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1-19 一方そのころ
サラは、勇斗に頼まれたとおり、人を呼んでくるために森の中を彷徨っていた。
しかし、森の途中で見えない壁に阻まれて、森から抜け出せなくなっていた。
その壁を伝って、道から外れながらも、どこかに壁から抜けられる場所を探していた。
結局、しばらくぐるっと回っていたサラだったが、抜けられる場所はなく、途方に暮れていた。
(きっと、あのリザードマンの仕業だよね。だけど、勇斗さんに頼まれたんだから、この壁をなんとかする方法を探さないと……)
そんな時に、ふと、その壁が消失した。
「もしかして! 勇斗さんが……?」
結界が消えたということは、結界の創造主であるリザードマンが消えたことを意味する。
だとすれば、勇斗の言いつけ通りに、村に戻って人を呼んでくる必要はなくなったというわけだ。
(勇斗さん、大丈夫だよね……)
サラは自分を守ってくれた青年のことが気がかりだった。
勇斗は醜い嫉妬でひどいことを言ったにもかかわらず、ピンチに駆けつけて、サラを守ってくれた。
(うん、行ってみよう)
サラは踵を返して、勇斗と初めて出会ったあの場所へと向かった。