今後関わることがない相手にほど、悪く思われていないか心配になってしまう
私は悩み症なので、日々、なにかしらのことで悩んでいる。
悩み事のうちの大半が、今後関わることのない相手で、内容も、相手の捉え方によって変わるようなことであったり、過去の曖昧な記憶であったりと、いずれにせよ、本人に訊いてみなければわからないようなことで悩んでいる。
引っ越しなどで何年も前に疎遠になった友人のことをふと思い出し、それと同時に自分が相手に言った言葉も思い出したら、それが勘違いされそうな言い回しだったということに気がついたときや、ふと思い出した表情が、ぶっきらぼうな感じだったときに、相手はどう思っていたのだろうと悩み始める。
もしも、たびたび顔を合わせる機会のある相手であれば、何度も顔を合わせているうちに挽回できる可能性もあるかもしれず、そう考えただけでも多少の光が見えて気が楽になってしまうくらい単純な性格ではあるが、今後会わない相手となると挽回はできないので、仮に嫌な印象を抱かれていたなら、相手のなかで私の記憶が薄らぐことを待つしかなく、そう考えたときに悩む時間のはじまりはじまりである。
場合によっては信頼している人たちに相談することもあるが、皆きまって「もう会うことのない人にどう思われていようが気にすることないじゃないか」「はっきりと言われたわけではないことで悩んでも仕方ないじゃないか」と言う。
後者に関しては不思議なことに、友人を介すなり本人から直接言われるなりしてネガティブな話をはっきり伝えてこられると、もちろん落ち込みはするし場合によっては反省したりはするものの、それ以上は悩まずに、もう済んでしまったことだから、などと諦めがつくのである。
それにしても、私の周りの人たちは、なぜ、もう会わない相手だとどうでもいいと思えるのだろう。
私の場合、たとえば、ほんの数日しか関わらないような業者が相手でも、その人と多少の口論になると、そこから一週間くらいは「面倒くさいヤツだと思われたかもしれない」と、悶々と過ごしてしまう。
できれば私も、今後関わることのない相手のことでくよくよ悩みたくないし、相手に訊かなければわからないようなことで悶々としたくない。相談に乗ってくれた人たちと同じような感性で生きていきたいのである。私と同じように、今後関わることのない相手にほど、悪く思われていないか悩んでしまう人はいるのだろうか。