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願いを叫んでみた

 ラッセリアの冒険者ジョグは、この信都で冒険者をしている友人と願いの泉に来ていた

 泉と言う名だが結構な広さの池である


 魔法の街頭に照らされてほのかに明るい泉の周りには、小さな祈りの台が沢山並んでいる

神官もチラホラいる

「お母さんの病気が治りますように」

子供が叫んでいる。近くにいる神官がその子の所に行って事情を聞いている

神官の力で解決できそうなら、手を貸すためだ


 「我が家の借金が無くなりますように」

「兄が騎士になれますように」

「金をくれ~」

酔っ払いの割合がそこそこ高いようだ、時計回りに叫んでいるのでジョグはおとなしく待っていた


 なるたけ大きな声を出すため深呼吸をして、姿勢を正す

「ビューさんを幸せに出来る男を連れてきてくれ!」

魔法での増声は使用できないようになっているのに、増声されたかのような大声

空気が揺れた


 バシャーーン


 何かが泉に落ちてきた



 「助けて~」

泉から、か細い男の声がする。バシャバシャと言う水音

「照らします」

「飛び込むのは見つけてからで」

神官たちがキビキビと動く。泉にライトの魔法が飛んで溺れる男を照らす

ジョグの連れが飛び込もうとするのを止める。酔っているのだ、余計な仕事が増える元だ


 男の背中に大きな翼を見つけた神官の一人が叫ぶ

「羽を伸ばして!精一杯!」

無理して岸から落ちそうになる神官の腕をジョグががっしり掴む

そのジョグの反対の腕をジョグの友人と別の神官が掴む

「捕まえた!」

全員で一気に引っ張り上げる


 びしょ濡れの黒い髪の男はあまり見たことのない顔をしている

「ここはどこですか」

弱弱しい。泉にいきなり現れた大きな翼をすっと消して見せ、神官を驚かせていた

ここ何年か、翼を持った異世界人が現れている

「ここは信都。わかりますか?」

男は困った顔をした。神官はもっと困った顔をした

「普通は街に異世界人が現れるとそこの領主が責任を持つんですがね。ここですと神殿でしょうね」


 「あのー、願いが」

男を引っ張り上げた神官が言う

「この冒険者の願いが響き渡った瞬間に現れましたよね」

男に説明していた神官が考え込んでいる


 「神が願いを叶えたということか?」

ジョグは黒髪の男を観察した。神秘的な顔をしている

「あなたは何故ここに来たとおもいますか?」

怯えている男の手を取って神官が聞く

「幸せになる為」

ちょっと言葉がたどたどしい


 結局のところ黒髪の男は神殿に連れていかれる事になった

泉では再び叫び声があげられている

通常運転再開である


 ジョグも神殿に招かれた。明日の朝一番に来いとのことだ

「あなたの願いが届いたのかもしれません」

大真面目な神官の言葉にすっかり酔いのさめた二人はさっさと帰ることにした


 「神官ってどうしてあんなにやる気にみちてんのかねー」

「働き過ぎ、働き過ぎ」


 



お昼休みとどちらがいいのでしょうね

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