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投資らいふ、時々副業夢想  作者: とうきのかえる
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4 家計簿をつける

 休日、沙優は家計簿をつけていた。節約記事やマネー診断の記事を見るのが好きなだけあって、自分でもお金の記録はつけているのだ。ただし、わくわくでやれているわけではなく、レシートをためておいて、やらなきゃとたまーにスイッチが入った時だけつける方式である。面倒なことは嫌いなのである。一応、省力化を試みようとエクセルで表をつくり計算は自動化しているが、それでもいちいち項目と金額を記入するのが面倒である。色々アプリがあるのはなんとなく知っているので、そういう便利なサービスを導入すべきとも思うが、食費や雑費、交際費などの項目がきちんとわけられるのか、自分の情報が吸い取られないかなんとなく不安で利用していない。

「婦人雑貨?なんだったかな」

ざっくりしたレシートの表記も多く、半月以上前だと何だったかすぐには思い出せないものもある。頭でしばらく考えてもわからないので、部屋を見まわしてみて思い出した。

「あー、イヤリングか」

最近、彼女は仕事の行き帰りにはイヤリングをしている。軽くて痛くなく、デザインもそれなりに気に入っているので気分も上がるのだが、頻繁に落としてしまうのである。イヤリングの留め具部分は輪っかの一部があいている形をしており、あいている部分が広すぎると、知らない間にとれてしまうのである。狭いものは落ちないのだが、買う時の見た目ではそれほど違いがわからない。結果、何度か買うことになっているのだ。一つ1000円程度なので今の沙優にはさほど問題ないのだが、すぐになくしてしまうのは勿体無い気持ちになるので、なんとかならないかと思っていた。

「うーん、雑費は予算の余裕がなくなってきたから、イヤリングはお小遣いからかな」

 これまで多くの記事で読んできたことを参考に沙優は各項目の予算を決めている。定職についたご褒美として1月に1万円の服飾費を計上するなど、倹約しすぎないようにもしている。完璧に管理しているようにもみえるが、食費が予算を超えそうな時はスーパーの買い物から雑費を分けて辻褄を合わせたり、自分の為のちょっとした贅沢のための予算(お小遣い)や交際費に他の項目で使いすぎたお金を振り替えたりしているので、予算分けは実際には完全に機能しているわけではない。良くないなと内心思っているものの、あまりにひどい項目の行き来はしておらず、常識の範囲内だからいいだろうと、誰に言うわけでもない言い訳を自分にしている状態である。そもそも沙優は割と倹約志向であり、すごく物欲があるわけでもないので、こういう問題がありつつも、お金は貯まっていっている。家計簿はあまり関係ない気がしてきており、これは必要な手間なのか、心の隙間に疑問が忍び寄る沙優だった。

 なんとかたまったレシートを処理した彼女は、A社の株価を見るためにアプリをあけた。実はA社の株価は3900円、3600円とさがり、今月の頭に少し戻して3900円に戻っていたが、まだ含み損がでている状態だった。含み損が出ていると、株価チェックも億劫になってくる。

「3460円か。ほとんど10万円の損だね」

C社もここのところ下落傾向にあったが、2400円台になっており、含み損がでている。

 一定以上に株価が下がった場合は損切りするようにアドバイスしている株の指南は多いので、おそらくそうすべきなのだろう。しかし10万は大金である。これを損切りしてしまう勇気はなかなかでない。

 ちなみに、多くの会社の株の配当確定日である9月末が半月くらい前に過ぎているが、沙優の持っている株に配当はないので彼女には関係のない話だ。初心者である彼女はそういう事にも気がついてはいないのであるが。

この作品中の会社、人は全てフィクションです。

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