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投資らいふ、時々副業夢想  作者: とうきのかえる
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3 さっそく少しルールを破る

 さて給料日である。沙優は記帳してお金が入ったことを確認してから、証券口座に41万をうつした。A社の株価がまた少し上がっていたので、1万円増やしたのだ。すでに決めたルールが破られているが、仕方ない。よく言えば、多少のことにはおおらかな、悪く言えば、都合の悪いことに目をつぶる沙優なのだった。そして今日の終わり値より少しだけ低い価格で買い注文を出した。翌日の午前中には約定したようで、昼休みには通知メールが届いていた。彼女は安心して仕事に戻った。

 次の休日、彼女は大型商業施設に来ていた。最近、初めての一人暮らしの部屋を整えるのに時間を使っているのだ。それまで実家暮らしで、そのおかげでバイト代を貯めることもできたのだが、玄関もキッチンもリビングも全て自分の思い通りにしようと思えばできるというのは嬉しいことだった。引っ越しにあたって必要最低限の家電と家具を用意したが、それらは基本的な機能しかない低めの価格帯のものだったし、それ以上の大きな買い物はしていなかった。無駄遣いをしたくなかったし、そもそも彼女はお金を貯めることに喜びを感じるタイプである。とはいえ、限界まで切り詰めてお金を貯めたいとも思っていない。仕事を始めてしばらく近くたち、少しずつお金の余裕ができてきたので、シンプルさが人気の雑貨・家具店で収納用品をいくつも買って、素敵な収納スペースを作ることに取り掛かっていた。株に注ぎ込んでいるのであまりお金に余裕がないのも大きいが、高価な家電や家具を買ったりはしない堅実な沙優でもあるのだ。

 プラスチックのファイル収納を買おうと、目当てのお店に向かう途中、アクセサリー売り場の前を通った。そういえばと彼女はその売り場を見ていくことにした。実はアラサーでいい年なので、婚活も意識しているのだが、揺れるピアスやイヤリングがいいと言う情報を仕入れていたのだった。沙優はなんとなく怖くてピアスの穴をあけていないので、イヤリング一択である。色々みてみると、最近のイヤリングにはピアスに見えるような形で軽そうなものもあった。昔持っていたイヤリングの留め具が重く、一時間くらいで痛くてつけられなくなったことを思い出した沙優は、その新しい留め具のものを買うことにした。今回は揺れることが重要なので、並んでいる中でなるべく揺れそうなものを選んだ。

 その後、かさばるファイル収納をいくつも買って歩いて帰った沙優は、畳んだ布団の上でだらだらネット小説を読んでいた。あまり体力がないので、30分先の店まで歩いて出かけた後は、しばらく身体を休めるのである。ちなみにベッドはそのうち新しく好みのものを買いたいので実家に置いてきている。小さいダイニングテーブルはあるが、ソファはないので、畳んだ布団の上なのだ。寝室が一部屋あるのだが、だらだらするために布団はリビングに置いてあった。

 しばらく惰性で小説を読んだのち、ネット記事を見だした沙優は、C社のサービスを使って稼いでる人が何を売っているのかという記事を見つけた。その人にかかれば、一見いらないものでも売れるのだそうだ。トイレットペーパーの芯もたくさん集めれば、子供の工作に使うといった需要があるという。心惹かれる記事だった。やってみたい気持ちはあるが、しかしとも思う。それってとても手間がかかりそうである。沙優は比較的要領はいい方だが、飽きっぽくもあるし、面倒なことも基本的に嫌いである。包装や郵送の手間もかかるだろうし、その手間を乗り越えたいと思うほど自分が利益を出せる気もしない。結局、濡れ手に粟の一攫千金をしたい沙優なのだった。

この作品中の会社、人は全てフィクションです。

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