三題噺(寝たい 桜吹雪 ちりめんじゃこ)
桜吹雪が舞う道
少し離れたところを歩く影二つ
片方の影がもう片方に手を伸ばした
伸ばされた片方は繋ぐこともなく歩調を早める
残された片方はじっと繋げなかった手を見つめた
パチっと目が覚めた
夢か……
頭を掻きながら体を起こす
時間を見ると時計は八時を指している
昨日は台風の影響ですごい雨だった
今は……
「晴れてる」
思わずそう呟いた
真っ青な空が1面に広がっている
これが台風一過というやつか
私はぐっと背伸びをした
まだ、眠いが何度も寝てしまうと脳がダメになりそうなので我慢する
とりあえず、身支度をする
顔を洗い、歯磨き
今日は休日なのでノーメイクだ
携帯が震える
LINEで友人から連絡が来ていた
(今日暇?)
唐突だなとは思いつつ予定のない休日なので暇と返しておく
(じゃあ、懐かしの友人と遊ばないかい?)
自分で懐かし言うなよと思いつつ快諾しておく
(ふふふ、かずきも来るってさ)
その文を見て思わず歯磨き粉が気管に入ってしまった
しばらく咳き込む
「なに、あれ。予知夢?」
思わず夢のこと思いだす
一気に行きたくなくなったがもう快諾してしまっている
「それに、このタイミング断ったら引きずってると思われるか」
それは癪だな
そう思い、平然を装って「そう」と返した
LINEで知り合いから「そう」と返ってきた
「時間かかってるなー。やっぱ気にしてるのかねー」
私は一人ケラケラと笑いながら、朝食のちりめんじゃこご飯を頬張る
かずきも似たような反応をしていてほんと似た者元カップルと再認識させられた
本人は気にしてない体を装ってるがわたしから見たら未練たらたらである
別れた理由がパスタはアルデンテかきちんと茹でるかで喧嘩したからとか何それ?と当時思ったし、そんな理由だからお互いに思いが残ってるのだろう
2人とも私に喧嘩して顔合わせづらいなんて相談してたし
まぁ、私も適当にアドバイスしてたけど……
まさかの別れ話になるとはなー
なので時を置いてこうして再度会う機会を作ってみた
当時きちんと間に入らなかったことへの罪滅ぼし……な訳でなく
「ちょっといじってみたくなったんだよねー」
近くにあった鏡を見る
かなり意地悪な顔で笑う女がそこにはいた
「まぁ、楽しませてよね。2人とも」
私はLINEで集合場所を二人に送った
さて、どんないたずらを仕掛けてやろうかな
お題を下さった方々
お粗末さまでした