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恋と友情

作者: kick

オレンジ色の西日が、ごろりとベッドに横たわったままの私の頬に当たり始めた。

あぁ、もう夕方だ・・・。

そうつぶやいてみたが、動く気力がわかない。今朝受信したメールのせいだ。


「申し訳ないけれど、期待には応えられそうにない。ごめんね。」


そんなに期待してたわけじゃないんだけどなぁ。いつから前のめりだったのかなぁ私。


彼の事を思って、彼の得意な英語を勉強してみたり、来る訳のない自分の部屋を入念に掃除してみたり、新しい香水を試してみたり、なんだか毎日が楽しくなってきていた。

何があるという訳でもないのに、あの人を思うだけで幸せだった。

思うだけでよかったはずなのに、なぜか勢いづいて告白まがいのメールをうってしまった。

その返事があれだ。


あーーーーーー!!


大声をだしたら、ポロリと一粒涙がこぼれた。

一粒こぼれたら、二粒、三粒と次々にあふれだした。

私思っていた以上に、あの人のこと好きだったのかなぁ。

携帯を取り出して、今朝のメールを開いてみる。

明日から部屋汚くなるかもなぁ。そう思いながら削除もできずに携帯を閉じた。

閉じたとたん呼び出し音が鳴った。

え?彼から?!

そう思って着信をみたら、親友の裕子からだった。

「裕子か・・・何?」

「何はないでしょう!今晩暇?なんか飲みたくなっちゃって。」

「・・・・。」

「おーい。どうした?なにかあった??」



私は数時間後にはきっと裕子と一緒にお酒を飲んで、べろべろになっている。

彼を馬鹿にしたり、恨んでみたり、褒めてみたり、きっと私は支離滅裂なことを裕子に言うだろう。ちょっと泣いてしまうかも知れない。でも裕子は絶対に受け止めてくれる。


悲しい失恋かもしれないけれど、久々に友情の暖かさを確かめられるよ。

さぁ、がんばってベッドから這い出そう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 女性の淡く切ない、感情が凄く、伝わって来ました。着信が鳴って、彼からかなって思う所がまた、可愛らしくて、複雑で荒れている感情の中に、純粋で単純な女性の人間らしさがうまく描けていると思います。…
[一言]  恋に盲目する女性の姿、そして恋が終り冷えこんでしまった女性の心が素直な言葉で綴られていて、ジン、ときました。切ないですね。友達がいて良かったです。  ただ、もう少し捻りがあっても良かったの…
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