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はじめに
この作品は友人三人によるリレー小説です。
文体が変わることがあります。
書き方の雰囲気が変わったな、と思ったら書いている人が変わったんだなと思ってやってください。
ノートにて書いているリレー小説のため、どうしても不定期更新になってしまいます。
また、なかなか、話も進展しません。
なお、このサイト様内でのこの作品の管理は黒鷺が行っております。
誤字脱字等ございましたら、黒鷺までご一報ください。
以上のことを踏まえた上でお読みください。
それはとても月が綺麗な夜のことだった。
「……」
俺は「さようなら」という言葉だけを書いたメモを自身の机へ置いた。
時刻を確認する。
深夜2時。
普通なら誰だって寝ている時間だ。
夜が明ける前には街を出なくてはならない。
自分の部屋をゆっくりとした足取りで出る。
暗い廊下――静寂。
もうこの家に帰ってくることはないだろう。
家族にもきっともう会わないだろう……否、会えない。
俺は玄関へ行き、靴をはいた。
立ちあがる。
覚悟はできた。
手を伸ばしドアを開けようとした時、
「陽斗……?」
月の声がした。
「月……」
――まずい。
「どうしたの?こんな時間に…?」
――本当のことは言えない。
月の不安そうな瞳が俺をとらえる。
「今日は月が綺麗だからさ。ちょっと見てこようと思って。」
――無茶苦茶な言い訳だな、自分で言いながら内心苦笑する。
「本当!?わたしも行……」
「月は寝てろ、明日も早いんだろ。」
「……」
――ついてきてはいけない。
「じゃあな。」
俺は勢いよく扉をあける。
そこへ、
「陽斗!!」
「!!」
月は俺を見て、少し笑った。まるで俺が何をするかわかっているとでもいうように。
「陽斗も…早く寝なよ?」
――月はなにかを悟ったのか?
でも、もう、後戻りはできない。
「……」
俺は家を出る。
月はどんな顔をしているだろう?
ガチャンという音をたて扉はしまった。
外はこれでもかというほど静かだ。
「あぁ…またいつか。」
これが、これだけが、俺の残した未練。
もう二度と帰れない場所に帰ると決めた約束。
果たせない希望。
月は確かに陽斗の声を聞いた。
『またいつか』
――あれはどういう意味だろう?
――なんで陽斗はこんな時間に外に出たの?
――まさか、と冷や汗が出てくる。
――思考が落ち着かない
嫌な予感だけがよぎる。
月は玄関の扉をあけた。
「陽斗っ!!」
目の前には、夜空にぽっかりと浮かぶキレイな月だけ――。
これが私と陽斗との思い出の最後。
そして全ての始まり。
誤字脱字報告、感想等よろしくお願いします。