『伝説級神風(かみかぜ)』しか詠唱できない絶対領域フェチが頑張って『そよ風』を覚えてスカートめくりをしようとする話
これだけはいえます。
読んで、感じてください。
エロとか、フェチとか。
この際、一切忘れて、読んで感じてください(笑)
1/望む呪文
●とある荒野
【ノゾム は レベルアップ した!!】
【伝説級の雷鳴 を 覚えた!!】
脳裏に響く、レベルアップ音。
同時に呪文を習得した事を知覚する。
共に旅をするパーティーにそれを報告する。
と、皆は自分の事のように喜んでくれる。
「やったな、ノゾム!」
「すごい! また伝説級ね!」
「これで後衛はバッチシだな! 背中は任せたぜ!」
――そして、魔法使いのノゾムはこう答える。
「うん。ありがと」
と、お決まりの返事だ。
それしかいわない。
なぜなら、この呪文も彼にとって”いらない呪文”だったから。
××××× ××××× ×××××
夜も更け、寝静まった頃。
野営地から抜け出したノゾム。
これだけ距離をとれば、大丈夫だろう。
「……クソ、今日こそは……っ!」
独り言が、漆黒の荒野に溶けていく。
ノゾム、手をかざし詠唱をする。
途端、彼を纏うように砂ぼこりが舞い始める。
「――『そよ風』!!」
数メートル先に竜巻が発生する。
それをつかの間、急激に巨大になっていくそれ。
当然、そよ風という風ではない。
その呪文1つで、街1つ崩壊しかねない禁呪。
まさに『伝説級風呪文』だった。
「――『静電気』!!」
詠唱や呪文とは名ばかり。
夜空を割く、一撃。
一条の閃光が、空をはしる。
次は『伝説級雷呪文』である。
「――もうっ! 『水玉』!!」
枯れた大地から、水があふれる。
水は塊となり、とある形を成していく。
それはもう水の塊ではない。
『伝説級水呪文』というそれである。
「ああ!! なんで! なんでなんだよ!! なんで下級呪文を唱えて伝説級になるんだよ!!」
おかしいだろ、と頭をかきむしるノゾム。
魔法使いであるノゾム。
彼には1つの呪いがあった。
【英雄の資格】
・効果:レベルアップで覚える属性の呪文が全て『伝説級』になる。
そう、彼が覚える呪文は全て威力抜群な魔法だけなのだ。
『下級呪文』など、覚えるわけもない。
――だが、しかし。
それでも彼が『下級呪文』を練習するには理由がある。
「クソッ! 早く覚えてスカートめくりがしてぇってのによ!!」
転生する前から、ノゾムは絶対領域フェチ。
『そよ風』で、はためくスカート。
『水玉』をぶつけた後の、むっちむちな太もも。
『静電気』で驚く、ニーソックスが脱げる瞬間。
「あんな甘い瞬間を楽しめないで、何が魔法の世界だよ!!」
2/望まない世界
●とある街並み
ノゾムを含めたパーティーが、数日前に街へと入った。
魔王軍の拠点が近い、この街。
もうすぐ拠点に攻め入り、3魔幹部の1人を討伐する準備を整えていた。
自由行動の時間のある時。
ノゾムは独り、泊まる宿の部屋から街道を眺めていた。
「おぉ流石、お嬢様達が通う学校は違うねぇ~」
と、鼻の下を伸ばして身を乗り出す。
眼下には、転生前の世界でいうセーラー服を着た女子生徒が2人。
軽食や装飾の露店を観賞しながら、談笑している。
当然、ミニスカートにニーソックス。
絶対領域を欠かさない校則に感謝したりない。
片方は、華やかなミニスカートがまぶしい。
もう片方は、健康そうな太ももに黒いニーソックス。
これはもうご褒美といっても過言ではない。
「はぁ……これで自由に魔法をつかってスカートめくりができたらなぁ……」
そんな憂いも、焦らしプレイに入るのだろうか。
自分好みの女性と。
垂涎もののシチュエーション。
それらを組み合わせれば、もう甘露に違いない。
――妄想してみよう。
黄色い声を出して笑う女生徒2人。
面倒なので、ミニスカートとニーソックスと呼ぼうか。
飛び跳ねると、ミニスカートが軽快に表情を変える。
色白の肌、黒のニーソックスが目を惹く。
そんな彼女達に、ノゾムは呪文を唱える。
「――『そよ風』」
スカートの裾が上へ跳ね上がる。
それを赤面しながら、両手で押さえるミニスカート。
でも、前を押えても後ろがめくれる。
ちらりと見える、下着。
前後を隠そうとするミニスカート。
が、左右の裾は舞うまま。
下着の片鱗が顔を覗かせる。
いい。
これぞミニスカート。
「――『水玉』」
水の塊が砕け、シャワーとなる。
その真下にいたニーソックスは、びしょ濡れ。
濡れた髪や上着も扇情的だが、本題は絶対領域のそこにある。
スカートの裾から、ニーソックス。
その数センチだけの距離を、通過する雫。
はちきれんばかりの太ももを伝う、水。
この滴りで、ご飯は3杯はいける。
流石、ニーソックス。
「――『静電気』」
刺激は大事である。
それに、よくいうだろう。
くすぐったい所ほど、感じやすい場所だと。
乾燥した朝や夜。
早く水浴びしたいという想いの中、脱ぐニーソックス。
そして、ミニスカート。
パチっとする痛覚に「きゃッ」とかいう感覚。
「もう……」と頬を膨らませるシチュエーション。
絶対領域を解放した時の罰なのか。
その痛さからは逃げられない。
まさに通過儀礼のようなそれ。
「……はぁ……なんでオレ、魔法使いなんかやってるんだろ……」
話題が変わるが、男は前衛や格闘が好ましい。
魔法使いなどの後衛は、非力な女性でもいいのではないだろうか。
断じて差別するわけではない。
ただ、ちょっと真面目そうなミニスカートでニーソックスな魔法使いがいてもいいな、と――そう思っているだけである。
「あぁ……こんなクソな世界、滅びねぇかな……」
心のどこかで、ノゾムはわかっている。
自分はきっと、この魔法の世界に絶望しているのだと。
呪いのようなスキルのせいで、自分が望む呪文を唱える事はできない。
自分の望むシチュエーションに興奮する事もできない。
そうした欲求不満が募り、また募り、さらに募り。
その後、彼は世界を滅亡させようと決心する。
彼はいつしか魔王と手を組み”絶望の魔法使い”と呼ばれるようになったのだった。
読了、ありがとうございました。
突然、また下らない世界や苦悶する主人公を描きたくなり始まりました。
『転生したフェチ』シリーズ。
前回との関連性はまだありませんが……
楽しんでもらえたら幸いです。
もし「下らねぇ」と思ったら、評価や感想をお願いします!!
……本当に「下衆ですね」的なコメントも大歓迎です(笑)