第5話
お久しぶりです。
家政婦さんを雇って早一週間。私の体は悲鳴を上げなくなり、健康に過ごせている。心なしか掃除を丁寧にできるようになった。家政婦さんは、基本的に掃除半分ほどと料理(朝昼)をしてくれている。洗濯、夕飯づくり、掃除の半分は私が行うようにしている。私の方が少し量が多いが、今までの半分ほどしかないのでだいぶ楽に仕事ができた。
私に良い変化が起きた代わり、旦那様はどんどん不機嫌になっていった。ある日、廊下ですれ違うと、
『家政婦が来て楽になったか』
『はい』
『そうか。でも、これで寄付できる額は減ってしまった。だが、まあいいとしよう』
と、よくわからないことを言われた。別に良い。でも、これを一日に一回のペースで言われるとさすがに罪悪感で私が押しつぶされそうになる時がある。
そんなある日、家政婦さんは私に話があるから、部屋に入れてほしいと頼んできた。初めてのことで驚いたが、とりあえず招きいれてみた。
「珍しいですね。何かあったんですか」
「はい。ですが、これは奥様を傷つけてしまう可能性がある。だから、あまり話したくはないです」
「そうですか。ある程度の衝撃的な話には耐性があるほうなので遠慮せずに話してください。私もそれの方が助かります」
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて話させていただきますね」
彼女はそういうと、咳ばらいをして淡々と話し始めた。
「奥様は、旦那様がいろいろなところに寄付しているのはご存じですよね」
「はい。この前も、その話をされたところです」
「それ、まともな寄付とはいいがたいと思います」
「はぁ、、え?」
「旦那様が寄付しているのは、彼のお気に入りの娼館です」
「、、、へ?旦那様が、本当に?」
「はい。この前、旦那様の執務室を通った際、紙がドアと床の隙間に挟まっていて、取ろうと思ったのですが、寄付してくれていることの感謝状でした。いい方だと思って差出人を見ると娼館の一つ。私の家系は情報に強いので、母に連絡してそこについて調べてもらうと、旦那様が常連で良くしていると返事が返ってきました。ついでに母から来た情報ですが、彼は寄付と同じだけの額を、愛人のキャスリンさんに貢いでいました。しかも、そのお二人の間には真実の愛だのというくだらないものまで入っているようです」
私は一瞬何を言われているのかわからなかった。旦那様に真実の愛があるのも驚いたし、ただ私が家政婦さんを雇いたいという希望に渋ったのは、自分の愛人のためか。それを知るのはショックだったとともに、安心した、旦那様が私を嫌う理由がわかって。
「話してくれて、ありがとうございます」
「いえ、私が話したところでどうにもできないし、奥様を傷つけるだけなので乗り気ではなかったのですが、きちんと聞いてくださり筋違いなのは承知の上ですが嬉しかったです」
彼女はそういうと、私にこれからどうするか聞いてきた。私がまだ考えていない旨を伝えると、
「何かあったら頼ってくださいね。私は奥様の味方ですから」
と、言い部屋を出ていった。
さて、私はこれからどうするのが正解なのか。そう考えて一日が終わった。
少し展開が進んだ気がします
次回もお楽しみに