第四話 めざせド○エもん
4.
今から話すことは、まあ、設定みたいなものだから読み飛ばし推奨だ。
大都市ミズーリについての話をしよう。オスアナア大陸の北部にある。
名前の由来は売るほどの水資源があることからきているそうだ。事実、東部に行くと巨大な湖がある。
俺の印象は巨大な中世ヨーロッパの都市だ。しかし、印刷技術や農耕技術を見る限り、地球歴史に照らし合わせると近代くらいの技術力があると思う。魔法もあるしね。
政治体系も絶対王政であるが立憲君主制に近い感じだ。法律も整備されているし、評議会という貴族と有識者からなる集団も存在していて、王様の好き勝手にはできないようだ。
異世界テンプレの腐敗した貴族政治ではない可能性が高いと思う。理由は国が教育を推奨支援しているからだ。そのおかげで俺も字が読める。助かる。
驚いたことに上下水道が整備されている。トイレも水洗だ。もちろん、各家庭に蛇口があったりはしないが、水汲み場がそこかしこに設置してあって非常に便利だ。風呂はないが、水浴びは頻繁に行える。畑への水まきも思いのほか大変ではない。
家電の代わりとしては、魔石はエネルギー資源として利用し、火属性の魔石がはめ込まれたコンロや風属性の魔石を使った送風機などが存在しているらしい。実際に見たことはないけどね。孤児院にあるのは昔の日本の様な台所だ。
ミズーリは北部3層と南部5層の城壁で構成された都市だ。1層は王城があり、王城の外周は外堀になっている。その周りには上級貴族街がある。
2層には下級貴族の邸宅と商人街が存在している。また一部の職人街と上級裁判所がこの層に存在している。
3層からは雑多だ。なんでもある。住居もあれば、商店街、デパートのようなもの、学校、冒険者組合、憲兵所、思いつく限りなんでもだ。孤児院があるのも3層だ。南部にのみ存在する4層と5層については新たに開発されつつある層で何があるのかは詳しくは知らない。
北部の外側には巨大な耕作地が広がっている。麦、陸稲、イモ、綿花、葉物、根菜といった様々な農作物を生産している。米があるのは素直にうれしい、うれしい。農耕技術には今のところ魔術を使用している面は見たことが無いと思う。肥料も撒くが、骨粉や堆肥だ。
家畜もしっかり存在している。牧場には牛と馬と鳥が飼育されている。馬は馬車馬や騎乗用として使われている。牛は肉と乳と皮、鳥は肉と卵を取るためだ。家畜の数はそう多くないため、家畜由来のものは高級品と言えるだろう。
馬と書いたがヒポグリフの様な見た目をしており、地球のものとは異なるようだ。飛ぶことはないがばんえい馬よりも大きな巨体をしていて、速い。
牛はバッファローの様な見た目をしており毛むくじゃらだ。牛毛が取れそうだ。
鳥だけは鶏に近いが飛ぶ。トビウオみたいに飛ぶ。ヤガラとかダツの様に危険だ。
そして、この家畜の飼料だが放牧などは魔物がいるためか行われていないようだ。ならば何を食べさせているかというと、ゴブリンだ。牛と馬はゴブリンの死骸を頭からごりごり食べる。鳥も凶暴なのか穴だらけにしながら食べる。ゴブリンが生活に密着しすぎていて怖い。
ゴブリンの話が出たところで、魔物の話をしようと思う。魔物とはこの魔石が存在する人以外の生物を指すらしい。この魔物の心臓内部に魔石が存在し、ゴブリンなんかでも米粒ほどの魔石が採取できるんだとさ。
また、魔物は魔素が濃い場所では自然発生で表れる場合もあるそうだ。質量保存の法則に喧嘩を売っている。異世界だから違うと、納得するしかないな。
ついでに人とは意思疎通を取ることができる敵対的ではない種族全般を指す言葉らしい。エルフも亜人もどんとこいらしい。孤児の子にも、両方存在している。
ミズーリでは人種差別は貴族に極僅かに存在するくらいで、ほとんど存在していないそうだ。そんなことしている暇があったら1匹でもゴブリンを殺してこいという教育を孤児院で受けた記憶がある。
学校の話をしよう。学校は生きるための技術を得るため期間として存在している。12歳から15歳までの全ての児童が通うことになる。正式名称は『ミズーリ人類の生存圏維持及び拡大のための公共高等教育機関』だそうだ。
すごい名前だ。この世界で人が生きていくことのしんどさを現しているようだ。ところで、異世界の言語は日本語に似ているな、ひらがなとカタカナと漢字に該当するものを使い分けている感じだ。ひらがなとカタカナの読み書きができるのが普通で、漢字の読み書きができて正式な文書が書けるといったふうだ。
俺は常用漢字くらいまでなら読み書きできる程度の理解だ。孤児にしては賢いほうだ。ぼっちだからかな。ぜ、全然さみしくなんかないんだからね!
学校については、成人するまでの間に通う職業訓練校くらいの認識でいるつもりだ。実際俺が通うことになってから知ればいいだろう。
孤児の話をしよう。まず『ミズーリ三層北部公共孤児院』はでかい、日本の田舎の小学校くらいの規模だと思ってほしい。子供は乳飲み子から12歳までいるから、もっとかもしれない。ミズーリにはこんな孤児院が複数存在するらしい。
なぜここまで大きいのかというと、自分で子供を育てられる環境を持っている人が少ないということが上げられる。その日暮らしの長屋暮らしをしている人が大勢いて、生活は安定しているが余裕が無いという人が多いらしい。
なんとこの世界では、生物は死ぬまでに働くことができないほど老化することがほとんどないらしい。人によっては死ぬまで若いままだ。魔力の影響が肉体を若いままに留めているのでは、と異世界人らしい考察をしてみる。しかし、この世界ではこれが普通のことなので誰も気にしていない。悲しい。悲しくない?
まあ、そのおかげか人口はかなり増えやすい、しかし、死にやすい。なぜって、学校の卒業後にその多くが冒険者組合所属となり、外でゴブリンや他の魔物を撲殺する生活を送ることになるからさ。
話を戻すが、避妊技術はほとんど発達していないらしく(発達する必要が無かった?)娼婦や女冒険者などは孕みまくりの生みまくりらしい。怖い、気づいたら父親とか恐怖でしかない。そうして、生まれた子供たちは生まれてすぐに孤児院行きとなるらしい。
この行為は現代日本では忌避されそうだが、そこは異世界クオリティでむしろ国を挙げて推奨されている。異世界は進んでんなぁ。かくゆう私も、そんな子供の一人でねってか。
孤児院の生活環境はかなりいいと思う。まず飢えることがない。
みんなが腹いっぱいっていいよね。ふふふ……。今日も明日もゴブ肉ゴブ肉……。
異世界テンプレであるような孤児に無茶な労働とかもないし、名簿(市民登録?)がかなりの精度で作成されているため、身売りなんかは起こり得ない。身売りなんてしようものならすぐ逮捕だ。起こるとしても、貴族の子供でした、やったね! た○ちゃん!? くらいのものである。見たことないけど。
魔力があるおかげか、みんな体がかなり丈夫だ。腹が痛かろうが、熱が出ようが、寝たらほとんど治っている。これはスキルではないかと考えたが、みんながそうなのだから他人より優れていないという理由でスキル認定はされないことに気付いた。
さらに、子供を孤児院に放り込んだというのは仕方ない面もあるかもしれないが、親としては良心に響くところがあるのだろう。孤児院にはよく匿名でおもちゃやたべもの、実用品などが送られてくることがある。タ○ガーマスクかな? 贈り物を孤児たちで奪い合いこともめずらしくないけどね。そんな感じでなんやかんや楽しく孤児ライフ過ごしているのだ。友達ほちぃ。
設定説明ここまで、
8月になったころ、孤児院に出入りしている商会を経由して大量の贈り物が届いたのだ。
俺は記憶が蘇ったせいか、おっさん気分で若い子に先にとらせて上げて、自分は残りものには福があるんだもしたん。とか思って見ていた。たくさんあるおかげか、会場になった広場は騒がしいものの、どこか和やかな雰囲気だった。
5歳くらいの男の子がウエストポーチのような鞄を持ち、人のよさそうな商人と会話をしているが視界に入ってきた。
「商人さん、この鞄をもらっていいですか?」
実に礼儀正しいね。あめちゃんがあったらあげたいくらいだ。ないけど。
「おや、その異次元鞄でいいのかい? そん「そいつを!!!! よこせぇぇぇぇぇぇぇぇえっぇぇえっぇ!!!!!!」」
誰かが叫んでいた。俺だった。
和気あいあいとした会場が静まり返った。年下の子たち泣き出している。
どうしてこうなった。いやね、しかしね、そんなね、異世界チートのための必須アイテムをね、ホイホイ出されちゃうとね、おじさんはね、我慢がね、できねぇんだよぉ! おらぁん!!
次回、「念願の異次元鞄を手に入れたぞ」 一、そう
二、かんけいないね
→三、ころしてでもうばいとる




