5-1.歓迎されてる気がしない
再びゲートを通って学園に戻ると、出迎えたのは到底歓迎されているとは言えない歓迎だった。
「姫と勇者を拉致した不届きものであるぞ!!捕らえろ!!!」
ゲートを通過してグレンが即座に気分の悪さを回復させてくれたおかげで周囲の様子は確認することができたが、これは一体…。
王家の紋章を掲げた兵士たちが、ゲート一体を取り囲み、ネズミ一匹逃がさないような包囲網を張っている。
兵士たちは一様に槍とか剣を構えいつでも戦える体制を整えている。
「これは一体どういうことだ!!」
グレンが声を上げる。
予想通りとでも言いたげだがおくびにも出さずに。
「どういう?よくもエリオ様とジン様を…!!」
おそらく指揮官であろう一人が前に出た。
数人、装飾がやたら豪華な人たちがいるから、きっとエリオ様の腰ぎんちゃくだろう。
「なるほど…二人に恥をかかせた俺たちへの復讐ってことだな?一応言っておくが復讐は復讐しか生まないぞー」
「復讐などではない!!正しい正義を行使しているまでのことだ!!」
正しい正義、と聞いて更にげんなりしてきた。
人の話を聞かないところとか、カレン様とエリオ様ってホント似てる。
「約束通り二人は無事だ。もう必要ないから返すが俺たちに指一本でも触れてみろ、二人の命はない」
未だ球体の中で項垂れるセージとカレン様。
精神的にはボロボロかもしれないが時間がたてば元に戻るだろう。何せ精神的にボロボロな原因は自身の弱さなのだから。
「助けて!!!私たちはこの魔王に捕まったの!!殺されちゃう!!!」
姫様が叫び声をあげた。
時空間を越える衝撃で青い顔をしてはいるが、叫ぶだけの体力はあったようだ。
「姫様!!おいたわしい!!ただいまお助けしますからお待ちください!!!」
「いや、だから無傷で返すって…」
「そのような妄言信じられるか!!魔に通ずるものの言うことなんぞ信用ならん!!」
ここは魔法学校…魔に通じる者たちの巣窟なんだけどな…。
部屋に魔法使いは確認できないが、近くで聞き耳を立てているはず。
魔法使いはプライドが高いのだ。
侮辱されて苛立っていることが見なくてもわかった。
「ったく…めんどうくさいな」
グレンが魔法を使おうとすると、別の方向から兵に向かって火が放たれた。
波のような赤い炎が兵士たちに襲い掛かる。
「魔法学校、研究所の敷地内でそのようなことを言うとは実に愚か。国の行く末が不安でならんよ」
アゲート所長だ。
兵士たちのちょうど後ろ側からアゲート所長と、武装した魔法使いたちみえた。
やっぱり聞いていたのか。
「グレン殿。申し訳ない。わたしが外した間にメノウが引き入れたようだ。メノウは王家と随分仲良くしていたみたいだ」
「そんなことだろうと思ったよ」
「これは幻覚の炎なので怪我などはしない。ただちょっと熱い気がするだけ」
魔法使いたちは速やかに兵士たちを囲み彼らを拘束していった。
「ここにいてもあなたたちの望みは叶わない。早く城へ行きなさい」
「あぁ。助かるよ」
グレンは再び私を抱え直すとセージとカレン様の入った球体を引き寄せた。
時空間魔法を使うのだろう。
「所長!!」
「ルチア、元気でな」
「…いってきます」
短くそれだけ伝え、景色はいつか見た謁見の間となった。




