6:赤鬼サイボーグ(後編)
夜になり、出会い頭で泣かせてしまったこともあり、村人達が我先に泊めると優しく言ってくれるが、何時敵が狙ってくるとも限らないと、フェイト達はあえて外で野宿することを決めた。
ライトレットは村で食料を買い、民家を借りて料理を作っていた。ミコトは小便へとライトレットの入った民家に入り、アントニーは断固、フェイトちゃんの傍にいるの一点張りだった。
真隣に、それもベタベタとくっついて座るアントニーに、フェイトは大きくため息を付く。
「……アンタ等、旅のモン?」
フェイトとアントニーの前に、どっしりと響く低い声。フェイトは足元から徐々に視線を上げていき、顔を見る。男性の髪は、頭から血を被った様に赤黒かった。
「そうですが。あなたは?」
フェイトは体育座りのまま、男性を見上げる。アントニーが1人立ち上がり、男性を睨みつけた。
「いや。それならさっさとここから出て行くことを勧める。」
「何故ならば、アンタがこの村を狙いに来たから。……違う?」
フッと笑い、剣を抜いた男性にアントニーがレイピアで打ち返し、暗く、静けさのある村に金属のぶつかり合う音が響く。
「何があったか知りませんけど、この村を本当に血の海にさせるワケにはいかないんです」
フェイトが刀を抜き、アントニーと男性を挟み撃ちにしようとしたが、男性が高く飛び上がり、フェイトとアントニーの剣がぶつかりあった。
即座にフェイトとアントニーが背中をくっつけて男性の居場所を目で追う。
「敵が来たか!?」
ミコトが走ってやって来ると、男性がミコトの首を後ろから腕で締め付け、「うぐっ」とミコトが苦しそうに片目を閉じて歯茎を見せる。
「……俺様を狙ったのが間違いだぜ」
苦しそうにしていたミコトがくすりと笑うと、魔法で武器に剣に変身した。その隙にとフェイトが飛び出し男性に下から蹴りを入れようとして、男性がフェイトの足首を掴んだ。
フェイトは剣となったミコトを上に投げ飛ばした。
するといつの間にかやって来ていたライトレットが剣を受け取り、真上から回転しながら降り、男性の頭目掛けて剣の腹部分を振り落とす。
間一髪で男性が気づき、フェイトの足首を離して後ろへと下がるとアントニーがコインを男性に向かって何度も飛ばし、見事男性のあごにヒットすると、ふらついた男性にフェイトが峰を向けて振り下ろした。
「あなたの運命、今変えてみせましょう!」
男性が1歩足を後ろにやり、小さな抵抗をするものの、もう倒される事を承知したのか目をギュッと瞑った。しかし、男性の前に黒髪に白いメッシュをいれた男性が現れると、フェイトの攻撃を素手で受け止め、フェイトに向かって憎たらしくほくそ笑んだ。
「どーも」
「……あなたが、その人にここを狙わせたんですよね?」
「ええ。ここの人達は面白いことをしていらっしゃるみたいなので。どうです? 死んだフリをしているはずの人が本当に死んでいたら。……とても、滑稽だと思いません?」
「滑稽ですって!?」
よどみのない真っ直ぐな瞳で黒ずんだ男性の目を見る。
男性がフェイトの熱い瞳に表情をくもらし、フェイトのコートを掴んでグイっとフェイトを引き寄せ、耳元でぼそりと呟いた。
「たった1度の出会いで、人の運命を簡単に変えられると思うなよ」
男性はそれだけ言い残すと、転移魔法を使って、フェイト達をにらみつける赤髪の男性ごといなくなってまった。
敵2人がいなくなると、ミコトが元の姿に戻り、ライトレットやアントニーもフェイトの元へとやって来てフェイトの身を案じた。
男性の言葉が耳から離れずにいたフェイトは、3人の言葉も聞かずに呟いた。
「1度で変えられないのなら、何度でも挑んでみせる。あなた達の運命を変えるために」
(6:赤鬼サイボーグ(後編)了)




