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迷い人  作者: ぴえ~る
第三章 悪の手先
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3-8 乱入者

「た、大変ですっ! む、村の中に魔物が!」

 林の向こうからやって来たロッドが、青ざめた顔をしながら叫んでいた。

 そのまま、ロッドがこちらまでやってくると、武器を持って退治している勇斗とリヒト様子に気がついてギョッとした顔をした。それでも自分の使命を果たそうと、彼女は二人の注意を引くように叫んだ。

「リ、リヒトさん! 迷いの森に、魔物が現れたんです!」

 眉をしかめたリヒトが短剣を下ろすと、勇斗もそれに倣ってバットを地面に下ろす。

「わかりました」

 そう言うと、リヒトは目を閉じ、何かに集中し始めた。

「この気は確かに魔物の瘴気ですね。それもかなりの数。こんなことをしてる場合ではない!」

 目を剥いたリヒトがすぐさま駆け出そうとするが、勇斗がその背中を呼び止める。

「待ってください!」

 リヒトは勇斗を一瞥したが何も言ってこなかったので、勇斗のほうから言うことにした。

「俺もついていきます。いいですよね?」

「ええ、勇斗! アタシたちも急ぐわよ!」

 勇斗に握りしめられているホープも叫んだ。リヒトは少し戸惑いったような表情を浮かべたが、勇斗の提案を受け入れてくれた。

「わかりました。勇斗さん、ついてきてください。ロッドさんは危ないですので避難していてください」

 地面を蹴って走り出したリヒトの隣で、勇斗も迷いの森を目指す。

「今のうちに村の外にでも逃げてしまえば、私は勇斗さんを追いかけないでしょう。いいんですか? 魔物を退治したあと、私はさっきの続きを仕掛けますよ」

「なるほど、そういう考えもあったんですね。でも、村の外に逃げるのはやめときますよ。それに、ここで俺が魔物退治に貢献したら、リヒトさんは俺を殺そうとする気がなくなるかもしれませんから」

 勇斗の言葉を聞いて、リヒトは黙ってしまった。

 一心不乱に目的地を目指すため、しゃべる余裕がなくなったのか、それとも勇斗の言葉に返す言葉を失っていたのか、その理由はリヒト本人にしかわからないだろう。


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