プロローグ
新作です
宜しくお願い致します!
ダンジョン都市であり、公爵都であるラッセリアにも冒険者ギルドがある
この世界、冒険者ギルドと一応言っておくが体のいい職業安定所である
商業、職人、傭兵、等の専門的なギルドが無いものが主に加入しているが兼業しているものも多い
大きな都市なので東、西、南の三か所で、ここ西ギルドにはある有名なサブギルドマスターがいる
「あらー、今日も頑張っているじゃない。ジョグ」
かなりがっちりしたマッチョなボディーをギルドの制服に詰め込んだ男、ビュー・ウィンターが言う
赤みがかった濃いめの金髪を短く刈りこんでいるが、言葉使いは女性的である
「今日も買い取り頼むよ」
ジョグは今パーティーの事情でシングルで冒険者をしている。だからダンジョンの中には入らず森での狩りが中心だ
森にも魔物が出るし、狩らなければならないのだが、パーティーを組んで大物を狙って欲しいのがギルドの本音である
それを全く指摘してこないビューにジョグは感謝していた
だから、ビューの恋人として幼馴染みの男を紹介したのだ
ジョグと同じ村出身の田舎者だったが誠実だった…はずだった
「おい!ビューいるんだろ」
銀行のカウンターのように整然とした雰囲気をぶち壊して若い男が入ってきた
酔っている
「職場には来ないでって言ったでしょ」
声はいつもの通り高めだが、口調は厳しい
「仕事はどうしたの?師匠にまた迷惑かけたの」
駆け寄り肩に手をかけようとしたしたが男は右手で大きく振り払う
「もう、いい加減にしろ!俺はもう嫌なんだよ。出ていく!」
「ちょっと、どうしたのよ。落ち着いてよ」
「もう無理なんだ。俺は都会暮らしには向いてないんだー」
そう言って今度は泣き出した
硬い雰囲気の冒険者ギルドの中で完全に場違いである
ビューも慌てたが、ジョグも大慌てだ
「ちょっと、場所変えようぜ」
ビューに触れられる事は拒んだが、ジョグには素直に従って、3人で奥の部屋に入って行った
沈黙が流れる
「師匠とうまくいってないのか?」
うつむいたままさらにうなずいた
「また、一ヶ月続かなかったな。村に帰るつもりなのか?」
「……」
ジョグが目で合図して、ビューは部屋を出た
ビューが部屋を出た瞬間から幼馴染みは饒舌に話し出した
「愛が重いんだよ。ビューは良い奴だし、一緒にいて楽しいけど、期待されすぎて」
ビュー本人に何かったあった時の為、手に職を付けたほうがいいと次々と職人を紹介していた
ひと月もたず、やめている
ジョグのように戦う才能もなかった
「そもそも気合いが足りないんだよなー、お前。村に帰る根性もないよな」
「ほかの町に行って一人でやり直すさ」
「お前、世間をなめてんなぁ」
甘やかしたのは自分もなのだが、周りが見れないのは本人の責任だ
「じゃ、好きじゃなくなったか」
「別に、優しいから甘えてただけだ。いろいろと相性も良かったし。愛情はなかったな」
それから、しばらく話をして二人は部屋を出た
隣の部屋からビューが出てきたが幼馴染みは気がつかなかったようなので、そのまま帰らせた
「ごめん」
ジョグは、ビューと二人きりの部屋で頭を下げる
「愛してくれてなかったのね」
そう言って、ポロポロと涙を流すビュー
オロオロしているジョグに口の端に少しだけ笑顔を浮かべて言った
「今は、一人にしてちょうだい」
ジョグは肩を落として部屋を出た
週3回のつもりですが、1話目が暗いので明日も投稿します