伝説の終わり。そしてハーレム王国へ
先崎剣人が異世界ラムレリアに召喚された時、既に世界は終わりを迎えつつあった。何億年もの間、地の底で眠っていた地底人、ホモサピエンス・サーペンテスが目を覚ましてしまったのだ。彼らは関東ローム層から湯水のように湧いて溢れ出し、蜘蛛の子を散らすように瞬く間に全世界へ進出しはじめた。太くて長い棍棒を振りかざし、圧倒的な数で異世界ラムレリアの統治に乗り出し始めた彼らであったが、思わぬ展開が待ち受けていた。卑女子率いる邪魔大国の奴らが月の裏側から攻めてきたのである。
―――朕、汝に戦を宣す
異世界ラムレリアの国のトップらの手にそういった旨の内容が記された書簡が渡った。先崎剣人は不運なことに異世界に召喚された矢先にその戦火に巻き込まれてしまったのだ。ちなみに性豪どんと坂本はんの2人は開戦直後、木っ端微塵に吹き飛び、非業の死を遂げた。
先崎剣人は嘆いた。
(チックショー!!! どうして俺ばかりこんな目に遭わなきゃならないんだよ。ふざけるんじゃねぇ! チックショー!! こんな世界滅びろォ!!)
『先崎剣人。嘆くのはまだ早いわ』
「な。その声は先ほどの……」
「この世界は闇の支配者が隠れ潜んでいるの。そいつを殺せばラムレリアに蔓延る狂った因果を正すことができるわ」
「なにそれはほんとか。その闇の支配者というのはどこにいるんだ」
「あなたのすぐ後ろにある崩れた家屋の下敷きになってるのが闇の支配者よ」
先崎剣人はバッと後ろに振り返った。
「ぐふぅぅ。まさか闇の支配者であるこの俺が家屋の倒壊に巻き込まれちまうとはな」
中肉中背のこれと言って特徴の無い顔立ちをした30代くらいの黒髪の男が血を吐いていた。下半身は建物に潰れてしまっており辺りには血の海がひろがっている。
「きさまかぁぁぁ!!!!!」
先崎剣人は男の顔を蹴り上げ、地面に転がっていた木の棒を掴み、ささくれ立った先端を眼球に突き刺し、また顔を蹴り上げた。数分後。男は死んだ。
『因果が……因果が修復されていきます。ありがとう先崎剣人』
「これくらい朝飯前だぜ」
「っ///剣人……様とお呼びしてもよろしいでしょうか?」
「あぁいいぜ。お前俺の女になれよ」
「はいっ///」
『俺からも礼を言わせてくれ』
『おいどんからも』
死んだはずの坂本と性豪どんが先崎剣人の肩を組んできた。
『鹿児島にはいい芋焼酎と……』
『桜島があるでごわすよ』
「二人ともありがとう。でも俺、鹿児島に興味ねンだわ」
先崎剣人がそう言うと坂本と性豪どんの2人はどこかに消えた。悪霊の類だったのかもしれない。
『剣人さまぁん。世界を救ってくれた貴方にこの世界の因果を定める権利をあげますわ♡♡』
こうして先崎剣人は新たな闇の支配者『ダークデストロイヤー』として異世界ラムレリアに君臨し、ハーレム王国を築き上げましたとさ。めでたしめでたし。