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第12話
重そうな音とともに空いた空間を見て、嫌な予感がした。
もちろんその予感は当たる。
旦那様は冷たい声色で言った。
「入れ、一人ずつ」
「「はい」」
いわれた通りおとなしく入る。入った瞬間、バタンと勢いよく閉められ、あえて大きくした鍵のガチャガチャした音を聞いて、絶望する。
(牢屋は出られないんだろうな)
なんてどうでもいいことを考えた。別に、出られなくても私は困らない。ただ、生きられるのであれば。死なないでこの世界にとどまることができるのであれば。
黄泉の国に行くのは嫌だ。せめて母を見送って感謝を伝えてからがいい。今までお世話になった人に感謝をしてから去りたい。
私はどうでもいいから、家政婦さんだけでも明るい世界を歩いてほしい。その時に感謝を述べた手紙を渡してもらおう。
たぶん、こんなことを考えられるのは今だけだ。だから、考える。たらればの話を。
何となく予想はついているが、怒り心頭な雰囲気を存分に漂わせている旦那様に敢えて聞いてみる。
「旦那様、なぜ私と家政婦さんがこの空間に入れられているのですか」
旦那様は、これ以上にないほど冷酷な目で私たちをとらえた。




