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第10話
「はぁ」
私は部屋に着くなり大きなため息をついた。
「私が悪いような雰囲気になってるけど、本当に悪いのはどちらでしょうね。よく考えてほしいわ」
ブツブツ独り言を言っているとノック音に続いて、家政婦さんが入ってきた。
「奥様、少しよろしいでしょうか」
「えぇ、もちろん。どうされましたか」
「単刀直入に伺います」
「はい」
「奥様はなぜ、見逃されたのですか」
「そうねぇ、私のプライドかしら」
「と、仰いますと、、?」
「私の家系はそこそこの知名度があって、そこからこの公爵家に嫁いだから周りの期待があったの。でも、ここで旦那様が警察に行かれるとなると、世間から私は同情され『可哀そう』という言葉の魔法にかかる。そしたら自分を見失う気がして怖くなったの。それが今回見逃した理由です。初めは見逃す予定なんてなかったのですが、はは」
自嘲気味に私が笑うと家政婦さんは言った。
「立派ですね。もし仮に、旦那様が警察のお世話になって、世間から同情されても、私はいち人間として、奥様の気持ちを大切にすると誓います。まあ、侍女でも執事でもないですか」
そういって朗らかに笑う彼女に癒された。
だが、事件はやっぱり起こる。
旦那様を見逃した翌日、キャスリン様はなぜか永眠された。




