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彼女の瞼がわずかに震えて、少しずつ開いていくのがスローモーションのように感じられ、
その様子を瞬きを忘れて見つめていると、
彼女がゆっくり顔を上げて
彼女の瞳に私が映り込む。
それだけで、胸がキュンっと締め付けられて
内心であわあわしてしまう。
そんな私に彼女は
「おはよう。昨日の事は覚えてる?」
と話しかけ、小首を傾げる。
ふんわり優しい声音と微笑み。
一瞬呆けてしまったけど、ハッとして彼女の質問に言葉を絞り出す。
「おはようございます。
すみません、、飲み会の途中から記憶なくて。」
私は正直に話して頭を下げる。
彼女が身体を起こしたので私も身体を起こし、
腕の中の温もりが消えてしまったことに寂しさを感じつつ、
彼女は私と向き合い、
「大丈夫よ。昨日、駿君が酔ったあなたを肩で支えて連れてきた時に、声かけたけど反応がほわほわで伝わってなかったみたいだったから。」
といって、気にしてないというように笑いかけてくれた。
駿君?
だれだっただろう?と昨日のメンバーの中から記憶を引き出す。
あ、私の指導係の先輩?
ということは、先輩の自宅?
じゃぁ、目の前の彼女は先輩の奥さん?
混乱してる私が落ち着く時間を自然と待っていてくれたのか、
私が落ち着いたのを察して彼女は言葉を続けた。
「まずは自己紹介させてもらうね?
私は早川桜といいます。
あなたの指導係をしている早川駿の妻です。
よろしくね?」
先輩の“奥さん“。
はっきりと告げられたその言葉に、
私の胸がチクッと痛むのを感じつつ、私も自己紹介を返す。
「橘桐華です。
昨日は大変な醜態をさらしてしまってすみません。
泊めて頂いてありがとうございます。
先輩には日頃からお世話になっております。
よろしくお願いします。」
と言って、もう一度、頭を下げた。
「とりあえず、昨日、桐華さんをうちに連れてきたのは、指導係の先輩ってことと、既婚者じゃないと危ないっていうことでうちになったみたい。
桐華さん、綺麗でスタイルもいいんだから、
お酒で記憶なくすのはホント気を付けた方がいいよ?
もちろん、駿君は寝室から追い出して、別の部屋で寝てもらってるし、
後は私が服とか皺になると思って勝手に脱がせてしまったけど、許してね?」
そういって、ふんわり微笑んだ桜さんは、ベットから抜け出し、ハンガーにかけておいてくれた私の服を手渡してくれた。
自分もタンスからシンブルだけど体のラインが綺麗に出る、白地に青の縫い目をお洒落に出すデザインのワンピースに着替え、ドアに向かいながら
「ご飯作るから、着替えたらリビングに来て一緒にたべよう?」
そんな言葉を残して、部屋を出ていった。




