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若い男女で有る事、女性が奴隷の首輪を身に付けて居る事から、二人部屋へ案内され前金で支払いを済ませた。
部屋には大きめのベッドが一つきり。
それでも、僕が何も言わないのだから、奴隷は苦い表情で俯くも口出しはしない。
酔って居た。
気持ちが大きく成っていた。
でも何て言って迫ったら良いのか分からず、奴隷を女性を無言で引き寄せ、ゆっくり顔を近付けた。
最近、少しは仲良く成ってきた。
それなりに脈有りと思っての行動。
勿論、抵抗が無ければ口づけし、もしかしたらその先へ……と想像を膨らませ。
だが彼女は抵抗した――無言で。
僕の肩に手を置き、顔を近付る事を拒んだ。
そればかりか顔を背けポロポロと涙を溢して居るではないか。
拒んだ手に力は無く、無理に押し倒す事は簡単だが、女性の涙には勝てなかった。
いや、涙が無くとも拒否された時点で僕に何かをする勇気は無かった。嫌われたくはないから。
彼女だから? 誰に対しても優しい自分でありたい。
その優しさが間違えだと一生気付かずに。
泣くほど嫌だったか?
「もしかして解放されたいか?」
「……出来る……事……なら……」
失礼と思ってか?
出来無い、されない、と思ってか?
怒らるとでも思ったのか?
声は小さい、だが確かな肯定の答え。