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あれから1ヶ月。
仕事に追われる日々の中で、
日に日に桜さんへの会いたい想いは膨れ上がっている。
週に1回くらい届く、桜さんからのスタンプメールで辛うじてモチベーションを保っているけれど、そろそろ限界も近い気がする。
声が聞きたい、会いたい、あの温もりが欲しい。
でも、電話したりお誘いする勇気が出ない。
そもそもどうやったら親しくなれるのかわからない。
先輩の顔を見る度に、桜さんに会いたくなる。
どうしよう?
どうしたらいいんだろう?
自分の中の渇きだけがどんどん蓄積されていく。
そんな時、先輩からの救いの手が差し伸べられた。
「橘、あの後飲みに行ったか?
桜が心配してたから、もし飲んでないなら
明日の金曜の夜よかったら家で飲むか?」
私はその誘いに飛び付いた。
こんな時でも表情はいつもと変わらなかったけれど
「先輩、お誘いありがとうございます。
お恥ずかしながらあれ以来飲みに行けていないので、
よろしくお願いします。」
と返事をしたときには、桜さんに会える喜びでスキップしたくなる自分に心の中で笑った。
もちろん、仕事にも私のやる気が反映され、
いつも以上に仕事が捗ったのは言うまでもない。
夜、桜さんからもメールを頂いた。
『明日はお泊まりしていってね!
ちゃんと桐華さんの安全は保証するから安心して!
楽しく飲もうね♪』
思わず緩む顔を枕に埋めて、嬉しさを噛みしめる。
そして、よし!と気合いを入れて明日持っていくお泊まりセットの準備を始める。
実は誰かの家にお泊まりなんて、
この前の事故を除けば初めてで。
準備し始めた段階で何が必要なのかわからなくてつまずき、
しばらく悩んで
悩んで
結局、勇気を出して桜さんにメールでご相談させてもらうことにした。
『桜さん、
実は私、誰かの家にきちんとお泊まりというのが初めてでして
何を準備したらいいかわかならいので、
教えて頂けないでしょうか?』
恥ずかしさを堪えて送信ボタンを押す。
『あんまり畏まらなくていいよー
歯磨きセットとお着替えくらいかな?
こだわりとかないようなら、
後はうちにあるもの使ってくれたらいいし。
あ、お酒とか夕飯の食材は3人で買い出しに行こう♪』
という返信をいただいたことで、気持ちが軽くなる。
持っていく服であれこれ悩み、
決まった頃にはいい時間になってしまったので、
慌ててベットへ潜り込む。
疲れた身体があっという間に眠りの世界へと誘った。




