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家路

コンビニを出てから硬い体をなんとか動かして、家に向けて歩く。


すこし歩くと、錆びた機械に油を注したみたいに、なめらかに歩けるようになる。


高い建物はなくて、時々畑がある。作っているのはネギだったり、大根だったり。色々だ。


昔からずっと変わらない。変わろうとしなくていいものもある。変わりたいと思った時にはもう、人は変わっているらしい。


だったら、この畑の持ち主は長いこと変わろうとしてないんだろうか。


まっすぐまっすぐ歩く。


もう少し歩くと桜の木がある。普通の桜より花の色が濃い。理由はわからないけど。


この桜を綺麗と言っている人がいると、嬉しい。私の首のあざの色に似ているから。


桜。私の名前も桜。たしかに、私のあざが生まれつきなら、その名前をつけるかもしれない。


つけられた当人は、親に理由を聞かずとも自分の名前の由来に気づく。


小学校に上がる前は、すこし誇らしかった。自分の名前を冠した花があることと、自分の体にそれを表したようなものがあることが。


小学校に上がるくらいから、急に人の悪意はむき出しになる。小さい子どもが可愛いなんて嘘だ。


小学生になるころには、人は立派に邪悪で、自分とは違うものを攻撃しようとする。


そこから徐々に人に優しくなっていって、高校生くらいになると、無理に関わらなくなる。そういう優しさには何度も救われてきた。


でも、今度は先生がどうして関わらないのかを問い詰めるようになる。


いつまでもバランスは取れないままだ。

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