神に祈ろう
読んで下さっている皆様に感謝を!
ラッセリアの西ギルドはダンジョンに最も近く、ここを本拠にしている冒険者も多い
ちなみに南ギルドは森に近く、街道にも近い。東ギルドは公爵邸に近く学園のそばにある
ジョグの幼馴染みが街を出てから3日程たった
今日は別室でジョグ夫妻とビューとギルド職員の四人が話あっていた
「本当に済まなかったではすまないと思っている。あいつが持ち出した金は返す」
それ程の金額ではなかったようだが、家に置いてあったお金を持ち逃げされていた
「そのことはもういいのよ。恋愛の問題なんだからね。私も吹っ切れたわ」
全然そんな顔ではないのだが
「護衛任務を受けてくれるって聞いてね」
侯爵の次男が信都に行くのでそれの護衛らしい
3カ所のギルドからそれぞれ冒険者を雇うのだ。侯爵がきちんと冒険者にも気を使っているという建前のために
ギルド側も慣れたもので騎士と仲良くできそうな冒険者に直接声をかけていく
信都は神殿が市の象徴となっており王領の一つとなっていて、何か願掛けをするときなどにお参りする都である
「貴族の暇つぶしに付き合わせて悪いなぁ」
重そうな鎧を身に纏い、馬に乗っている騎士がジョグに声をかける。ちなみにジョグは馬車に乗っている
「夜に、願いの泉で一番大きな声で願いを叫ぶと叶うって噂が流れてるの知ってる?」
ジョグは初耳であった。この国では神は複数いて、叶えてくれる望みも祈り方も神の好みによって変わるとされていて、最新情報は貴重なのだ
「叫ぶのか」
「願いを書いた紙を神官に渡すのが普通の願いで、ほかの人のために祈るのがそっちになるんだと」
自分の願いと人の為の願いと二つって事になる
夜の泉にも人が多く集まるようになっているようだ
だったら叫ぶ言葉は一つだ
二日後に信都に着いた。ジョグは今回片道の護衛しか受けていないのでこれから自由行動だ
妻への土産を買い、帰りの依頼が無いかをギルドにチェックに行く
「久しぶり~」
以前にグループ同士で一緒になったことのある冒険者に声をかけられ飲みに行くことになった
「夜中に叫ぶの知ってる?」
向こうから話題をふってきた。軽くうなずいて先を促す
「ここだけの話、神殿は祈りが届いているって宣伝しないといけなくて必死なんだ」
ここ最近、信都は信者の詣でが減りつつあって信仰が弱くなって来るかもと焦っているらしい
神の力はある程度、信者の心によって決まるので、願いがかなっているという実績が欲しいのだ
「願いが二つに増えれば、成就率もあがるな」
「そうそう~。理解が早いねぇ」
「そんなこと言っていいのか?」
「公然の秘密。俺らここの町の冒険者にそういう噂をコッソリ広めて欲しいみたいだし」
自分の為の願いは一つだけという縛りに引っかからないようにそうなってるようだ
すっかり酔っ払ってる二人は肩を組んで居酒屋を出た
「俺、世話になった人の為に祈りたいんだよ」
「いこいこー。祈りに行こうー」
祈りの泉の周りには、夜にもかかわらず人が大勢いた
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