第16話
お久しぶりです
前世編終了まであと2・3回(未定)です。
お楽しみいただけますように
「お願いします」
私が安心した顔を向けると、家政婦さんはものすごい勢いで私の支度をしてくれた。
そして、もうすぐ午の時になろうというとき、パーティーにふさわしい格好になり、旦那様の待つ門に向かった。
「お待たせいたしました」
「思ったより時間がかかったな。まあいい、行くぞ」
「承知いたしました」
遅かったといっても時間内なのだが、とりあえず突っ込まないでいよう。
悲しいほどに沈黙が続くこの空間に、私は何を望むのだろう。こんな人に、何を一瞬でも望んだのだろう。もしかしたら、、、。いや、考えるのはやめておこう。たぶん、虚しくなってしまうから。
今この瞬間も、私が逃げ出さないようにだろう。手首を拘束されている。ドレスが長袖なので、跡が見えることはないだろう。よかった。
そして、会場につく。私は今までないほどの疲労を感じていた。
「降りろ」
その声は、凍えるほどに冷たい声だった。
会場に入り、旦那様とは別行動。私は最後の食事を楽しむため、今まではしたないと言われてきたけれど、用意されている食事を一種類ずつ、すべて皿に盛り食べた。どこからか『あら、あれって公爵の妻では?』『まあ、はしたない』なんて声が聞こえたけれど、今日死ぬ私からすれば、どうだっていい。
そして、パーティーが始まってから小2時間ほど経過したころ、主催者である旦那様の挨拶が始まった。
「本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。今日は、私事で申し訳ないのですが、報告したいことがございます。おい、こい」
「はい」
まるで罪人を誘導するかのようないいかたで、私を呼ぶ。まあ、実際旦那様の中では罪人なのだが。
「ただいまをもって、私はこの女との離縁をする。そして、この女の罪を皆に知らせる」
ざわめく会場。そりゃそうだ。だが、誰も離縁に対して何も言わない。どちらかというと、私がおこした罪についてのほうが興味あるらしい。冤罪なのに。
「こいつは、俺の愛するキャスリンを一昨日の夜、殺した。この国に愛人制度はないが、結婚する前から想っていた相手と政略結婚でわかれるしかなかった。しかし、私の父上に相談したうえ、キャスリンと会うことを認められていた。なのに、この女ときたら、自分が愛されていないことの不満を表すために、キャスリンを、俺の愛するキャスリンを殺した。よって、今ここで首をはねる。見たくないものは今すぐ会場を出ていけ」
そう旦那様が言うなり、未成年と思われる人や、血が苦手な人は出て行ったが、大半の人はここに残った。
ヒソヒソ交わされる言葉に、私を慮る言葉なんてあるわけがない。恋をあきらめることになった旦那様を悲劇のヒーロー扱いにしている。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回もお楽しみいただけますように




