呪われ魔術師、仔犬の呪いを解く。
「で、でも、どうやって・・・・?」
『あの祭壇にある【八咫鏡】をつかえば、パズスの呪いを解くことができる。
私は、魔力が封じられているから無理だけど、あなたなら【八咫鏡】をつかえるはず。
あなた、魔法は封じられているけど、魔力は封じられていないでしょう?』
「う、うん」
『私の姿を【八咫鏡】に映して、鏡に魔力を通してちょうだい。
それで、呪いは解けるはず』
「わ、わかった。やってみる」
『あの【八咫鏡】には、結界が貼ってあって、ケッセン王家の者しか近寄ることができないの。
でも、私と一緒なら大丈夫。
ついてきて』
仔犬の後を追い、祭壇に近付いていく。
【八咫鏡】は祭壇の中央奥に祭られていた。
僕は、仔犬についてどんどん奥に進んで行く。通常なら、こんなとこ登っちゃっていいの? ってところを、仔犬について、ひいこら登っていく。
そうして、【八咫鏡】にたどり着いた。
仔犬に促されるまま、【八咫鏡】を台座から持ち上げる。
鏡面に大きなヒビが二つ入っている。
だいじょうぶかなぁ。
とりあえず、さっき言われたように、【八咫鏡】に子犬の姿を映し、魔力を少し通してみる。すると【八咫鏡】は、うっすらと光を帯びてきた。
あ、大丈夫。これはいけそうだ。と、僕は、【八咫鏡】にさらに強い魔力を通す。
その様子を子犬は嬉しそうに眺めていたが、突然、何かに思い当たったかのように、その場から逃げ出し始めた。
お~い、せっかく呪いを解くことができそうなのに、どこへ行ってしまうんだい?
僕は、【八咫鏡】を抱えたまま、仔犬の後を追う。
祭壇から離れ、袖廊と身廊が交差する中央交差部に仔犬が差し掛かったところで、【八咫鏡】は大きく輝き、【八咫鏡】から放たれた白い光線が仔犬の姿を包み込んだ。
白い光の塊は、次第に大きくなっていく。そして、小柄な人程度の大きさになると、“パッ”と明るく輝き、弾けて消えた。
そして、その後に現れたのは、犬耳で、栗毛で、可愛らしい尾っぽのついた素っ裸の女の子!
ま、そう・・・・なる、わな。
仔犬の状態で、服を着ていたわけでも、ないし・・・・。
「こ、こっちを、見るなぁぁぁぁぁ!」
身を丸く屈め、なるべく表面が見えないような姿勢を保ちつつ、犬っ娘シリィが叫ぶ。
見るなと言われても、目が行くものはしょうがない。
そう、そう。
しょうがない、しょうがない。
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