第二話 魂の宿るところは脳?心臓? おっさんは骨髄だと思います
2.
翌朝、本日は休業日だ。なぜなら、10歳と11歳の子供が毎日交代で農作業の手伝いをしているかららしい。12歳からは学校だからね。
筋肉痛で動けないかと思いきや、その心配はなかった。魂がおっさんだから2日後に筋肉痛とかだったら嫌だな。
今日やることはすでに決まっている。なんとこの孤児院には図書室があるのだ。公共って名前についているくらいだから気合が入っているのかもしれない。
情報収集は基本! ということだな。我ながら賢い。賢くない? おっと、朝食はしっかりとらないとね。
心が折れそうだ。
どうにか、ゴブリン肉満載の朝食を乗り越えて、図書室にやってくることができた。入室した記憶が無いので、中々新鮮な気分で扉をあけると数人の先客がいるくらいだった。
「結構、広いじゃないか」
と思わずつぶやいてしまった。てっきり資料室みたいなものかと思ったが、小学校の図書室くらいの大きさがあるみたいだ。しかし、物置をかねているようで、幼いころに勉強に使った教材などが多かった。
肝心の本自体も同じものが複数あり、得られる情報は多くないかもしれない。まあ、夕飯まで12時間程度あるのでガンガン読んでいってみようかね。ちなみに、1日2食だ。
しばらく、書籍を捲りわかったことをまとめてみる。
・魔物退治の勧善懲悪な童話が多い。桃太郎かよ
・都市とその周辺の簡易な地図があった。観光案内みたいだ
・大陸についての簡単な図を含めた説明があった。すごい
・海がめちゃくちゃ危ないことがわかった。魔物の世界だそうだ
・近辺の魔物や植物について書かれた図鑑もどきがあった。薄いなぁ
・魔法について書かれた本がいくつかある。なぜか失敗談が多い
・スキルについて書かれた本があった!!!
なんと、この世界はスキル制らしい。本によると、人より優れていることがあると、ステータスを調べたときに一緒に文書化されるらしい。わかりやすいところで、『剣術』、『体術』、『木細工』、『火魔術』、『奇跡』!?などから『図太い』、『厚かましい』、『慢性的下痢』?? など確認されているものだけでも数えきれないほどあることがわかった。
またスキルというものは、それらを使う技術を磨くと得られるものや、先天的な才能で得ている場合などがあるらしい。『魔術』などがそれにあたるらしい。また日常生活でも得られるものがあるらしい。例えば職人であれば、『細工』や『鍛冶』など多岐に渡るようだ。文書化するのは神様たちがしてくれているという説が一般的らしい。サンキューゴッズ。
スキル本を読んでいる中で、面白い内容があった。なんと、食事でも摂取し続けることで、得られるスキルがあるらしい。おお、いいぞ~。
さっそくゴブリン肉について調べてみよう。魔物肉なのだから何か効果があるかもしれない。すごくまずいしね。
「お、あるある」
どうやら身近な食材ということもあってか、ゴブリン肉の項目が存在していた。得られるスキルが2種類も存在しているらしい。
『味覚鈍磨』
『嗅覚マヒ(小)』
やめてくれよ…
文章を読んでみたところ、『味覚鈍磨』はどのような食材でもおいしくいただけるようになるスキルらしい。考えようによってはいいことだな。ただ、味覚による腐敗などの察知が難しくなるそうだ。勘弁してくれ。
『嗅覚マヒ(小)』は下水道(存在しているらしい)など匂う場所でも、ある程度平気になるらしい。ただ、異臭に気付きにくくもなるそうだ。
スキル本を読んでみてわかったことは、『剣術』のように剣を扱う技能があることを単純に表しているものや、『味覚鈍磨』などの日々の生活で勝手に得られたものがあるみたいだ。まるで、性格診断と健康診断を神様たちがしてくれているみたいです。本当にありがとうございました。
スキル本と図鑑もどきを読んだおかげで当面の目標も決まった。さて明日から農作業の合間に貴重な蛋白質の摂取といきますかね。いや蛋白質はゴブリン肉で十分取っているから、それ以外の栄養素が主だよ?本当だよ?