1-4.メイドさんがいる
用意されていたネグリジェを着て部屋に戻る。
「ルチア様。お湯加減はいかがでしたか?」
「あなたは…?」
「わたしは魔王城のメイド長を務めておりますポリッシュと申します。このたびルチア様の世話役に任命されました。何卒よろしくお願いいたします」
部屋に戻ると、美少女メイドさんがいた。
もちろん魔族だろう。
姿こそ人間とかわりないが唯一、耳が細長く横へ延び先端は鋭くとがっている。
オレンジに近い茶色の髪と後頭部でまとめ、瞳は黄色。紺のワンピースに白いエプロンドレスを合わせた格好はいかにも城や貴族の家いたメイドそのものである。
整った顔立ちを見る限り人間の貴族のご令嬢でも通りそうだ。
「こちらこそ…」
「さっそくですが冷めないうちにお召し上がりくださいな」
「ありがとう…」
グレンが監視役を付けたのか、世話役を付けたのか、見当はつかないが前者ではないと期待してする。
ポリッシュさんは部屋の一角に作られたテーブルに案内してくれた。
部屋自体はそれほど広くないが、それでも十分な広さを取られており、貴族の家でしかお目にかかれないようなキングサイズの天蓋ベットをおいても、圧迫感を感じない。
魔族の食事なので最初こそかまえていたが、鼻孔をくすぐる美味しそうな香りと
色とりどりの料理にそんな警戒心は吹き飛んだ。
黄金色に煌めくコンソメベースのスープを一口に含めばもはや当たり前の感覚となっていた空腹感が押し寄せもっともっととすっからかんの胃袋が主張をはじめる。
欲の赴くままスープ、サラダ、肉料理(なんの肉かは不問とする)をたいらげデザートのジェラートを頂き久しぶりに空腹感とおさらばした。
その様子をポリッシュさんはニコニコと見守っておりそれはそれで気になる・・・。
「ごちそうさま・・・」
「お口に合いました?」
「えぇ、とても美味しかったです」
「それはなによりですわ。今日はお疲れでしょう。ごゆっくりお休みください」
「まって、私まだ気になることが・・・」
「ルチア様、今日はルチア様はとても疲れておいでですわ。どうかここはお休みくださいな」
ポリッシュさんに促され渋々頷いた。
確かに食欲が満たされて睡眠欲がやって来た今の状態ではまともな話は聞けないだろう。
私はポリッシュさんの言葉に促されるまま、行儀が悪いなと思いつつベットにダイブした。
ベットはシーツがきちんと整えられ、リラックス効果のありそうな花の良い香りがして気が付いた時には夢の中にいた。