第9話
お久しぶりです。更新が遅れて申し訳ございません。
「違うんだ。こんな事初めてで悪意があったわけでは無い。だから見逃してくれ」
ふざけるのも大概にしてほしい。この状況を見て、悪意がないだなんて信じられるだろうか。
「あの、何が違うと仰いますか。この空間だけでも3人の証人がいます。この状況で言い逃れをしますか」
「言い逃れなんかじゃない。本当に悪意があったわけでは無いんだ」
で?私の怒りは最高潮に行きかけているが、ここは冷静に返事をする。
「はぁ。この国でも有名な公爵家様のご主人様とでもなれば、法律ぐらい知っているのでは?」
「、、、、、」
あぁ、愛するキャスリン様のためにだんまりですか。
「あら失礼。知らなかったのですね。そこのあなたも是非お聞きください。いくら偽装結婚であっても、結婚している方と違う人と営むことは法律で禁止されています」
「なっ。キャスリン。お前はこんなこと知らなくていい」
「はい♡」
私の前でもそのハートマークを使うか。この状況でつけられると、正直いらっとする。今この瞬間まで旦那様に媚びを売らなくていいだろう。
「なあ、其方、今回だけは見逃していただけないだろうか」
あぁ、もう。本当にいい加減にしてほしい。
「、、理由は?」
「自分の執務が残っているからだ。この屋敷には使用人が一人しかいない。同僚なんか俺にはいない。そんな中、自分がいなくなってしまったら、この残っている仕事はどうなってしまうのか。そう、終わらない。だから、交渉だ。其方の納得する条件で今回だけは見逃してくれないだろうか」
まあ、一回しかまだ見ていないので許すとしよう。まぁ、一回ですしね。
「―いいでしょう。ですが、次は承知しません。条件もなくて結構です。別にそれが目的ではないですから」
「ありがとう」
「ありがとうございます♡」
旦那様はまだわかる。なのに何故キャスリンまで返事をする。しかも、わざわざハートマークをつけて。
私の怒りは絶頂に達する寸前だ。もうこの二人を見ているとイライラする。そこで私は、この部屋を出ると決めた。その前に最後に一言付けたす。
「次は承知しないので、ご理解とご協力、よろしくお願いしますね」
そういうと私は、身を翻して部屋を出た。
第9話をお読みいただきありがとうございました。