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神官より神官服の似合う男

 神官の衣装を着た葵は誰が見ても物凄い存在感を出していた


 冒険者のジョグは自分の姿をこんなにみすぼらしいと感じたことは無い

「女性に興味ありますか?」

しどろもどろである。銀貨一枚では割にあわない気がして来た


 葵はゆったり首をかしげる。黒い真っ黒い髪がさらりと動く

「僕の運命の人は男性なのではないんですか?そう言われたから来たんですよ」

眉をしかめても整った顔は変わらない。ジョグはホッとした。後は神官に任せた

「神の力を確認させて頂きます。最後まで神官に見届けさせます」


 えー?ジョグは心の中で叫んだ

 願いは俺のじゃん。俺についてくるんだろうか、神官を連れて歩くの?

ちょっとそれはやめて欲しい。恥ずかしいし、お金にもならない

あ、依頼出してもらえばいいのか


 えー?葵も心の中で叫んだ

こんなに素敵な神官様と一緒に旅?やだ、好きになっちゃうかもしれない

「好きになっちゃったらどうしよう」

口に出てた。でも、日本語だったので神官長以外はキョトンとしている


 えー?神官長も心の中で叫んだ。意味が解るのは彼だけだ。

彼の持つ翻訳魔法は日本語が自動翻訳される訳ではない

そもそも同じ意味の単語がすべて存在する訳がないのだから。ニュアンスや意味が通じる感じである

なので、葵が惚れっぽいという事も伝わっていた

 

 神の力を示すチャンスだと思っていたが、これはちょっと難しいかもしれない

しかし、神の御意思があるはずなのだ。信じなくては

 彼が上手く運命の人と結ばれるように導くのが私に与えられた試練なのだろう


 「ラッセリア西ギルドのサブギルドマスターのビュー・ウィンターさんの恋人になってくれる人を呼んで欲しいと神に叫びました」

神官にジョグから葵に説明してくれと言われていたのでさっさと言う事にした

「ビューさん、僕の運命の人」

やっぱり小声の日本語で呟く。神官長はにこりと笑ってこの国の言葉で教えてあげた。運命の人という言葉を



「責任を持ってラッセリア西ギルドまで、彼を案内してください」

神官長の補佐に依頼を受けて、ジョグは今から信都を出る

アオイの好みを大体理解した神官長は、一番若い神官を付けることにした

「僕、あ、私、生まれて初めての外での仕事なんです」

「俺はジョグ、小さいのに頑張れるか?」

「可愛い子だね。僕たちを見届けるお仕事頑張ってね」

大きくうんうんとうなずいている神官姿の少年に、ジョグと葵は癒される


 「少年を付けて大丈夫ですか?」

「可愛いものには恋愛感情を持たないタイプだよ、可愛がるだけでね」

「そういうものなんですかねぇ」


 「馬車ですか?」

城門の外にでて、葵はちょっと引いていた

「神殿からの馬車ですよ。乗り心地は良いはずですよ」

「楽ちんだな。助かるよ」

葵は馬を見つめて立ち尽くしている

「まさかと思うが、馬車は初めてか?もしかして、馬が怖いか?」

近くで見ると、馬車は車輪が貧弱に見えて怖かったのだ。車高も随分と高い

馬と目が合った。お前本当にいう事聞くのか?馬はブルルンと大きく首を振った

「ひゃあぁ。見るのも乗るもの生まれて初めてですよ」


 「飛んで行っちゃ駄目なんでしょうか」

冷や汗をかいている葵は二人に聞くが、困った顔をされただけだった

「馬車に乗りなれないだろうからと、葵さんの為にわざわざ6人乗りの馬車を出してくださったんです」

6人乗りなら足は延ばせなくても横にはなれる

「ありがとうございまーす」

葵は義務的にお礼を言ったのだった


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