王都への思い
どうぞ~~♪
その後俺らは一緒に朝食をとり、セレスの目的地も王都であったことから、4人一緒で一路出発した。
「そういえばさ、セレスさんは何しに王都に行くの?」
可愛らしい声と仕草でアルスが聞いた。
するとアルスは少し言いにくそうな感じで答えを返した。
「私は父の命で、王都に転勤になった兵士なんだ。」
なんと。この国では女性も普通に兵士なのか。文化レベル中世ぐらいなのに、男尊女卑がないのは意外だ。もっとも異世界だからなぁ~~。
「へぇ、そうなんですか。でも怖くないんですか?すぐ目の前に法王軍が迫っているのに。」
「ん~~怖いっちゃ怖いんだけど、でも法王軍のやっていることは間違っていると思うし、それに翻弄される民を守りたいと思うの。何かする前に王都が法王軍に落ちちゃったら後悔するだろうし、それに法王の治世は、なんだか信用できないのよ。まぁそれで、母の止めを強引に振り切って、父に頼み込んで王都付属にしてもらったの。」
「すごい!!立派です、セレスさん!!!格好いいな~。」
「ホントだな。」
「自分の信念でもって動くというのは、なかなか出来ないことです。私も尊敬しますわ。」
「はは、ありがとう。」
それにしても、そんなにこの国荒れてるんかぁ。
まだ途中町とかなかったけど結構荒廃しているらしい。
なんかヤナ状況やなぁ。やれやれ。
そんなこんなで、王都まで4人で行動することになった。
そんな道中、セレスが衝撃の事実を口にした。
なんとこの世界には魔法があるのだと。
ヤバい、使いたい。
ヤッパ一般高校生としては、まだまだ厨二病
が抜けきってないから剣と魔法のファンタジーとかに憧れるわけで・・。
使い方は簡単で、したいことを思い浮かべながら単語を言うと、その人の想像と魔力に合わせた規模の魔法が発動するとのこと。
ちなみに俺が魔法を知らないことをセレス、アーズさん、アルス共々ビックリしていた。
あ、アーズさんとアルスにも俺が神の代行者だと言ったよ。でもヤッパ今一つ信用はされないよね。まぁ、苦笑してたよ。
こう言った感じで道中は話は途切れず、結構楽しかった。
それにしてもよかったぁ。こういうのって、すごい孤独を味わうと思ってたけど、知り合いが早めに出来て、そこまで感じなくなったのは、とても幸運であったと思う。
道中はモンスター的なモノに遭遇すると思っていたが、セレス曰く、魔物は王都の北のフク森林とか南のトリキヤ山脈などには多数強い個体はいるが、人が通る街道などには出現しせず、出るとしても小動物程度の力しか持ち合わせていないので、驚異とはならないそうだ。
また魔物の中には知性があり、部族として纏まっているモノたちいるらしい。
へ~、なんかファンタジー。
いつか魔物見て~なぁ~。
はい、てなわけで魔物にも遭遇せずに、無事日が沈む前に、王都の門が見える位置までやってきた俺たちだが、そこでは王都に入る人たちの荷物検査・身分職業検査を法王軍が行っていた。
その検査はまぁ王都防衛に地方から駆けつけた兵士たちを入れないためであろうが、それにしても凄い数の人が検査を待っている光景は、なんか圧巻だった。
2時間位して俺たちの番となった。
ちなみに俺とアーズさんは親子で、アルスがその子供。そしてセレスがアーズさんの妹という構成で、王都の親戚の結婚式にきた、という設定にした。
何時の間にやら人の親。そんな老け顔じゃないやい。
検査は結構簡易的で、そこまで時間はかからなかったが、待っていたのが結構な時間だったため、アルスはグッタリしている。かく言う俺もヤンなっているよ。
まぁここまでなら許せるが、今度は王都の大きな門、朱正門というらしいが、そこで王軍の検査が続けて行われた。しかもここでの検査はじっくり一団体ずつ吟味されるので、俺たちが王都の宿場で一息つくのは、もう夜もふけってからであった。
「はぁ~、しんどかったぁ。」
俺は自分の部屋に剣などの荷物をおき、セレスの部屋に向かった。みんなで今後の予定を話し合うためだ。
部屋割りはセレスが一人で、そしてアーズさん、アルスが俺と3人部屋に入った。
これには訳がある。
朱正門の検査ののち発行された身分証明書に、家族構成が書かれていて、それを宿主に
見せたところ、勝手に割り振られていたのだ。もちろん俺はセレスと部屋交換しようと進言したが、アーズさんが気にしないでくださいと言ったので、このままになった。
いや、俺の下心大丈夫かな・・・。
アーズさんはアルスを18歳の時に生んで、
夫はアルスが1歳にの時に流行病で亡くなったそうだから、実質10代で未亡人となったという。何とも現代日本人には信じられないことだと思う。
アルスは見た目の印象より年齢は上で16だということだ。ん、俺の一個下か!
それにしては幼いように見える。まだ発育途上ってことかな。←冷静な変態乙。
とにかくアーズさんは34歳で、見た目は20代半ばの印象を受ける感じで、色気も妙齢の女のそれで、半端ねぇわけで・・・・。
まぁいいか。役得役得。そう自分を納得させる。深く考えんの嫌いよ~。
んで、今後の予定の話だけど、セレスは明日俺たちと分かれて軍宿舎に行くとのこと。俺、アーズさん、アルスは、働き口を探しに行くという事になった。
セレスと別れるのは寂しいが、まぁ同じ町にいるのだしまた会えるか、と思い、その夜は別れの小宴会を催しただけだった。
夜はふけていく。
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