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奴隷の答えを、心の声を聞かされ、僕の心の中で何かが崩れ喪失感に襲われた。
僕は「眠くなった」と言い残し、ベッドにもたれ目を閉じた。
暫くして大あくびと寝言を言い、イビキをかいた。起きたままに。
イビキを小さくして寝息をたてスヤスヤ寝た振りをすれば。
彼女は漸く安心したのかベッドに入り眠りに着いた。
主人が床でベッドにもたれ掛かって居るだけなのに、奴隷がベッドを使うなんてとは思わなくもないが好きにさせよう。
素敵な寝顔見たいから。
悩みはしたが、彼女の望みを叶えてあげる事にした。
起きない様にそっと首元に手をかざし、首輪に魔力を流し外れろと念じれば、主人として僕の名前が刻まれた奴隷の首輪は消えた。
これでお別れだ。
最後に寝顔を目に焼き付けその場を後にした。
チートな隠密スキルを使い、誰にも気付かれる事無く、一人宿を出る。
宿代も前金で支払い済みだ、寝かせておいても問題無い。
夜伽もせず泣いたから、可哀想で解放し、寝てる間に帰った。
奴隷は解放された事に喜んだ。
口べらしに売られはしたが故郷に帰りたい。
帰っても居場所は無いがもう一度母の顔を見たい。
だが故郷は遠く歩いて十日程。
馬車代は無い、食料も無い、町の外に居る魔物を倒す武器も力も無い。
有るものと言えば今着ている服のみ。
他に何もない。