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39/55

#39 圧勝

5-3。あと1ゲーム取れば、俺は初めての公式戦で勝利することができる。

だけど、ここからが本当の戦いだ。トムも焦っているのが見て取れる――彼のラケットを握る手は少し震え、額からは汗が滲んでいた。


「ここで気を緩めるな……最後まで全力で行け!!」

俺は深く息を吸い込み、自分を落ち着かせた。何度も練習した。俺にはキックサーブと右曲がりライジングスライスがある。もう迷わない。


俺のサーブでゲームが始まる。まずはキックサーブ。ボールを高くトスし、全身をバネのように使ってラケットを振り抜く。


「うおっ!」


トムはなんとか返球しようとジャンプするが、ボールは彼のラケットを滑り落ち、無様にネットに引っかかった。


15-0。よし、まずは1ポイント。


次は、相手にペースを掴ませないためにスライスを使う。トムのバック側に、速い球足で低く沈むスライスを放つ。


「ぐっ……」


予測しきれなかったトムはぎこちない姿勢でボールを打ち返すが、球は弱々しく俺のコートに返ってきた。チャンスだ。


俺は素早く前に詰め、逆クロスに叩き込むように強打する。

「決まった……!」


トムは何もできず、そのまま立ち尽くす。30-0。流れは完全に俺のものだ。


次のポイント、俺は勢いに乗りすぎて狙いすぎた。キックサーブを放とうとして、トスがずれてしまう。焦りながら強引に振り抜いたが、ボールはわずかにラインを外れる。


「アウト!」


くそ、無理をするなと自分に言い聞かせる。相手もまだ諦めていない。30-15。


次のポイントで、俺は再びキックサーブに全てを賭けた。今度は完璧なトス。ラケットが当たった瞬間、心地よい手応えがあった。


ボールは高く弾み、トムのバックハンド側に跳ね上がる。追い込まれたトムが無理やり打ち返すも、その球は甘い。


「これで終わりだ。」


俺はすかさず前に出て、逆クロスに右曲がりライジングスライスを放つ。


トムは間に合わない――打球はラインギリギリをかすめ、トムの視線を置き去りにするように滑り込んだ。


初めての勝利

「ゲーム、セット、マッチ、6-3!」


審判の声が響き渡る。俺はラケットを握りしめたまま、静かにガッツポーズを作った。


勝った。初めての公式戦で、俺は勝利を手にしたんだ。


ババロフの視線

試合後、ババロフがコートサイドで待っていた。無表情だが、目の奥には確かな期待があった。


「よくやった、タコ。だが、これは始まりにすぎない。」

彼の言葉には厳しさと優しさが同居していた。


「お前は武器を見つけた。しかし、その武器をさらに研ぎ澄まさなければ、これからの戦いには勝てない。」


さらなる高みへ

俺は頷いた。自分がまだ成長の途中だと、そしてさらなる高みがあると感じていたからだ。


トムに勝てたことで得た自信は大きいが、次の戦いがすぐに待っている。目指すはウィンブルドン。そのためには、もっと強くならなければならない。


俺はコートを見つめ、静かに決意を新たにした。

「ここからだ、俺のテニスは――」

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