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2-16 待ち伏せ
勇斗は、バジルから自分の姿が見えなくなったことを確認してから、念のためもう少し森の奥へと進んだ。途中までは道に沿って走っていたが、ある程度進んだところで近くの茂みに身を隠し、道の方に注意を向ける。
そこでバジルを待ち伏せすることにした。
影から奇襲を仕掛けるという誰でも思いつくような作戦だが、もともと頭を捻って作戦を考えるようなタイプではないので、変に作戦を練るよりはシンプルなほうが成功しやすい気がする。
バジルの姿が見えた瞬間、いきなり奇襲を仕掛けるつもりはない。少し様子を窺って、一瞬でも気を緩めたら、その隙にたたみかける。
(ふう、アイツが来るまで少し待とう)
手のひらがじんわりと汗ばんでいる。
その場で、勇斗は息を殺してしばらく待つ。