第十三話 大人になってからこそ学校の尊さを知る。セーラー女子とか。上履きの高性能ぶりとか。給食のカロリーとか。スク水は別に・・・スク水好きかい?おっさんは体操服で鉢巻巻いて体育座りした娘が好きです。
13.
季節は巡り、異世界に来て2度目の別れの季節がやってきた。今年はおっさんも主役だ。
今日、おっさんは卒院します。
思えば、あれからいろいろあったなぁ。
結局、毎月のおこづかいは黒おっさんの店で塩と酢を交互に購入したよ。劇物ですら生ぬるい何かを調味料と称し販売した慰謝料として、おまけを強要してやった。
黒おっさんは笑いながら俺を殴り、いつもおまけしてくれた。店には金がなくても数日置きに遊びに行った。奥さんに逃げられた憐れな黒おっさんも話し相手がほしかったのか、喜んで迎え入れてくれた。
黒おっさんは話をしながら、ボロ布の方がましな俺の服を何度も繕ってくれた。器用なものだ。善人だ、間違いない。それとも、俺に惚れたのか?そんな趣味はないぞ。
精神年齢が近いせいかもしれないが、お互い遠慮のない関係を築くことができたと思う。遠慮がなさ過ぎるかもだけど。友達できました。やったぜ。バカ話ができる友人は貴重だ。最も尊いもののひとつかもしれないね。
孤児の友達は結局できなかった。年の差があるのに同年代、という不思議な存在にどんなふうに接していいかわからないんだよ。工藤○一はすごいなぁ。平然と仲良くしてるもんなぁ。さすが、自分にコ○ンと名付けるだけはある。ズク太郎にはハードルが高かった。
孤児たちにも俺がやばい人だって、先入観が植え付けられているみたい。なんでだろう、原因に心当たりはあるけれど、なんでだろう。
二度目のステータスチェックもあったな。
「(お願いします、お願いします。もう妙なこと考えませんから! ゴブ肉も残さず食べるから! 残したことないけど。もう説明がほしいとか思ったりしません。せめて、せめて、なにか比較できるような情報でください。神様のお気持ちだけで結構ですから、どうか、どうか、この憐れなおっさんに情けをおかけください。サンダー! ファイヤー! サンダー! ファイヤー! 払いたまへ、清めたまへ。般若波羅蜜多、南無八幡大菩薩、色即是空、空即是色。アォォォォーーーーー!!!!)」
土下座しながら必死に祈った。
許された。少しだけ。
まず、名前が『ズク太郎』になっていた。俺、異世界でズクタロウとして生きてくよ。ゴッズネームかと思うと誇らしいね。きらきらネームの比じゃないね。
レベルは『GOです!』となっていた。5かな。3くらい上がった。
ステータスは俺の目を引いたものだけ紹介しようかな。全部を紹介すると冗長だしね。
まず、STRだ。一年間気合いを入れて鍛えたつもりだ。その結果は『がんばれ、がんばれ』だった。神様たちから応援されているね。伊東ライフ先生を思い出したのは内緒だ。
VITが『神様びっくり』になっていた。感想かよ。
DEXが『あずにゃん』になっていた。語尾のにゃんが気になる、猫ってことかな。素早そう。器用そう。かわいくなっていてうれしい。うれしくない?あずはなんだろう。
LUKも変動していた。変動しないと書いてあったのでびっくりした。『( ̄ー ̄)ニヤソッ』になっていた。変わってないって?よく見て、「ソ」になっているよ。絶対、神様の中にネラーがいる。ホントに神降臨していたのか。ネットの闇は深い。いや、光か?
お待ちかねのスキル紹介だ。新スキルがザックザクだった。
『初級剣術』、『不屈』、『挑発』、『睡眠耐性:中』、『魔力探査』、『魔力感知』、『超回復』、『敏感:殺気』、『超級魔力循環』、有用そうなものだけでもこんなにあった。
ただ、説明はいらないって祈っちゃったからか、スキル名しか書かれていなかった。準備中がなくなっていたから、説明を要求しなかったのは正解だったかもしれないけど。
失ったスキルもある『嗅覚マヒ:小』と『味覚鈍磨』だ。その代わりなのか、『感覚スイッチ5段階』というスキルが生えていた。
嗅覚や味覚の感度をスイッチの入り切りで変更できるのかな。使いこなせているのか、まったくわからない。ちゃんと感じるからいいや。
他のスキルも紹介しようかな、突っ込みを入れながら。
『毒無効:一部上場』いつのまにか切り売りされていた。株式化しちゃったか~。
『痛覚耐性:極上』セリアンとアノワイアのおかげだな。我慢ができるよ!やったね……。
『M』ナンノコトカナ、ボクワカンナイヨ。
『地獄耐性』耐性系には強弱があったけど、これにはなにもないな。なぜだろう。
『生還者:地獄』地獄から帰ってきた男! ス○イダーマッ! ・・・俺は地獄に落ちていたらしい。奥さん、あんたは正しかったよ。黒おっさんは地獄に落ちろ。
まだあるが、機会があったら紹介するかもしれない。
思い出に浸るのも、これくらいにしておこう。
せっかくの卒院式だ。セリアンとアノワイアには、挨拶をしておかなければならない。
無視しようものなら何をされるかわかったものじゃない。いや、感謝しているからちゃんと挨拶するよ。ホントだよ。二人のことが大好きさ~。暴力女が大好物~。
「先生方いままで、お世話になりました。」
ちょうど二人がいたので声をかける。
「今まで、よくがんばりましたね。あなたなら、きっと、大丈夫ですよ。学校に行ったら、必ずお友達を作ってください。たくさんでなくともいいのです。一人か二人、自分が絶対に大切にできる分だけを作りなさい」
アノワイアが柄にもないことをいう。
「元気でな……ちっ、張りあいがなくなっちまうよ」
セリアンも汐らしいな。
二人とも、そんな目でみないでよ。
セリアンもアノワイアも泣きそうじゃん。怖いじゃん。鬼婆の目にも涙じゃん。あ、余計なこと言っちゃいましたね。『敏感:殺気』が大活躍して、すぐわかるよ。やめて! よして! さわらないで! だれか! 男の人呼んで!
うん、こっちの方が俺達らしい。湿っぽい別れなんて柄じゃない。二人もそのはずだ。
さようなら、セリアン、アノワイア。大好きだよ。絶対また会おうね。
まあ、馬車で数時間の距離だから会おうと思えばすぐなんだけど。
次回、学校編開始! おっさんに友達はできるのか? 彼女は? 環境が変わると眠れなくなる癖は改善されているのか?それでは、サヨナラサヨナラサヨナラ。




