4-21 成長した二人
「はあ、はあ、これで終わりよ……ね?」
襲来してきたトロルをすべて片づけて、リンカは背中合わせの幼なじみに確認の言葉を投げかけた。
「ふっ、仮にリンカがダメでも俺はまだいけるッ!」
「ふんっ! この私を舐めないでほしいね……。と言いたいところだけど、もう結構限界かも」
視界から魔物の姿が消え、ひと安心したリンカは、倒れるようにして芝生の上に大の字で寝転がった。
「まだ終わってない。それにみんなが心配だ。病院に行こう」
バジルはリンカの気持ちを引き締めるために、気合を入れて大きめの声で叱咤する。
「もう無理~、おぶって~」
それに対して、リンカは駄々をこねる子どものように、両手両足をジタバタとさせる。
バジルは、呆れたようにため息をついて、額に手を当てたが、
「ねえ、お願い~」
幼なじみの「お願い」を跳ね返せるだけの精神力を持ち得ないバジルは、リンカの意向に沿うしかなかったのだった。
「はあ……、わかったよ」
「わーい、やたっ」
バジルが腰を下ろすと、バジルの首にまとわりつくようにして、リンカがバジルの背中に乗っかってくる。
(うおっ、これは……)
リンカが幼馴染の頼もしくなった背中を実感している一方で、バジルはその大きな背中で幼馴染の大きくて柔らかい部分をすることとなったのだった。
緊張感に欠けていることは自覚していたが、それでもバジルはどうしても背中にあたる彼女の膨らみを意識せざるを得なかった。