百鬼 愉快宴症
街の光が薄く伸びる路地裏で、
軽やかな足並みで道を歩く少女が一人。
何が楽しいかわからないが、
少女は何かを楽しんでいた。
私は楽しくて仕方がないの。
生まれた時から一人だったけど、
親の顔なんて知らないけど、
孤児院に捨てられたけど、
孤児院の先生にも嫌われていたけど、
私は幸せだった。
周りを見渡せば、
大きなわんちゃんや、
尻尾の三つある猫とか、
真っ赤な色したお魚さん。
みんなが私の話し相手なの。
だからね。
世の中辛いことばかりじゃないのよ。
きっと私は幸せ者なのね。
お前は哀しみの深淵症なり。