さらに近くにいた夕と朝鈴は他人の振りをする。


「ところでどうした?」


そういうと、鏡介は俺から飛びはね、一回転して着地する。


「まっいいから、こっち来てみ〜ろ」


そういってついていくと、そこには机にパソコンを置き、資料を見てまとめる団とそれを近くで見て感心する香の姿。

二人は時々顔を合わせて照れ笑いをする。


「いいね〜わかいね〜初々しいね〜」


「うわっ光!?」


「でも、本当なんかカップルみたい」


「まっ俺様達にはとうてい及ばないがな」



そういいながら課題のことを忘れ二人の行動を見て笑っていたらいつの間にか閉まる時間になる。


「そういえば昼飯食べてない」


と香がいうと


「いや〜おまえ達見て俺達はお腹いっぱいだよ」


と俺がいってみんな頷くと


「・・・えっ!?」


そういって団は顔を真っ赤にする。

実際はそれをみていて腹がたったので、二人と見あたらなかった大河を置いて昼飯を食べていたのだ。


「とりあえず結構集まったみたいだし、今日中に終わるかな」


「フフフ、発表の時が楽しみだな」


そういって鏡介はものすごく不気味に笑う、多分いつもの悪ふざけだろうが、こいつは何しでかすか分からないからな


「委員長として、注意しとくからね」


と香も半ばあきらめて言う。


「幸一、私が止めてもいいけど」


光がそういってくる。


「ほ〜う、この俺様を止めると」


「一昨日の勝負わすれたのかな〜」


そういって二人はにらみ合う、俺は案外気が合うんじゃないかと思った。


『あの二人仲いいよね』


夕もそう思っていたみたいだ。

その後宿に戻る頃にはもうあたりは真っ暗だ、夏が過ぎると日が落ちるのが早く、なんか少し寂しい気持ちになる。

課題を終わらせるため、女子の部屋で資料をまとめる。

鏡介は


「フフフ、やらねばならぬ事があ〜るのさ」


といって男子の部屋にこもってしまった。

いつもの事なので気にしないようにしていた。

資料の方に関しては、かぶっていたのはあったものの、ちゃんと別々の物があったのでとりあえず形にはなりそうだった。


『そういえば明日で最後だね』


不意に夕が言い出した。


「光とせっかく知り合えたのに」


「そんな事言って、実はずっと私と幸一が二人っきりにならないように見張ってたのに?」


「うっ」


『そうなの姉さん?』


「そうなの朝鈴?」


俺と夕がほぼ同時に話しかけると、急に顔を真っ赤にさせ、フンといってそっぽ向いてしまう。


『じゃ、明日二人で遊んできたら?』


と夕が言ってきた。

俺は困惑していたが、光は目を輝かせている。


「じゃ、昼までに駅着けばいいんだよね?」


俺がたずねると香と団が頷く。


『じゃ楽しんできてね〜』


「でも、課題終わらせないと」


「いいってそんな事私達やっとくから」


「・・・そうだよ、少しは楽しめ」


そうして俺と光は明日少しの時間だが遊ぶ事にした。


修学旅行最終日


→夕

私はなんであんなことを言ったのだろう。

コウ君と一緒に最後まで遊ぶつもりだったのに、やはりあの時の言葉が気になったのだろうか?



修学旅行初日、変な男達に引き寄せられ、その男が言った。


「おまえには光がいるんだろう」


これが聞こえた時、私は自分の中で何かが砕けたかのように涙をながして走った。

前からコウ君のことは好きだった。

それを私と離れていた三年間コウ君と一緒に過ごした人、何かの間違いであって欲しいと思いながらも真実がわからない私はとにかくあの場所にはいられなかった。

しばらく走ると、誰かが私の肩を掴んだ、光さんだった。

今もっとも会いたくなくて、もっとも会わなければならない人に捕まった。


「私、こうみえて結構運動神経いいんだ」


確かに私は息を切らしていたのに、彼女の肩の動きは乱れていなかった。

すると彼女はある方向を指差し


「えっと、さっきの言葉で逃げたってことは、普通にしゃべっても問題ないんだよね?私あなたとお話したかったんだ」


凄く頭のいい人だと私はおもった。

彼女の後に着いて行くと彼女はベンチに腰を降ろし、煎餅を勧める。

私は首を横にふり、ベンチに少しスペースを開けて座る。

少し沈黙が続いた後、彼女がこちらを見てしゃべり出した。


「さっきはさわいでごめんね、幸一が見えた時ね、うれしかったんだ」


煎餅のバリッとかんだ音が聞こえた。


「それに、夕ちゃんにも会いたかったしね、ああ、私のこと光でいいから」


さっきのごとく私は圧倒される。

わたしは、コウ君のことをたずねると、彼女は


「あははは、残念ながら何でもないよ。多分向こうは何とも思ってないんじゃないかな、あなたのこと本当に大事なんだと思うよ」


私は少し驚いて、話の続きを聞く。


「私のこと、大事な友達だって、結構悲しかったんだよ。あきらめずに三回も告白したのに・・・」


その言葉を聞いて、彼女は本当にコウ君の事が好きなんだとおもった。

そして、それでも友達の関係を続けている二人、コウ君も彼女が必要な存在なんだと思う。


『コウ君、友達大切にする人だからね』


「私もそう思う、それに・・・いや、なんでもない」


彼女はそこで口を詰まらせる。

なんなのか分からなかった。

でも、なぜか安心していた。

その後、私達は仲良くなっていた。



そして、昨日の最後という言葉に私は思わずいってしまっていた。


『じゃ、明日二人で遊んできたら?』と


そして、朝七時に二人は宿を出る。


→幸一

朝七時、俺は光と外に出る。

昨夜は夕のなんとなく寂しそうな顔を思いだして眠る事ができなかった。


「ずいぶん眠そうだね」


「まあな」


「夕ちゃん?」


「まあな」


「嘘つかないんだね」


「まあな」


「私の事好き」


「ごめんなさい」


「よし、ちゃんと起きてはいるようだね、じゃはりきっていこ〜!」


そして俺たちは、正確には、光と彼女に引っ張られる俺は、遊びに出かける。

とは言っても、この時間はまだ店とか開いていない、とはいってもサラリーマンや学生で道は混んでいた。


「気にはしないんだな」


「もっちろ〜ん、幸一が私の事どう思っているか分かっているつもり、でもね・・・」


そこで、光は一瞬悩んだのか一息入れる。


「幸一が思っている事はっきり言わないと、気づかないうちに人を傷つけるんだよ。」


「・・・」


俺はそこで夕の事を思い出した。

なぜかは分からないが、俺は夕を傷つけているのかもしれない。


「じゃ、行こうか、私はもうなにもいわないし、敵に塩を送りたくないし」


「へっ!?」


「なんでもない、なんでもない、あっバス来た。これ乗ってこれ乗って」


「おし!行きますか」


俺は一回顔を叩き、そう言う。

向かった先は、水族館だった。


「ほら、鮫だよ鮫」


「普通こういう時、イルカとか、観賞用の色鮮やかな魚とか見ないか?」


「だって歯だよ歯」


そこには、口を大きく開けている鮫がいた。


「そういえば、ここにいる魚なんで食べられないんだろうな」


「ここにいる鮫はね常にお腹いっぱいなんだよ」


「その発言、夢ないって」


次のコーナーには小さな観賞用の魚がたくさんがいた。

それを見ると、以前、みんなで水族館に行った時に、夕がその魚を見て、そこから動かないでずっと目で追っていたのを思い出した。

そして、ボーとしていた。

するとそれに気づいた光は溜め息をつき


「はい」


そういって手を差し出す。

俺が不思議そうな顔をすると光は深呼吸をして


「今日のデート代、夕ちゃんのとこ行ってきな」


俺は黙って頷き、金を出して


「今度はちゃんとメール返すよ。」


「頑張れよ。あっちのほうもね」


そういって、俺は走り出す。

別れ際に、なんで敵に塩振ってるんだろ、という光の声は忘れる事にした。



走り出したものの夕達の居場所がわからなかった。

そこで、修学旅行初日に団が買った携帯に電話をかける。


「・・・団です。」


「俺だよ俺、幸一、今どこにいる?」


「・・・えっ!?」


そうするとなにか風が走るような音がして


「フフフ、我が親友どうかしたのか?」


「お前、確認しろよ」


「そうそう、大変な事が起こった。落ち着いて聞くがよい」


そう言って一息おくと


「夕が倒れた。」



俺は自分でも信じられないくらいの早さで病院についた。


「教訓、1つ、人の話は最後まで聞こう。」


と鏡介がいう。


「2つ、夕の事になると我を忘れすぎ」


と朝鈴がいう。

そして、夕が歩いてきて


『コウ君、どうしたの?』


俺は訳が分からなくなりたずねる。


「寝不足だって、昨日あんな事言わなかったら良かったのにね」


『それより光さんは?』


「夕ちゃんが心配だったからな」


そういうと夕が顔を真っ赤にする。


「・・・医者がもう帰っても大丈夫だって」


「フフフ、じゃ遊ぶとしようあと三時間しかないぞ」


そうして俺たちは騒いだ、夕はまだ眠いのかすごい静かだった。



そして、俺達は帰った。

最初はいやだったけど、東京に来て良かったと思った。


「そう言えばもうすぐ文化祭だね」


「・・・あと一ヶ月あるけどね」


「フフフ、騒ぐとしよう」


電車の中でそう言う話をする。


『楽しまないとね』


「ああ、そうだな」


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