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【サタナ狩り】と少年②

志英瑠は深く呼吸をすると、目を瞑り、ブツブツと何かを唱え始めた。すると、彼女の手に大きな、それなのに文庫本程度の厚さの本がキラキラと輝く光に包まれながら現れる。

俗に魔道書と言われるものだろうか、と青は察して、彼女の次の行動をうかがっていた。

【サタナ狩り】であるロボットは魔法の存在には慣れているようで、彼女の様子に一切怯むことなく、期待するように志英瑠を見つめていた。

彼女が未だ目を瞑り続けている中、魔道書は風が吹いているわけでも無いのにひとりでにパラバラとページをめくっていた。一枚一枚丁寧に。そう、一ページづつ…

長い。 青は声には出さなかったが、心底思った。あの【サタナ狩り】も彼女の動向を見つめ続けていて、奴は実はいい奴なんじゃ無いかと思いはじめてくる。何だろう、手を使って開く方が魔法より便利な気がしてきた。自分は、魔法を過信していたのだろうか…青は軽く瞑想を始めていた。

そうして待ち続けて5分強。彼女はやっと目を開き、魔道書の動きも止まった。彼女は集中していたのか、青らを待たせていたことを一切気にせずに、いつもの自慢気な表情をしていた。

此処からが本番だと、青は察し志英瑠を見つめる。

『Volentieri e cadde a terra, si può, ma baciare il terreno. (好んで大地にひれ伏し、土に接吻するがよい)』

志英瑠は小さく、それでいて力づよく言った。何を言っているのか青にはわからなかったが、それが真新しく、そしてどことなく懐かしいものであることを彼は自覚していた。

『E baciato la terra, si può, ma l'amore senza insaziabile non è il cavallo. (土に接吻するがよい、倦まず飽くことなく愛するがよい)』

彼女はそこまで言うとニコリと笑った。まず起こったのは炎。次に煙。煙は口から【サタナ狩り】に侵入し、金属の体を淡く発光しながら体内をかけめぐった。此処までにおよそ2秒。もとから視力の良い青でもそれを目で追うのは難しく、ただ見ているのがやっとだった。

「っ!!」

【サタナ狩り】はうめき声をあげると、胸部を痛がるように押さえながら咳き込む。

しかし志英瑠が操る煙はその程度では吐き出すこともおろか微動だにしていなかった。

「苦しいでしょう?私の魔道書は煙の魔法。〈カラマーゾフの煙草〉。あんたを内部から壊していく煙には慈悲なんてものないんだから」

志英瑠は【サタナ狩り】を見下ろし言った。その表情は戦い始めの頃とは違う、冷たい、軽蔑するような表情。

そして【サタナ狩り】は呟いた。

「…ナーンチャッテ。」

余裕そうな声色で呟くそれに、青も志英瑠も身震いしてしまう。ロボットは痛がる振りを止めると、じっと志英瑠を見つめた。

「カラマーゾフ対策ハ万全デス。我ラノ目的ハ君デハナインデスヨ、甘木志英瑠。須賀崎青ハ、我ラガ欲スル最高の《サタナ》ナノダカラ」

いきなり話題に出てきたことに、青は驚き、というより疑問を抱いていた。ついさっき魔力が発現し、ついさっき《サタナ》だと知ったばかりなのに、何故自分が最高の《サタナ》だと言われたのか。

そして【サタナ狩り】はそんな青を横目で見つめ、そして自身の爪を噛んだ。すると

「っ!!」

青は息を飲んだ。

【サタナ狩り】の背負うランドセルから大きな鎌が飛び出し、その柄の部分が志英瑠を突き飛ばしたのだ。突然のことであり、勢いもあってか、志英瑠は成す術もなく壁に激突した。

「志英瑠先輩!!」

青はそう叫び、ベッドを出ようとしたが、青の脳内は突如、昔の記憶に占領された。


「青、ごめんね」

「…なんで…やめてよ…ねぇ!!」

「青は逃げて、あなたの力はまだばれていない、だから早く!!」

「無理だよ…×××…」

「早く行きなさい!!《サタナ狩り》に見つかる前…に…」

「サタナ狩り?なんのこと?ねぇ、×××…?ねぇってば…嘘だ…嘘だぁぁぁ!!!!」


「…『お母さん』…」

青にとっての母。それは青を育ててくれた不器用で優しい人。自分を犠牲にしてまで青を守り抜いた人。そして…

《サタナ》を持つ魔法使い。


『リーブル ディ マジーア』

青は無意識につぶやいていた。母の口癖であった言葉。母曰く魔法の言葉。意味はわからない。けれど青は、この言葉が自分にとっても母にとってもとても重い言葉であるか気がついていた。



ー これが、全ての始まり。『私』が彼らを語るきっかけ。そして…

Q.志英瑠何言ってるの?

A.イタリア語です。

Q.青のお母さん魔法使いなの?

A.詳しく事は後々。

Q.話がよくわからない

A.ドラゲナイ。


ドラゲナイって古いですかね←

はい。六話です。前回短めだったので今回はちょっと長めです。はい。あと、最後の『私』さんは作者の事じゃないドラゲナイです。

次回の投稿ちょっと遅くなります。TESUTOとかいう魔物と戦ってきます。私が生きて帰ってくるまで待っててやってください…

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