3-12 コンビプレイ
バジルと勇斗は目の前の魔物をザクザクと斬り刻んでいった。
二人のコンビプレイのおかげもあって、魔物の残り数もどんどん減ってきてはいるものの、一番厄介な奴がまだ残っている。
「あのデカブツ。トロルっていうヤツなんだけど、ここらであいつをやっつけるぞ」
「オッケー、じゃあ――」
「俺が先に行く!」
言うや否や、バジルは大地を蹴り上げて、前に立ちはだかるゴブリンやオークの群れををかわしながらトロルに向かって前進する。
いくらバジルの持っている大剣が大きいからといって、トロルが持っているハンマーの大きさには敵わない。
バジルがハンマーの間合いに入った瞬間、トロルはハンマーを振り下ろした。対するバジルは、大剣を掲げて巨大なハンマーを受け止めて見せた。
「――ぐぐっ!!」
衝撃で後方に後ずさりながらも、バジルは歯を食いしばりながら、トロルのハンマーを受けきった。
「勇斗! 今だっ!」
バジルが背後の控えている勇斗に叫ぶ。
「もらったー!!」
攻撃の反動で隙だらけになっているトロルの後ろにへと素早く回り込み、勇斗はそのまま飛び上がって、トロルの脳天目がけて力の限りバットを叩き下ろしてやった。
無防備になっているトロルの脳天に、勇斗の会心の一撃が炸裂した。
「……ぐふっ?」
勇斗の一撃をモロに浴びたトロルは、鈍そうな声を上げると、地面へと倒れて塵と化した。
大物も倒したところで、勇斗はバジルと顔を見合わせて小さく頷いた。
――その時だった。
太陽ではない何かの光が、雲一つなく快晴だった空を覆い尽くしたのだった。
「――な、なにが起きてるんだ?」
頭上を仰ぎ見ながら、咄嗟に疑問の声を上げる勇斗だが、誰一人としてその疑問に答える者はいなかった。
グラウンドに誰もが、呆然とした表情で頭上を仰ぎ見ているだけだ。魔物たちですらも、攻撃の手を止めて空を見上げている。
「…………っ!!!!!!」
その直後、目を開けていられないほどの明るさが空間を支配していたが、勇斗は必死に目を開けようと堪えながら周囲の警戒に努めた。