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第1章:「ランクルフト」

「我々は死んだ。だが、死は我々を奪えなかった。」


ランクルフト要塞。最後の瞬間。

彼らは死ぬはずだった。


アルチョーム・アラスターは壁に身を寄せ、頭上で弾丸が石を削るのを感じた。ランクルフト要塞は燃え上がっていた——生きている者たちにとって、見事な火葬場だ。


「隊長!」——リラ・ベラドンナの声は軋んでいた。まるで肺が生きているうちから腐り始めたかのようだ。「ここで死ぬよう命令されました」


「裏切られた」——アルチョームは仮面に触れた。天使の彫刻が刻まれた半分は、最初の破片で崩れ落ちていた。

彼は知っていた。全員、知っていた。


『一歩も退くな』——だが、援軍は消え、砲撃は止み、指揮官たちは逃げた。


「仲間はどこだ、クソが!」——機関銃手のグロムは、銃撃の合間に言葉を吐き出した。彼の指は無意識に折れ曲がり、骨が軋んだ。その音が、奇妙な安心感をもたらす。


「どこにもいない」——アンナ・リュフェリアスが狙いを定めた。舌先で血の味を感じたが、噛みつくことはしなかった。


爆発。

白。

静寂。


アルチョームは肋骨が心臓を貫くのを感じた。

「ようやくだ」


目覚め。

死者の中に蘇った。


要塞は引き裂かれ、屍は腐臭を放っていた——だが、彼らは違った。

アルチョームは手を上げた。血もない。痛みもない。恐怖さえもない。


「くそっ…」——リラは弾痕に指を突っ込んだ。「私は腐るはずだ」

「全員そうだ」——グロムは折れた指を伸ばした。骨は癒えていない。

アンナは黙っていたが、その目は狂ったように動き回り、死を探しているようだった。


「我々は何だ? 不死身か?」——リラは不自然に高く笑った。

アルチョームが立ち上がる。

「基地に戻る」


帰還。

彼らは疫病のように迎えられた。


「お前たち…燃え尽きるはずだった」——政委が後ずさる。

「ならなかった」——アルチョームは瞬きさえしなかった。

「どういうことだ?」

「知るか」


沈黙。

そして、宣告が下る。


「『デッド・スクワッド』だ。お前たちの墓場は——アウトクロフ」

「あそこからは戻れない」——アンナが噛みつくように言った。

「お前たちはもう死んでいる。それとも……怖いのか?」——政委が牙を剥いた。


アウトクロフへの道。

彼らは無言で進んだ。


深淵の声が囁き始める。

『お前たちは生きていない』

リラが頭を抱える。

「黙れ…」

『お前たちは死んでもいない』

グロムは唸り、手首を外した。

アルチョームは感じた——殺さねばならない、と。

誰でもいい。

さもなくば——狂う。


アウトクロフ要塞。

門は開いていた。

内部は闇——だが、影が…

不自然に動く。


「誰かいる」——アンナが小銃を構える。

リラが一歩踏み出し——知らない言葉で話し始めた。

空気が震え。

壁が呻く。

そして、彼らが現れた。

深淵の落とし子。


「待っていた」——その一人が手を差し伸べた。指は触手のように溶け合っている。「お前たちは我々のものだ」

「違う」——アルチョームが撃った。

「そうだ。お前たちはまだ腐り切っていないだけ」


真実。

瓦礫の中に、日記があった。


『彼らは蘇らなかった。彼らは最初から死んでいなかった。

死んだのはお前たちだ。

気づきもせずに。』


アルチョームはページを引き裂いた。

だが、言葉は皮膚に焼き付いた。


『我々は死んでいる。そして、死ぬことさえできない。』


彼らはアウトクロフを焼き尽くした。

だが、声は彼らの中に宿った。

アンナはリラの言葉を理解した。

グロムは眠らない——悪夢を恐れて。

リラは虚空を見つめて笑った。

そしてアルチョームは鏡を見た——

そこに映った彼の影も、アルチョームを見返していた。

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